今度こそ報酬を
最後の1人である柚の意思を確認した武文は、代表者として芹と岩男に正対するように向き直ると、
「わかりました。元サイトオーナーとして、その依頼、お受けいたします」
と、正式に依頼を受ける旨を伝えた。
これでようやく救われる。頼れる者達が味方についた芹は、感謝の言葉と共に深々と頭を下げた。
「頼もしいねぇ。こりゃ、成功した暁には報酬をはずまねぇと」
『ちなみに聞くけどぉ、報酬っていくらなんだわさ?』
「俺からは780万。嬢ちゃんからは確か……130万、だったか?」
2人合わせて910万。いつも通り、海姉弟ら協力者とペガサスと愛花を抜いて計算すると、1人当たり113万円。
なかなかの大金に、いつの間にか入れ替わっていた乙女らは色めきだつが、芹が待ったをかける。
「あ、そのことなんですけど、取り分は均等ではありません」
「へ? ていうと?」
「私が支払う130万の内、30万は青龍さん個人になんです」
「はぁ!?」
青龍だけ名指しで増額されるというイレギュラーに、龍達は思わず耳を疑う。
『なにそれー! えこひいきぃ?』
「ち、違うよ! 昔、依頼した時の報酬を『身売りでもする気?』って言われて、受け取ってくれなかったから、今度こそちゃんとお支払いしようと思って……」
そういう事情なら仕方ない。武文はサイトオーナーとして、依頼者の意向を汲むことにした。
「ありがとう。それでその、青龍さんは? ここにいるんですよね?」
「なーに言ってんすか井川先輩。先輩なら、そ――」
そう言いかけたところで、雲雀と柚は紫乃は、羽毛のように軽い大牙の口を一斉に塞ぎ、これ以上喋らせないようにした。龍の気まずそうな顔を見ていれば、明かすべきではないということは、バカでもわかりそうなものである。
一応、武文と翔馬が即座にフォローを入れたおかげで勘づかれることはなかったが、このまま依頼に参加すれば、バレるのも時間の問題。
例えようのない不安に襲われた龍は、ダラダラと冷や汗をかき続けた。
その一方で、未来は未来で思うところがあるらしく、ブリーフィングルームを出た後、どこかに電話をかけた――――




