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監禁部屋にて

 その頃、敷島一派に捕まった未来は、頑なに拒んだことが災いしたのか、突き飛ばされるように監禁部屋に入れられていた。


「つっ!」


「お前も、そこにいる連中も、博士の言うことを大人しく聞いておいた方が身のためだぞ?」

 未来を連行したデミ・ミュータントの男はそう言うと、扉を閉めて施錠した。

 結局は家族や友達に迷惑をかけただけ。京介の心を改めることができなかった未来は、ひどく落ち込む。


「敷島さん……」


「その声、未来ちゃんか?」

 暗い部屋の奥からした聞き覚えのある声に振り向くと、そこには、かつて京介と一緒に叶教授の助手をし、現在は未来から引き継いだデミ・ミュータントの研究を続けている神戸大学の准教授・手塚賢助(てづかけんすけ)を筆頭とする科学者や、宙と美夜、瞳と零がいた。


「皆さん! やはりこちらに。それに瞳さん達まで、どうして?」


「いやー、忙しい翔馬と恋抜きで旅行を楽しんでたら、偶然巻き込まれちゃってね。2人を守ろうと必死に抵抗したんだけど、流石にあの物量のデミ・ミュータントには勝てなかったよ」

 宙と美夜はともかく、様々な格闘技の有段者である瞳と半龍半人の零を捕えるとは只者じゃない。2人や未来も知らない強いデミ・ミュータントが他にもいたのかもしれない。


「それより、未来さんこそどうしてここに? エピウスで暮らしてたはずでしょ?」


「実は――」

 説明を求められた未来は、これまでの経緯を話した。


「そうか。敷島は未来ちゃんに協力を……あいつらしいな」


「どういう意味? チキンだから万全を尽くしたいってこと?」


「それもあると思うけど、1番は私のことが好きだからじゃないかな?」

 マッドサイエンティストらしからぬ青臭い理由に、初耳だった宙達は喫驚する。


 事実、上司である叶教授夫妻から紹介されて、初めて会った時から、京介は未来に一目惚れしていた。自らの境遇や性格、研究に没頭しすぎていたせいで、告白する間もなく龍に奪われてしまったが、それでも京介は、未だに初恋の相手である未来と結ばれることに固執しているのである。


「そういえば、私達はここに連れてこられて、即ぶちこまれたけど、未来はけっこう時間がかかってたみたいだね。何してたの?」


「特には。フランス料理のフルコースと、源泉かけ流しのお風呂をいただいただけで」

 好意のある無しだけで、ここまで扱いが違うと、贔屓という言葉すら生ぬるく感じる。

 エサ同然の食事しか与えられず、放置され続けている宙達からすれば、羨ましい限りである。

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