助っ人
と、そこへ、ペガサスが言っていた助っ人が呆れた様子で現れた。
「助っ人だと言われて来たが、私は来る場所を間違えたか?」
「ゲッ、その声は……」
嫌というほど聞き覚えがある声を耳にした雲雀らは振り向いた。
「また会ったな。貴様ら」
「何しに来よってん!? 猛犬女!」
まさかの忍の登場に、柚を筆頭に全員が警戒心を露にする。源士郎が敵方にいるのだから、こうなるのも無理はない。
「どうしてここに? あなたはあの男と同類のはず。返答次第では相応の対応をとらせていただきますが」
そう言いながら、柚は愛刀に手をかける。
「柚さん、気を鎮めて。彼女は味方だから」
「信用できない。ペガサス君がそのつもりでも、この女もそうだとは限らないでしょ?」
「安心しろ。私は絶対に裏切らない。特捜5課の誇りにかけて誓う」
一点の曇りもない真剣な眼差し。どうやら、ペガサスがかけた魅了の力によるものでもなく、本心から言っているようだ。
「犬飼警部、何かあったんですか? あなたが父親に逆らうなんて、よほどの理由があるのでは?」
不思議に思った龍が理由を聞くと、忍は正直に答えた。
確かに、忍はこれまで、源士郎の指示に従って生きてきた。それは、尊敬する父だからというのもあるが、特捜5課の活躍と存続のためには、それが最適だと思っていたからだ。
だが、その父が道を誤ったのなら話は別。犯罪者となったあの男を止められるのは、娘であり特捜5課を指揮する自分しかいない。
だから、こうして加勢に来たのである。
「……たとえ、殺すことになっても、ですか?」
「無論だ。『犯罪者は容赦なく殺せ』それが他でもないお父様の教えだからな」
それだけ聞ければ十分だった。特捜5課に恨みがある柚を含め、皆、彼女を歓迎した。
もっとも、関係性まで改善されることはなく、源士郎の首をとる役目を巡って、柚と忍はいがみ合うことになったが。
もう見慣れた光景だけに、仲裁するだけ無駄ということは、この場にいる誰もが知っている。
知らない人物がいるとすれば、全く接点のない彼女のような者だけだろう。
「あの、止めなくていいんですか?」
「あぁ、かまいません。いつものことですから。それより、わざわざ来てくださってありがとうございます。神楽さん」
礼を言うペガサスの口から出た『神楽』という名を耳にして、初めて彼女もいることに気付いた龍と大牙は、ほぼ同時に顔を向けた。
「ほんとだ! 神楽さんじゃないっすか! 久しぶりっす!」
「お久しぶりです。大牙さん。その様子だと、後遺症は無いみたいですね」
「もしかして、神楽さんがここに来たのって、黄泉さん絡みですか?」
「えぇ。事情はペガサスさんと、ここまで連れて来てもらった忍さんから伺いました。私にも協力させてください」
姉との因縁に今度こそ終止符を打ちたい。英理村で散ったクローン達の分まで、懸命に幸せに生きようとしている神楽なりのケジメなのだろう。
ここまで強い意志で申し出た相手の頼みを断れるわけがない。龍と大牙達は彼女の同行を了承した。
これで人員と装備といった準備は整った。あとは、それらを十二分に活かす作戦に基づいて、各々の役目を果たすのみ。
その作戦についても、武文と岩男が既に立案していた。それも、敵の意表を突くような、とびっきり大胆な作戦を――――




