再会早々
昼食後。昼休憩が終わるということで、龍達は仕事場に、澪と奏は家に帰ろうと店を出た。
そこで、約数ヶ月ぶりとなる彼らとバッタリ会った。
「やぁみんな。ここにいたんだ」
「げ、玄田君! それに、先生も! 2人共、どうしてここに?」
武文と紫乃である。日本からの便が無くなったタイミングでの来訪に、龍達は驚きを隠せない。
「実はね、ここに来たのは君達一家に用があったからなんだ。というわけで悪いけど、店を閉めて、休暇の連絡を入れて、宿泊の用意をしたら、再びここに戻ってきてくれる?」
唐突で矢継ぎ早な要請。何がなんだかわからない龍達はポカンとする。
「え?」
「どういうことですか?」
「後で話す」
京士郎との一件の時もそうだが、武文がこんな風に事情を隠す時は、大抵ロクなことが起きない。龍達、特に雲雀と柚は露骨に嫌な予感がする上、腑に落ちないが、拒否権は無さそうだし、何よりあの武文が自分達を陥れたりはしない。
彼の言うことを信じた青山一家は、言われた通り宿泊のための荷造りをするべく、一旦、自宅に帰った。
数十分後、あまりにも急だったため、柚の休暇申請は難航したものの、どうにか認められ、出発準備が整った青山一家は自分達の店先に戻ってきた。
すると、戻ってくるや否や、武文は、
「じゃ、これを着けて」
と言って、人数分のアイマスクを手渡した。
「アイマスク?」
「うん。外してもいいって言われるまで外さないでね」
嫌な予感がますます加速する。
それでも、大人しく従うしかない。不承不承ではあるが、全員、アイマスクを着用する。
「みんな、ちゃんと着けたね?」
「う、うん。何も見えてないよ」
「それで良し。じゃ、頼んだよー」
武文がそう言った直後、気配が1つ増えたのを龍と雲雀と柚は感じ取った。その正体がわからず困惑する3人だったが、追及する間もなく、青山一家と武文と紫乃はエピウスの大地から忽然と姿を消した――――