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タイムリミットは夜

 無念の帰還から2日経った平成21年7月29日の朝。柚以外の面々は、朝食を食べ終わったタイミングで、ブリーフィングルームに召集させられた。


「よーし、集まったな」


「武文君。それにペガサス君と東條さんも。何かわかったんですか?」


「あぁ、生き残った科学者連中からの話のおかげでな」

 何かしらの進展があったようだが、3人の顔から察するに、あまりいいニュースとは言えないようだ。

 それについて、まず口を開いたのは武文だった。


「――結論から言うよ。僕らに残された時間は、もうほとんどない。もって日付が変わるまでだね」


『どういうこと? タケ君!?』

 武文らいわく、黄泉の蘇生手術が昨日の段階で完了し、いつでも遺伝子を採取できる状態に入ったことが、捕らえられていた科学者達への聞き取り調査で判明したそうだ。


 また、未来が京介から聞いた話によると、芹には元々制御処置をされる予定だったのだが、その前に彼女は逃亡していた。

 けれど、彼女は性格面での問題こそ抱えていたが、自らの意思で能力をコントロールできている。

 では、何を制御するのか。能力ではないとすると、答えは明白だった。


「――まさか、井川さんの自我を!?」

 龍の答えに、3人は頷く。


「あいつ、マジで井川先輩を道具にしようとしてんすか!?」


「……違う。そんな生易しいものじゃない」


「え?」


「飛鳥さんの言う通りだよ。敷島は彼女を兵器にしようとしている。道重鶉が言っていた『真の切り札』とは、井川さんのことだったんだ」

 ペガサスの口から語られた推理に、龍達は言葉を失った。

 野望の道具にされるだけでも最悪なのに、この上、兵器に改造されたら本当に取り返しのつかないことになる。何としてもそれだけは阻止しなければならない。


「もしかして、その自我が制御されるまでの時間が……」


「えぇ。日付が変わるまでです。もっとも、それは彼が1人で作業したらの話なので、助手が手伝えばそれだけ――」


「時間も短縮されるってことか」


「はい。条件次第では、早ければ今夜9時には井川さんの自我が制御されてしまうかと」

 午後9時。武文から告げられたタイムリミットに、龍達は一刻の猶予もないことと、事態の深刻さを痛感した。

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