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ヨルムンガンドの刃

 どれも素晴らしいの一言に尽きる装備だが、驚くのはまだ早い。柚が手にする5つ目の新装備こそが、最も高性能且つ、最も危険な武器なのだ。


 その名もヨルムンガンドスラッシャー。ペガサスが設計し、閻魔大王と地獄出身の協力者と、あの世にいるブラック・ナイトの開発部が作ったヒドラスラッシャーの最終型である。

 素材にはエンジェメタリウムと対をなす合成金属・シャドメタリウムが使われており、シェンロンスラッシャーより細くした代わりに、長さを1.5倍にしたことで、リーチと手数に特化してある。

 言うなれば、火力と耐久性を増したシェンロンスラッシャーが『剛』の刃とするなら、こちらは『柔』の刃である。


 それを可能としている最大の要因は、毒を噴射するために付けていたタンクを取り外したことにある。

 そうなると、ウリの1つである毒関連の技が出来なくなってしまうと思うかもしれないが、抜かりはない。この武器の素材にはシャドメタリウムだけでなく、地獄の猛毒・黒縄毒(こくじょうどく)も使われているからだ。


 黒縄毒とは、地獄に落ちた咎人を苦しめる地獄の1つ・黒縄地獄で用いられる危険な毒であり、別名・無間毒(むげんどく)とも呼ばれている。

 その所以は、邪気から無限に生成されるからというのもあるが、致死量、致死率、苦痛の質が他の毒を遥かに凌駕する反面、即死性だけは極端に低く、無間の苦しみを味わうところからきている。

 実際、この毒を青酸カリの1/1000でも浴びようものなら、全身から血を噴き出し、死ぬような苦痛と魂が削られ燃やされていくような感覚を7日7晩味わった末に死ぬことになり、魂も消滅するため輪廻転生もできなくなってしまう。この性質は、地上の毒が一切効かない天使にも有効である。

 だから、ペガサスは設計のみを行い、地獄組に製作を一任していたのだ。


 そんな澪達はおろか、毒のスペシャリストである凛華でさえ絶句するほど危険極まりない猛毒が、黒蛇の愛刀・ヒドラのように刃にたっぷりと練り込まれており、こちらは本人の意思によって、刃から黒縄毒を撒き散らせるようになっている。

 すなわち――


「――そういうわけだから、毒を散布する時は、半径50メートル圏内に味方がいないことを確認してから使ってね。でないと、僕も君達も御陀仏だから」


「でしょうね。そうでなくとも、これを装備してる時は、間合いに味方が入れないようにしないと」

 ということでもある。

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