表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/77

届かぬ声 迫る凶刃

「敷島博士ーっ!」

 青龍は必死に叫んだが、マッドサイエンティストの耳には届かない。

 代わりに返ってきたのは、鶉から投げ放たれた4本のナイフだった。


「もう、男のくせにギャーギャーギャーギャーうるさいなー。彼女でもない女のことで、マジになりすぎだよー?」


「同感だな。で、どうするのかね? お嬢さん」


「ん? 全員ぶっ殺すに決まってんじゃん。ま~ぁ、その間だけは喚かせてあげよっかなー? とは思ってるけどね。ワオ! 鶉ちゃんやっさしー!」

 別に優しくもないし、そもそも、『恋と未来は生かせ』という京介からの命令が、頭から抜け落ちている。

 そんなイカれた少女の隣で、焔司郎はやれやれと肩を竦めたものの、プロとして手伝うことにした以上、仕方ないと気持ちを切り替え、再び火の玉を生み出した。


「その火、デミ・ミュータント能力によるものではないですね。犬飼源士郎のとは原理から何から違いすぎます」


「ほう、目敏いな。流石は天使といったところか。如何にも。これは私が天より授かった力・炎のミュータント能力だ」

 デミ・ミュータントではなく、ミュータント。黒龍以来となる存在に、黒猫らは驚くが、それだけに疑問も生じる。


「ミュータント? なら、どうして彼の元に? 新しい力を得るためですか?」


「そのつもりはない。付け焼き刃の手段を無駄に増やしたところで、かえって邪魔になるだけだ。それでは美しくない。私はあくまで協力者。とある人物に依頼されて、遺伝子の提供と用心棒をしているたけだ」

 つまり、京介の理念に賛同しているわけではない。

 だからといって、見逃す理由にはならない。依頼のターゲットというのもあるが、そうでなくても、この男を野放しにしてはならない。この場にいる誰もが、直感的にそう感じていた。


「話は終わったー? んじゃ、喉が張り裂けるぐらい大ーきな断末魔を上げてね。んじゃ、いっくよー!」

 鶉は上機嫌にそう言うと、ナイフを手に襲いかかってきた。


 飛びかかってくれてたら、影踏みが解除されるため、まだ良かったが、これでは手も足も出ない。

 最低でも2,3人は死人が出ることをフローラ達は覚悟した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ