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中編 アルト氏との出会い

 やっぱり継承の儀とやらを受けなくちゃいけないのかな?

 私は爆発させても安全な魔法は何かを考え続けて、継承の儀に向かうことになった。

 

 お父様とお母様と手を繋いで、教会へと向かう。

 七海の感覚があるから両親と手をつなぐのが小っ恥ずかしくて仕方ない。

 六歳児だからいいんだよね?

 ほんのり赤い顔をして歩いていると母に「暑い?」と聞かれて「大丈夫」と答えた。


 六歳になる子供は少ないのか、私の他に二人しかいなくて、二人が室内に入っていくのを眺めていた。

 本来なら高位貴族の私達から受けるものなのらしいのだけれど、ちょうどタイミング良く?悪く?先に下位の子たちが入っていった後に私達が着いたところだった。


 私の記憶にある継承の儀は、下位貴族を差し置いて私から受けていたので、これだけでも少し未来を変えられたかもしれません。


 下位貴族の子達が頬を染めて嬉しそうに出てきて、私達に挨拶をして帰っていった。

 子供達の目がキラキラしていて、ちょっと羨ましくなる。

 夢があるっていいなぁ〜と思いながら見送った。

 私の未来、どうなるんだろう・・・↴↴↴はぁ〜〜〜。


 私は両親に連れられ、継承の儀を行う一室に入室の許可をあたえられた。

 イエス・キリストのような・・・あー磔にはなっていないけど、石像が石板の聖書のようなものを持っていて、ただその石板に触るだけ。

 それだけで火魔法が爆発するんだよ!!


 弟妹から両親を奪っちゃうんだよ!!私!

 本来なら触れて、それだけで終わるのに、私が石板に触れると、炎の魔法が室内をとぐろを巻くように炎が走り、両親、ここにいる教会の方をも殺してしまう。


 私はなんとか炎の魔法は使わないように自分に言い聞かせ、石板を触るために置かれている階段を上って、ゴクリとつばを飲み込んで、恐る恐る石板にふれた。

 その途端ぱぁーーっと光が部屋中を照らして、収束していった。


 よし!これで大丈夫!!孤独から離れたんじゃない?!


 はい!お約束!!「ステータスオープン!!」

 ・・・何も起こらないよ。もしかしてステータス見られない世界なのかな?

 こうなんて言うの?ズラズラと並んだ数値を見たかったよ。凹む。


 まぁ、なんとか炎を出さずにすんだことに安心していると、目がくらんでいたこの場にいた私以外の全員が、異常事態が起こっていると認識したらしい。

 両親はオロオロして私に抱きついてくるし、教会の人は走って部屋から出ていってしまった。


 教会の偉い人が呼ばれ、偉い人は説明を受けるが、その現場を見ていないと、その異常性は解らなかったようで、もう一度石板に触れるように言われ、炎は出さないと心のなかで唱えながら、もう一度石板に触れた。


 石板にふれたことで、おぼろげだった記憶がすべてつながり、七海が死んだ理由や、この先何が起こるのかまで思い出すことができた。


 七海の死因ショボすぎて世間様に披露できないレベルだ↴↴↴

 夏の熱い夜、暑いからって水着を着てお風呂で寝てしまって溺れて死んでた・・・。

 こんな死因ある?


 グレイシーが七海に入っていなくて良かった。

 それだけはホッとしたよ。

 ってことは融合してるんだよね?でも、七海成分多くないかな?

 グレイシー成分が多めだと、もうちょっと私まともだったかもしれない。


 まるで体験したことのように次々思い出す。

 これなら七海の記憶力が悪くても、問題ないレベルで安心する。


 炎を爆発させなかったことで、未来は変わってしまったので、これから先は手探りになってしまうみたい。

 大きな道の分かれ目があるみたいだけど、それほど不幸なことにはならないような感じで一安心する。

 悠久の孤独だけはいらないものね。


 石板に触れれていれば触れているほど色々なことがはっきりしていくので、私は石板の上にずっと手を置いていた。


 単なる石板だと思っていると、開いたページには魔法陣のようなものが書かれていて、その魔法陣の要所要所に宝石が配置されていた。

 眺めていると、その魔法陣の意味がわかってくる。


 それは十色の宝石で、魔法の属性なのね。と頭をかすめた。

 あーーー私、この魔法陣だけなら自分で作れることに気がついた。宝石を増やしたらもっと属性が増える。


 教会の人たちの視線を感じで、気まずい思いをする。だって今回は表面的には何も起こっていないんだもん。

 今回は光ることも、炎がとぐろを巻くこともなく、六歳児がただ石板に触れているだけの光景だった。


 教会の偉い人はちょっと不服そうだったが「能力の高い子がたまに石板に触れただけで、その能力を発揮することがあるので、この子供は魔法の能力が高いと思われるので、それなりの対応を取った方がいい」と両親に話していた。


 その間も私は石板に触れたままだ。

 詳細まで記憶が蘇っている。

 完璧に補完されて私は満足した。


 急に頭の中に二人の男女が私のところにやってきて、私に魔力の制御の方法を教えようと奮闘するが、魔法の感じ方がこの世界の人とは違うため、何の役にも立たないことが解るという未来が見えた。


 これ、お父様に話していいことなのかな?

 能力のことは黙っていたほうがいいのだろういか?


 お父様に「グレイシーもう石板から手を離してもいいよ」と言われても私は石板の宝石全部に触ったり、していた。

 宝石だと思っていたものは魔物から取れる魔石だった。

 魔石に触ると、魔物の種類が解った。

 より良い魔石を集めたらもっと属性の性質も良くなるかな?種類も増えそうだよね?



 その翌日、昨日見た男女の二人がやってきて、魔法とはなんぞやという話をしてくれたが、決して話し上手な二人ではなく、六歳児に解るような話ではなかった。


 過去?未来?の記憶がある私には、理解できたけど、この人達何を言っているのか解らない?というポカーンと口を開けた状況だった。


 リリーが見かねて、私に理解できるように説明しようとしたけれど、リリーの理解力が低かったため、私はポカーンとしたまま一日が終わった。


 その次の日からは魔法のことが書かれた本を次から次へと読み進め、この世界の魔法とはなんぞやということは理解できたけど、この世界の魔法の理解では私の魔法は使えなかった。


 私は私が理解している魔法の使い方しかできなかった。ただ、魔法は思うように使えた。それも無詠唱でイメージだけで魔法が使えた。

 風を吹かせようとすると突風が吹き、炎を出そうとすると屋敷一つ焼いてしまいそうな威力の炎が出た。

 水を呼ぶと突然稲光がし始めて豪雨が降り、明かりを灯そうとすると、目が焼き切れるかと思うほどの明かりが灯った。


 長雨が来ても、この光があれば作物は良く育ちそうだと思わず思ってしまった。

 エアコンの魔法が使えるのがちょっと嬉しかった。


 これ、全て人が見ていないところでやったので何の問題も起きていないが、人前でこれをやっていたら、私は何処かに隔離されて、それこそ悠久の孤独な目にあってしまっていたかもしれない。


 ガリレアもセレーテもとっても可愛いので、私はずっと一緒にいたい。


 なんとか威力を調整しようと頑張って、頑張って、頑張って、やっと生活魔法を生活魔法らしく、指先に炎を灯すことが出来るようになり、そよ風で髪を乾かすことが出来るようになり、明かりを灯すと、室内で丁度いい蛍光灯のような明かりを灯せるようになった。


 私は家の中にある魔法のことが書かれている本を読み終わってしまったので、新しい本が読みたいから図書館へ行きたいとお願いすると、リリーと護衛が三人も付いて来てくれて、図書館へ向かうことが出来た。


 読んだことのない本を片っ端から読んでいき、閉館だと言われては貸出をして持ち帰って本を読み、また翌日になると図書館に行く事を繰り返した。


 書かれていることは書いている人が変わるとまるっきり違うことが書かれていて、この世界の魔法書は私には何の役にも立たないとがっかりした。


 ただ一人、私と同じ感性で魔法を使っている人がいた。ヴァリュー・アルトという人で、この人も転生か前世を持っている人ではないかと思った。

 魔法のイメージがTVアニメ感覚なのだ。

 魔法で出来ないことはないっ!!って感じで。

 ヴァリュー・アルトという人はまだ二十三歳という若さで、魔法書を十冊も書いている人だった。


 ヴァリュー・アルト氏宛に手紙を日本語で書いて、理解できるようなら会ってみたいです。と書いて送った。

 生活の場が割と近くの人だったらしく、手紙を出して一週間で手紙の返事を持ってヴァリュー・アルト氏が我が家のノッカーを叩いていた。


 リリーに「お嬢様にお会いしたいという方がいらしております」と呼び出され、応接室に行くと、日本人丸出しの外見の人がいた。


 残念なことに私はこの世界の人の特長を備えていたので、ヴァリュー・アルト氏はがっかりしていたが、中身が日本人とわかるとそれは嬉しそうに色々と話した。ヴァリュー・アルト氏は生まれも育ちも大阪育ちだったけど、不幸な事故で死んでしまって生まれ変わったはずなのに、日本人の姿形で生まれて母親が浮気をして出来た子供だと疑われて調べて、夫婦の子供だと判断されたらしい。


 疑われた母親は夫のことを許すことが出来なくて、離婚。

 それ以後養育費の支払いのみの付き合いだったらしい。アルト氏も父親には思うところがあるので、会っていないのだと笑って話していた。


「その姿は日本人だったときと同じ姿なのですか?」

「いや、全く違う」

 私はガクッとコケる真似をすると、アルト氏は大喜びをした。


「母方の曾祖父が、同じような感じの人だったらしい。多分、転移者じゃないかと思っているんだ。俺の魔法論理は曾祖父が書き残したものが種となって、魔法が使えるようになったからな」


「えっ?想像したら何でも出来る系統じゃないんですか?アルト氏の魔法・・・?」

「いや、そこに思い至るところに行くまで使えなかったんだ。まぁ、半年ほどで使えるようになったけどな」


 私の膨大な魔力量のことで相談に乗って欲しいとお願いした。

 魔力が大きすぎることで人死が出そうなことなどを話すと、魔法の扱い方を教えてくれることになった。

 お父様がアルト氏の著書を読んで、私に向いているのだと説得して、魔法の家庭教師として雇ってくれて、屋敷の一室を与えてくれることになった。

次話、15日17時UP予定です。

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