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内なる孤独

 数分後、鳳凰の適切な処置によって、黄泉は回復。意識を取り戻した。


「おっ、黄泉。気が付いたな?」


「…………大牙、なのか……?」


「おう。そういや、この姿は見せたことなかったな」

 確かに、黄泉の前で通常の姿や洗脳化にある姿を見せたことはあったが、闘気で髪が白金色に染まった本気モードだけは見せたことが無かった。

 となれば、一瞬気付かないのも無理はない。


「見違えたぞ。ここまで雄々しく、神々しく、そして何より、美しくなろうとはな」


「へっ、極悪ロリババァにも、『美しい』って思える感情があったとはな」


「あ、当たり前だ。前にも言ったであろう。妾とて女だぞ」

 こうして救出した黄泉と話していると錯覚するかもしれないが、忘れてはならない。彼女はまだ仲間ではないのだ。


「して、何故妾を助けた? お前と妾は敵同士であろう?」


「そりゃそうだったけどよ。今の俺は殺し屋じゃねぇから殺しゃしねぇ。それに、これは神楽さんたっての頼みだからよ」


「神楽が? あやつがお前達に何を頼んだ?」

 ごもっともな問いに鳳凰は、自らの自己紹介をしてから、彼女の頼みについて語った。

 その内容に、黄泉は馬鹿馬鹿しいと言わんばかりに笑い飛ばした。


「大人ぶって偉そうなことを言ってくれる。『違う生き方を』だと? 妾にとって生きるとは、他者を屠り、支配することだ。それ以外の喜びや幸福などあろうものか」

 相変わらずの物言いに、白虎は拳でわからせたくなるが、鳳凰は対話を諦めてなかった。


「本当にそうでしょうか?」


「何?」


「私は天人の子孫なので、相手の気を読むことができます。そこから感情を読み解くことも。先程、あなたの気を見ましたが、確かにあなたは危険です。まるで血に飢えた獣のようです。ただ、その一方で別の負念も感じました。それはおそらく、悲しみ……いえ、寂しさや孤独の類いだと思います」

 鳳凰にそう言われて、黄泉は黙り込んだ。図星だったようだ。


「あなたは、強すぎる力を持ってしまったがために、人々から恐れられ、孤立してしまった。その気持ちは私もよくわかります。私も人とは違う力を持ったせいで親からも特別扱いされ、長い間、真の理解者を得ることができませんでしたから」


「人の心に土足で踏み込んで、知った風なことを! 妾とお前ではまるで違――!」


「違いません。結果的に独りぼっちなことに、変わりはありませんから。けれど、だからといって生涯孤独とは限りません。そこから脱する方法はあります。その方法は人それぞれだと思いますが、まずは拒絶するのではなく、対話をしてみてください。殺戮でも破壊でもなく、相手を思いやりつつ、ありのままの自分をさらけ出す。それが理解者を増やすための第1歩です」

 それが姫ではなく、1人の女性として、青龍らとの日常の中で見つけた彼女の答えだった。

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