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釣られた敵を串焼きに

 しかし、もう手遅れだった。建物の屋上で待機していた黒鳥が垂らした糸を掴んで引っ張り上げられたその男は、青龍ではなく、


「Hahaha! 残念だったな愚か者共よ! 私は青龍ではなぁい!」

 E・C戦の時のように龍の紋章のような戦化粧を顔に施し、ヘアカラーで髪を真っ青に染めて逆立たせ、ツインドラコスラッシャーを装備することでそっくりに似せたアレックスだった。


 国籍も年齢も人相も全く違うこんな雑な変装、すぐにでもバレてしまいそうなものだが、敵は特殊能力があるだけのただの雑兵。幹部クラスの直属なら、直に遭遇したりして、詳しい情報を持ってるかもしれないが、それ以外の三下となれば、人づての曖昧な情報しかない。そこにつけこんだのだ。

 そうして青龍に扮した彼を囮にして、渓の部隊が施設の西側へと追い込む。全ては、武文らが考案した例の大胆な作戦・死獣神版釣り野伏を実行するために必要な一手である。


「いいぞ、ペガサス!」


「了解。天弓光(てんきゅうこう)……降り注げ、光の矢の雨よ」

 アレックスが無事、屋上に引き上げられたのを確認したペガサスは、弓に光の矢の束を番えて夜空に放ち、敵の頭上に光の雨を降らせた。

 まんまと騙されたデミ・ミュータント達は、反応が遅れたことで、足や肩、脳天に矢が突き刺さる。それは、硬化能力者も例外ではない。


「串打ちは完了しました。仕上げは頼みましたよ。お嬢様」


「承知しましたわ。では、少々下品な料理ではありますが、1人残らずバーベキューとさせていただきますわ」

 ペガサスからの通信を受けたフローラは、建物の陰から現れると、光の矢で地面に固定されたデミ・ミュータント部隊の間を駆け抜けながら、フラメ・ブリューテンブラットを散布した。

 舞い散った花弁は、デミ・ミュータントの体に付着した瞬間、発火。高熱で気管も焼かれることで、汚ならしい断末魔を上げることもなく焼却される。


「なるほど。これはなかなかにいい出来ですわね。ルドルフ、それと天使ペガサス。大儀でしてよ」


「もったいなきお言葉、ありがとうございます」

 従者を褒めたフローラは、新武器のことがよほど気に入ったようだ。

 屋上で戦況を見守っていたペガサスから、接近する敵を知らされると、自ら敵部隊の方へと突っ走り、フラメ・ブリューテンブラットを乱発した。

 その様は、まるでおニューの玩具を手に入れた子供のようだった。

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