表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なろう異世界史  作者:
11/38

なろう異世界史 物流編⑩

 オレは働いた……


 転生する前より働いているんじゃないか?


 こんな使命感で働くなんて、一度もなかった。


 だからなのだろうか?


 ただ、時間を気にして、ある程度は働く。

 それ以上は働きたくなくて、わざと手を抜いてゆっくりと仕事をこなし、さもやった風をきどっていた。


 だけど、今はそんなことはない。


 ずっと時間に追われる始末。


 けれど、それがなんとも心地いい。


 誰かを助ける、誰かの役に立つ、誰かのために働く。

 こんな使命感の中で働くのがこんなにも心地いいものだなんて、知らなかった。


 昔は、ただ目の前の仕事をこなして、終わらせることだけが目的だった。

 でも今は、仕事が終わった後の「誰かのためになった」という充実感が心を満たしている。

 そして、何より、自分が納得するまで頑張り続けられる。


 オレは昔になりたかった自分になれた気がしていた。


 ただがむしゃらに、前を向いて、誰からも賞賛なんて得られなくても、自分が納得するまで続けることが、こんなにも心地いいなんて、知らなかった。


 手の皮は向け、豆はどれだけ潰れたかわからない。


 けれど……それでも……すこしづつでも、畑になっていく。


 このすこしづつでも形になっていくのが楽しい。

 まるでシムシ○ィやビルド系のゲームをしている感覚だ。


 失敗もある、怪我だってする。


 それでも、その失敗だって経験になる。


 怪我をしただけ強くなる。


 そんな、かけがえのない経験がオレを押し上げていく。


「……この、荒れた荒野が徐々に畑になっていく感覚、この陶酔感、死ぬほどいいぜぇ……たっまんねぇ……」


 と、たまに疲れすぎて、おかしくなる時もあるが、それでもこの達成感が好きなのだろう。


 ―――バタンッ


「……ご主人様!」


 いきなり倒れたオレにエリーゼが駆け寄った。


 意識が遠くなりかけているオレが最後に聞いたのは、何かを言っているエリーゼの声だけだった――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ