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なろう異世界史  作者:
25/38

なろう異世界史 迷宮篇⑦

「「はぁ~しあわせ」」


 と、ギルドの一角で二人共恍惚とした表情を浮かべ「レモナティ(レモンティ)」を飲んでいた。


「なんですか。あの、この世の可愛さを凝縮した生き物わぁ。ずっと、どこでも一緒にいたいぉ」


「ほんとですよねぇ。あの可愛さはある意味凶器ですよぉ。はぁ~」


「あ~ティバ迷宮ランドに就職したい」


「おいおいおい! ここはどうすんだよっ!」


 と、おねぇさんの不用意な発言にギルマスが突っ込んだ。


「なら、もっと仕入れてくださいよっ! かわいいやつ!」


「ぐっ……こんな初心者の迷宮じゃ、予算が降りないんだよ……」


「………」


 どの世界も世知辛い……そう思わずにはいられなかった。


「そうだっ! ご主人様!」


 ――パンッ!


 エリーゼは両手で手を叩き、相談を投げかけてきた。


「その、『ティバ迷宮ランド』に行ってみませんか!?」


「えええっ! いいな、いいな! わたしもいきたいっ!」


 エリーゼの提案にお姉さんが釣れてしまう。

 そんな様子を目の当たりにした、ギルマスが困惑した表情を浮かべた。


「おいおいおい……勘弁してくれよ……人手が足りなくなるだろうが……」


「他にいるじゃないですか。わたし一週間の有給をつかいますねっ! 今まで溜まってるので使わせてもらいますっ! ふんすっ!」


「まてまてまて……ほんとに勘弁してくれ……」


 ギルマスは頭を抱えた……


 しばらくの後――


 転生者が謎の古代魔道具を魔改造させた通信システムで、ティバ迷宮ランドホテルに連絡を取った。


「えっと、ホテルの予約、なんですけどね…」


 受付のお姉さんは、しばらくの間、真剣な顔つきで帳簿を確認していたが、やがて力なく肩を落とした。


「えぇぇぇ……一ヶ月待ち? それも最短でですか? えっ、埋まった? じゃあ……半年待ち……で……すか……?」


 ――チンッ!


 お姉さんは力なく机に突っ伏し、全ての希望を失ったような目をしていた。


「……なんですか、これ……一ヶ月待ちが埋まって、半年待ちですって……わたし、どうすれば……」


 しばらく呆然とした後、ふと何かが切れてしまったように、お姉さんは無表情になった。


「おい、これの依頼を頼むぜっ」


「……す、すみません、予約が……一ヶ月待ちですねぇ」


「はぁ? 何言ってやがる。この依頼をだな……」


「はい、すいません……予約、半年待ちですね……はい…、うん……うっ……」


 お姉さんの目から涙がポロポロとこぼれた。


「お、おい……どうしたってんだ……」


「おめぇ、受付のお姉さん泣いてるじゃないかっ! 何、したんだよっ!」


「い、いや、オレは普通に依頼をだな……」


「おめぇの顔が怖くて、脅したんだろぉが! 最低だなっ!」


「ちげぇ~よっ! ふざっけんなっ! このひょうたん顔がっ!」


「んだっと、てめぇ! やんのかっ!?」


 険悪なムードが漂い、周囲の冒険者たちが興味津々で集まり出す。


 ――ガンッ!


 突き飛ばされた男が別の冒険者にぶつかる。


「てめぇ! やってくれたなっ! おらっ!」


 次の瞬間、拳が飛び交い始めた。


 ああ、もうむちゃくちゃだよっ!

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