舞台は整った
程なくして、サーチライトを搭載した車数台と大型トラックが敷地内に侵入。
鶉が指を鳴らすと、サーチライトが一斉に点灯し、朱雀の影を鮮明に映し出す。
「うっ、眩しっ! 何すんねん! イカレピエロッ!」
「クラウンだって。何って、足元を見たら、一発でわかると思うけど?」
「は? 足元?」
朱雀は、手で光を遮りながら、言われた通り足元に目を向けた。
そこで、初めて気付いた。自分の影が、サーチライトの光によって伸ばされ、鶉の影と重なっていることに。
「まさか!」
嫌な予感がした時にはもう遅い。鶉に影を踏まれたことで、動けなくなってしまっていた。
「その通り! ヒバリンの影を踏みやすくするためだよー。ようこそ、あたしのサーカスへ。お代はお客様の命だよ」
「ハッ、誰がそんな、ぼったくりのインチキサーカスなんかに支払うか。商売勉強してから、出直してこいや。それに、やることもこっすいのぅ、ウズラ。自分だけが有利なフィールドに変えるやなんて」
「ウズラじゃなくって、じゅん! 物覚え悪いくせに、イケズしないでよ。だいたいさぁ、得意なフィールドに変えて何が悪いの? 元とはいえ、プロが場所を選んじゃダメでしょ」
挑発したつもりだったが、全く通じていない。それどころか論破までされたことで、カウンターパンチをもらったような気分になる。
「……正論やな。上等やっ! そこまで言うんやったら見せたるわっ! プロの底力ってやつをな!」
「うっわー、ヤケクソー。引くわー」
「じゃかましい! とりあえずその足、どけいっ!」
散々な言われように怒鳴った朱雀は、影縛りを受けた腕を根性で動かし、鶉の足下に火薬針を撃った。
爆発に巻き込む等といったダメージを与えることはできなかったが、回避行動をとらせたことにより、影踏みは解除される。
「うわっと! ありゃりゃ、解けちった。もう、ヒドイなぁ。ヒバ――」
「喋っとるヒマなんかないで! 覚悟せぇ、イカレピエロッ!」
一気に距離を詰めた朱雀は、鶉の戯言を遮るように猛攻をしかける。
ピエロとクラウン。共に鳥の名を持つ道化の少女達の死闘が、今、始まった――




