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なろう異世界史  作者:
23/38

なろう異世界史 迷宮篇⑤

 迷宮に魔物が戻った。山にも森にも川にも。


 それは、魔物不足で困っていた人々にとって喜ばしいはずであったのだが……


 考えていたのとは違う形で戻ったことに、何とも言えない気分になっていたのだった。


 そして、もふもん問題は別の形で現れ始めた。


 可愛すぎて、攻撃できない冒険者が溢れ出した……

 中には、冒険者を引退するものまで現れた。


 国の騎士や衛兵の中にも殺すことなんて出来ないと言うものまで現れだしたのだ。


 考えて欲しい。


 ポケ○ン系の魔物を剣や槍、魔法を使って血なまぐさく倒していくのだ。


 これは、絵的にどうなのだろうかとなるのではないだろうか?


 さらには、泣く泣く倒した騎士や冒険者の中にはトラウマを抱えたものも出てしまうことになった。


 そのことに、またしても国の首脳部が頭を抱えた。


 そして、転生者に詰め寄るっ!


「毎度毎度、お前たちはロクな解決方法をしないなっ! どうしてくれるのだ!」と。


 そこでも転生者は軽かった。


「そんなに可愛いなら、テーマパークを作ればいいじゃない」と。


 そして……


 ――迷宮の観光地化


 一方、ティーバ王国の迷宮管理者たちは頭を抱えていた。


「可愛い魔物を迷宮に放したら、誰も戦おうとしない……」


「冒険者たちが、迷宮の攻略そっちのけで魔物と戯れている……」


 そこで転生者の言を取り入れて発想を転換した。

 

 「いっそのこと、迷宮を観光地にしてしまおう」


 危険な魔物を排除し、可愛い魔物だけを迷宮に配置した観光地――

 ティーバ王国でもこの迷宮がある地域、「ティバ」地方の名を取り、その名も、

 

 ――「ティバ迷宮ランド」――


 この試みは大成功を収め、迷宮周辺には新たな街が形成されるまでになった。

 観光客は年々増え続け、魔物たちは「敵」ではなく「癒し」として人々の生活に溶け込んでいった。


 ――「ティバ迷宮ランド」初期――


 ――迷宮テーマパークの光と影


 序章「迷宮、観光地になる!」


「迷宮探索は危険すぎる、もっと楽しくて手軽にできるべき!」


 そう主張したのは、とある転生者だった。

 彼の言葉に王国と商人ギルドが反応し、


「その発想はなかった……!」


 と、急遽プロジェクトが立ち上がった。


 こうして発表されたのが、


 ――『迷宮テーマパーク構想』――


 である。


 まず、迷宮への入場には「冒険フリーパス」が導入された。

 初心者でも安心の「魔物体験エリア」や、子供向けの「スライムランド」も設置。


 結果として、迷宮はかつてないほど賑わいを見せた。

 しかし、訪れるのは本物の冒険者ではなく、圧倒的に観光客の方が多かった。


「これが……本当に迷宮なのか?」


 長年、迷宮を命がけで攻略してきた歴戦の冒険者たちは、その変貌に違和感を覚え始める。


「冒険のロマンはどこへ……?」


 ――転機:「商売繁盛! でも、本当にこれでいいのか?」


 迷宮は完全に観光地となり、各層にはさまざまなエリアが作られた。


「初心者向けスライムゾーン」


「中級者向けゴブリン村エリア」


「VIP専用ドラゴンバトルゾーン(要課金)」


 迷宮の入り口には、巨大な**「冒険者ショップモール」**も建設され、

 装備レンタルやガイドツアーが人気を博した。


 さらに、「魔物の卸業者」が現れ、


「迷宮に配置する魔物は、安全な『適量』を提供いたします!」


 と、魔物の供給までもがビジネス化された。


 結果、かつて命がけだった迷宮探索は「レジャー」になってしまう。


 ――問題発生:「リアル冒険者 vs 観光客」


「こんなの冒険じゃねえ!」


 伝説の冒険者たちは、テーマパーク化した迷宮に激怒。

 しかし、彼らの憤りをよそに、迷宮はさらに賑わいを増していった。


 そんな中、迷宮観光地化が進む中、さらなる利便性を追求すべく、


 ――「迷宮ファストパス」――


 が導入された。


 これにより、通常の迷宮探索に比べて、待ち時間なしで特定のエリアへ直行できるようになった。


【主なパスの種類】


「ゴールドパス」:行列をスキップして即ダンジョンへ!

「エクストリームパス」:通常エリアでは戦えない強敵と特別バトル!

「もふもんパス」:もふもんと触れ合い放題&記念撮影付き!

「蘇生保証オプション」:やられても追加料金なしで即復活!

「年間パスポート」:リピーター向け特典付き、迷宮入り放題!


 観光客はこのシステムを大歓迎し、「手軽に冒険を楽しめる!」と喜んだ。


 しかし――


「迷宮ってそういうもんじゃねえだろ!!」


 長年、命がけで迷宮を攻略してきた本物の冒険者たちは激怒した。


「待て待て!  迷宮ってのは命をかける場所だろ?  行列スキップ?  蘇生保証?  ふざけんな!!」


「強敵と戦うのに追加料金?  こっちは命がけでやってんだよ!」


 迷宮ギルド内では「迷宮は本来、厳しくあるべきだ!」という派と、「時代の流れに合わせるべき」という派で大論争が勃発。


 さらには、――「順番待ち問題」――が新たな火種となる。


「俺の番だ! いや、こっちが先だ!」


 観光客:「ゴールドパス持ってるんで、先に行かせてもらいますね~♪」


 冒険者:「ふざけるな! 俺は数ヶ月も準備して、このボスに挑んでるんだ!」


 観光客:「お金払えば誰でも戦えるんだから、文句言わないでくださいよ」


 冒険者:「貴様……!!」


 結果、ダンジョンの「順番待ちトラブル」が絶えず、迷宮の入り口では口論から殴り合いに発展する事件も発生。


 国の騎士団が「迷宮前での喧嘩禁止令」を出す事態となったが、それでもトラブルは収まらなかった。


「金さえ積めば、誰でも伝説のドラゴンに挑戦できるとか、おかしくねぇか?」


 そうぼやく冒険者たちをよそに、迷宮テーマパークの収益はうなぎ登りであった――

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