表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

70/97

文化の違い

 スキップしたくなる気持ちを抑えて、アンリーヌに着いていくと、日本の温泉や銭湯のような和風な感じではなく、実写化で話題になったあの温泉ドラマに出てきそうなイタリアローマのような洋風なお風呂屋に着いた。

 かなり大きな建物だ。

 全力で客を歓迎している開放的な入り口を潜ると、まるで高級ホテルのロビーのような空間が広がっていた。

 

「すごいね、思ってたよりも本格的っていうか‥‥‥アン姉、ここ本当にただの民衆風呂場?」

「うんうん、もっとこじんまりした銭湯みたいな感じかと思ってたら‥‥‥」


 律とわたしの反応に、アンリーヌとヨナは首をかしげる。


「せんとう‥‥‥?と言うのが何かはわからないけど、この世界ではこれが普通ね。基本風呂場はひとつの街にひとつしかなくて、この町で言うとここがそのひとつよ。風呂屋に行くとなったら町中の人がこの建物に集まるから、そりゃあ大きくないと人が入らないわ。それにここは貴族街に一番近い町で、偉い人や観光客なんかも沢山くるってのもあるし、何より風呂の種類が多いのがいいわね」


 なるほど、日本のように、小さな銭湯がポツンポツンとあるわけじゃなく、でかいのがドーン!と言うわけか。

 めちゃくちゃ落ち着かなさそうだな。

 ーえ、とんでもなくでっかい浴槽にわいわい入るってこと‥‥‥?

 もはやお風呂ってよりプールみたいになってそう‥‥‥ちょっとやだな。

 いやいや!わがまま言ってちゃダメだ、お風呂に入れるだけでもありがたいんだから。

 それに種類が多いってことは、浴槽1個バーンではない、多分!


「さてと、受付に並びましょう。並んでる間に、どのお風呂に入りたいか決めておくのよ。ひとつしか選べないから、これが迷うのよね〜どうしましょう」

「ヨナ、疲労回復にする」

「‥‥‥ん?ええっと、ひとつの種類のお風呂しか選べないの?好きなようにお風呂場を動き回って、次はこのお風呂、次はこっち、次はサウナ、とかじゃなの?」

「咲久、何言ってんの?もしふたつの種類に入りたいにしても、ふたつ券を買うことになるから倍お金がかかるし、ひとつのお風呂に入ったら、服を着てそのお風呂の脱衣所を出て、ふたつ目の風呂場の脱衣所に着いたらまた服を脱いで‥‥‥って、その都度着替えないと、部屋移動があるのよ?まさか全裸で廊下を歩き回るつもりなの?」

「ち、違う!文化の違い!そう言うことね、わかった理解した!わたしの元いたところでは、いろんな種類のお風呂が大体大きな部屋にいくつもあって、脱衣所もひとつで‥‥‥それを想像してたの!本当に誤解だから!」


 唐突にヨナに痴女疑惑をかけられて、慌てて誤解を解く。

 律が隣で爆笑していてうざい。

 絶対律だってヨナの説明聞くまで私と同じ疑問抱いてただろ!


「うふふ、咲久ちゃんたちのいた世界はサービス精神旺盛でいいわねえ、ここでは基本1種類のお風呂を選んで入るし、ひとつひとつ温泉の効果によって値段も違うのよ。1番安いのはただのお湯。値段もちょうどよくて人気なのはヨナが選んだ疲労回復の風呂や、肩こりや腰痛に効くお風呂とかね」

「へえ‥‥‥高いお風呂だとどんな効果があるの?」

「病気を治すお風呂は高いけどやっぱり人気ね。あとはそうね‥‥‥ちょっとえっちな気分になるお風呂とかかしら。カップルの旅行客に人気ね、きっと夜はお楽しみにー」

「ちょ、アンお姉ちゃん!」

「あらあらごめんなさい、咲久ちゃん。ふふ、おふざけがすぎたわね」


 わたしがアンリーヌの話を遮ると、楽しそうにきいていた律はつまらなさそうな顔をして、ヨナは呆れた顔で大袈裟にため息をついた。

 律もアンリーヌもいい加減にしてほしい。


「咲久、どのお風呂入る?ここはノリよく、例のあのお風呂にー」

「あほ!入るかばか!わたしは律がいないお風呂に入る!」

「こらこら2人とも、ここは声が響くんだから喧嘩しないのよ〜」


 ー元はと言えばアンリーヌが変なこと言ったからだろ!

 こうしてしばらく揉めたあと、ヨナが決めた疲労回復のお風呂に結局4人で一緒に入ることになったのだった。




お読みくださりありがとうございます。

次話やっとお風呂に入れます‥‥‥やっと。早くお風呂シーン書きたい。

改めて、ここまでブックマークやいいね、評価やコメントを送ってくれている方々、本当にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
お風呂 平たい顔族が開拓したという… わたしも咲久ちゃんと同じ いろんなお風呂試したいひとです なんか、でも作業的であんまし楽しくないお風呂なのかな それでも久々のお風呂は嬉しいよね 次回もなんとなく…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ