表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なろう異世界史  作者:
1/38

なろう異世界史

 ―――とある異世界の国の辺境の死の大地の一角の一軒家の農地にて。


 勢いよく流れる川のほとりに陶器と木材、蜜蝋や動物の皮などで水漏れ、空気漏れを防いでいる水撃ポンプの音が響き渡る。


 勢いよく蛇口から水が溢れ、農地へと水が行き渡る。


 そこに、魔術で作り出したであろうゴーレムのようなものが作物を収穫していた。


 トマトにきゅうりにじゃがいも、季節感が違うが様々な野菜や果物を収穫している。


 決して、ほかに売ることも考えてはいない家庭菜園のような農地だ。


 農家に特化したスキル持ちで、ハーバーボッシュ法(窒素固定)まで使えてしまう転生者だ。


 そして、自身の能力で作り出した、その出来栄えに、もぎたてを食べて満足そうに好々爺が微笑んでいた。


 その人物はこの異世界に転生してきた転生者である。


 そんな好々爺に孫であろうか? ゆっくりと好々爺に向かって歩いてきて話しかけてきた。


「ねぇ、おじいちゃんって転生者なんでしょ?」


「そうだね。それがどうかしたのかい?」


「なら、アイテムボックス持ってるんだよね?」


「ああ、もってるな」


「それに、転移もできるんでしょ?」


「ああ、できるぞっ! それ」


 そういうと、孫にいい所を見せたいのか、少し違う場所に転移する。


「もう、戻ってきてよ。そっちにいくのめんどくさ~い」


「ああ、悪い悪い。そら」


 と、一瞬で元の位置へと戻る。


「ねぇ、そんなに簡単にできるのに、なんでおじいちゃんは商売しなかったの? お金持ちになれるのに」


 と、不思議そうに孫は好々爺に尋ねてくる。


「そうだなぁ~。力にはな、使ってもいい力と使ってはいけない力があるからなんだよ。分かるかい?」


「ん~~~、分かんない。でも、便利な力なら使えばいいんじゃないの?」


「そうだね。人は便利すぎる力を持ちすぎるとね。楽をしたがるもんなんだよ。そして、得てしてそういう力を乱発すれば、ロクなことにはならないんだ。分かるかい?」


「わかんないっ! だって、楽になるならいいんじゃないの?」


「楽になるのは一見いいことのように思えるけどな……その先には、後悔が待ってることも多いんだ……そうだな。じゃあ、一つ面白い話をしてやろう」


「聞かせて! 聞かせてっ!」


「昔な、おじいちゃんが若かった頃、そうだな、六百年ほど前になるだろうか……あの頃のわしは力というものが分かっていなかった――」


 ―――回想


 あの頃はまだ、この異世界もブルーオーシャンで転生者も少なかった。


 だが、年数をかせねていくたびに転生者が増えてゆき、徐々にレッドオーシャンと化してきたのじゃ。


 それは金融、医療、人種問題、特に魔術と医療が発展し、ブレイクスルーを起こして、もはやエルフは長寿ということもなくなりつつあり、魔族、亜人に人、その全ての人種が、人生千年時代を迎えるのにそんなに時間はかからなかった。


 その中には、700歳、500歳問題も起こった。


 長すぎる人生と労働に疲れ果てて、引きこもる500歳の人々。

 それを支える700歳を超えた老人。


 引きこもる年月は百年単位になっていった……


 そして、物流も問題を抱えてしまった。


 しかも、アイテムボックスと転移による経済圏の破壊を起こしてしまったのじゃ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ