表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/77

3本の矢

 そんな、万人から賛同はおろか、共感すら得られるはずもない彼の研究は、現在、第一段階の途中。すなわち、元となる遺伝子を提供する3人の能力者を集めているところだそうだ。


 便宜上、3本の矢と呼ばれるそれらの能力の内、見つかっていないのは、不老不死のみ。

 京介は、混血による拒絶反応を恐れているらしく、デミ・ミュータントを生み出す等して、可能な限り人間から得ようとしているが、このまま難航すれば、半妖として不老長寿となった恋をリスク覚悟で狙ってくるだろう。


 一方で、残りの2つについては、既に発見されている。

 1つは、神通力。広い意味で言えば超能力であり、彼らは旧英理村で、そのサンプルとなる人物を発見していたそうだ。

 聞き覚えのある地名と超能力という単語に、当事者だった大牙は真っ先に反応する。


「英理村って……まさか、神楽さんっすか!?」


「それはないよ。だって彼女は、今も龍君の前の家の隣に住んでるから。身柄を確保してるんならそっちを言うはずだろ?」

 ごもっともな反論に、大牙は納得するが、だとすると、思い当たる人物の見当がつかない。


「他にわかることは?」


「名前はわからないけど、液体カプセルに入れられるところを1度だけ。上半身と下半身が真っ二つになって死んだ女の子で、長い金髪と尖った耳をしていたと思う」

 そこまでわかりやすい特徴を言われたら、自ずと答えが出てくる。サンプルとなっているのは、十中八九、黄泉で間違いない。


「よりにもよって、あの極悪ロリババァからかよ」

 いいように操られたトラウマがあるからか、黄泉が関わっているという事実に、大牙は頭を抱える。


「けど、それって変じゃない? 生命活動が停止した遺体から遺伝子を取っても、満足のいく結果にはならないんじゃ……」

 柚の言う通りだ。死んだ細胞からでは十分なデータを取ることはできない。混血によるリスクを極力回避したいほどチキンで慎重派の京介が、そんな賭けをするとは思えない。

 ならば、いったいどうやって? その答えは先程の芹の証言の中にあった。


「……いや、だからこその液体カプセルか」


「どういうこと?」


「彼らは、液体カプセルの中で黄泉の体を接合し、蘇生させてから、遺伝子を取るつもりなんだ」

 悪魔の医学と言っても過言ではない方法に、大牙達は驚愕する中、結論を導き出した本人であるペガサスは、誰よりも戦慄する。

 現代の人類の科学力では到達し得ない領域にある蘇生法。それを行使する京介らに、強い違和感と、得体の知れない恐怖を感じたからだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ