遅れて到着
数分後。黒猫と朱雀とペガサスがデミ・ミュータントに包囲され、それ以外の者は全員、腰を抜かしたり、片膝をついたりして動けなくなっていた。
そんな彼らを尻目に、源士郎は悠々と玄関に向かって歩いていく。
「では、私はこれで失礼させてもらう。半数は奴らを足止めしつつ駆逐。残りは私と共に来い」
「ま、待てっ!」
玄武は必死に止めようと声を上げるが、源士郎の耳には届かない。いとも容易く侵入を許してしまった。
「あんの鬼犬ーっ!」
「犬飼源士郎……あの男だけは!」
黒猫と朱雀は、源士郎に対する怒りを露にする。すぐにでも追いかけて行きたいところだが、残ったデミ・ミュータント達が鳳凰や白虎らを仕留めようとしている。まずは彼らの相手をするしかなさそうだ。
気持ちを切り替えた3人は、仲間を守りつつ、協力して各個撃破していったが、相手の物量は多く、倒しても倒してもキリがない。
「このままだとマズイか。恋、そろそろ動けそう?」
ペガサスの問いかけに、恋はよろめきながら立ち上がり、自身の体から生み出した赤紫色の剣・幻魔を構える。
「なんとか。にしても、恐怖で体が震えて動けなくなるなんて。こんな感覚、久々だよ。あいつ、いったい何したの?」
「さっき、『力が必要だから協力した』って言ってただろう? つまりは、そういうことだよ」
ペガサスの見解を聞いて、皆、合点がいった。
もし、それが本当なら、龍だけで芹を守りきれないかもしれない。危機感を募らせる一同は、動けるようになった者達から順に得物を構え、反撃に転じたが、依然包囲されており、進路を塞がれてしまっている。
このままでは……海姉弟や獅子が不安を感じ始めたその時だった。紅蓮の業火がデミ・ミュータントの集団を飲み込み、一瞬にして火だるまにした。
こんな芸当ができるのは、彼女しかいない。
「やっと来たね。待ってたよ」
「遅くなって申し訳ありませんわ。少々私用が立て込んでおりまして」
「かまわないよ。結果的にベストタイミングで来てくれたから」
玄武が許すと、ルドルフを連れて現れたフローラは気品に満ちたお辞儀をして、感謝を伝えた。
「ところで、先程から姿が見当たらないのですが、龍さんはどちらに?」
「訓練所の中よ。彼女を守る最後の砦になろうとしてるんじゃないかしら」
凛華の返答に、フローラは龍の気持ちも含めて納得すると、一刻も早く加勢に向かおうと奮戦する。
無論、2人に任せっきりになどしない。仲間と依頼者を死なせたくない彼らは、大阪空軍訓練所に所属している兵士からの援護を受けて、デミ・ミュータントを倒し、急いで跡を追った――――




