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前編 煎餅食べたいと目覚めたら、何かを思い出しかけていた。

三話作です。

ハイファンタジーでいいかどうか自信がありません。

違う場合は教えてください。

 煎餅が食べたい・・・。

 自分の寝言で目が覚めた。

 えっと・・・せんべい?ってなんだっけ?

 パチパチと瞬きをしてせんべいについて考えてみる。

 塩せんべいが好きだったことを思い出す。


 

「お目覚めですか?お嬢様」

「ええ。目覚めたのですが・・・リリー、せんべいってなにかわかります?」

「センベイでございますか?」

「そうなの私、せんべいが食べたいって言って目が覚めたのよ」


 早くベッドから降りるように急かされベッドから降りる。

 洗顔と着替えを終え鏡台の前に座る。

 腰の下まである長い金色の髪・・・?

 あれ?私、黒髪だったんじゃなかったけ?

 

 リリーが(くしけず)るのを鏡越しに眺める。

 あれ?私こんな顔してたっけ?

「リリー、私ってこんな顔だったけ?」

「昨日もそのお顔でしたよ」

 言われてみればそんな気もする。

 瞳の色も金色なんだけど・・・私、黒っていうか茶色だったよね?

 

 何かおかしいのにその理由が解らない。

 頭の中で何かがくるくる回る。

「お嬢様?どうされました?」

 私の様子がおかしいことに気がついたリリーが慌てている。


 大丈夫だよと言ってあげたいのに、伝えられない。

 座っている姿勢が保てない。

 あっ・視界も回ってきた・・・。体が傾いていく。

「おじょ・・・」


 

 お蜜柑食べたいっ!

 私は食べたいばっかりかっ!!

 ガバッと布団から起き上がった。あれ?ベッドだ・・・?

 いつもの羽毛布団じゃない?ここはどこ?

 あれ私、横川七海?グレイシー・ホワイト?

 どっちだっけ?


「お嬢様っ!目が覚められたのですね!」

「誰か旦那様をお呼びしてっ!」

 話しかけられる言葉はドイツ語みたいに聞こえるのに理解できてる?!


「私、どうしたの?」

 相手の言葉に合わせてドイツ語みたいな言葉を発してみる。

「お嬢様は朝のお支度の途中で意識を失われたんです」

「意識を・・・?どれくらい?」

「ほぼ半日程意識が戻りませんでした。今は14時35分でございます」

 バタバタと部屋に近づく足音が聞こえ、誰かが部屋に入ってくる。


 あれ誰だっけ?

「おとうさま・・・」

 そうだ父親だっ!

 うちの親父は禿ちゃびんだったんだけど・・・。

「大丈夫なのか?どこか具合の悪いところは?」


 頭がおかしい気がします。多分、これ言っちゃいけないやつだね。


「ご心配おかけしました。もうなんともありません。ちょっとお腹が空きました」

 皆がホッとしたようで「食事の準備をしてまいります」とリリーが部屋から出ていった。


 父がベッドに腰掛けて「揺すっても叩いてもグレイシーが目を覚まさなくて驚いたんだよ。慌ててお医者様も呼んだけど『原因不明です、私にできることはありません。いつ目覚めるかも解りません』と言われてどれほど心配したことか!」

「ごめんなさい・・・」


「あなたっ!グレイシーは?!」

「目が覚めたよっ!!」

「お母様!!心配かけてごめんなさい」

「いいのよ。グレイシーが元気ならそれだけで十分だわ!!」


 食事の用意がベッドの上に用意され、お母様が手ずから食べさせてくれた。

 グレイシーの記憶にある限り初めてのことで、恥ずかしくて嬉しかった。

 七海はもう十分反抗期だったから、親の愛なんて受け止められるような子じゃなかったしね。


「今日一日はベッドでゆっくりして寝ているのよ」

「はい。大人しく寝ています」

 ベッドでゴロゴロしながら考える。

 これは前世を思い出した?

 七海がグレイシーの意識を乗っ取った?


 誰か私に正しい知識を!!

 手を胸の前で組んで、神に祈ってみたけど、誰からの応答もなかった。

 神はいない世界なのかもしれない・・・。



 あれ?ちょっと待って、グレイシー・ホワイトってなんだか聞いたことがある気がする・・・。

 小説?漫画?えぇえっと・・・?

 あっ!そうだ、悠久の愛?悠久の孤独?だったっけ?


 愛と孤独では大分内容が変わってくると思うんだけど、ちょっとどっちだったか思い出せない。

 その主人公がグレイシー・ホワイトだったような気がする。


 あれ?弟妹いなかったけかな?

 確か・・・ガリレアが弟でセレーテが妹だったような気がするんだけど・・・。

 今はリリーもいないから聞けないから、後で聞くことにしよう。

 

 だけど、孤独だと嫌な未来しかないよね?

 愛ならまだ救いがある!!愛でありますように!!

 悠久って確か、変わらずに続く。とかの意味だった気がする。 

 孤独が変わらずに続くって、なんて不吉なっ!!

 


 そう言えば七海の記憶力って、壊滅的に駄目だった気がする。記憶が頼りの歴史はまるで駄目だった覚えがある。


 そうだ!異世界へ行ったらお約束だね!!

「ステータスオープン!!」

 何も起こらなかった・・・。侘しい。


「鑑定!!ファイアーボール!!にウォーター!!」

 これも何も起こらないね。虚しい。

 この世界、魔法があったと思うんだけど、違ったかな?

 それとも違う世界?で、単なる同姓同名?!


 リリーが私に水分を取らせるために来てくれたので、果実水を飲みながら「魔法ってあったよね?」

「ありますよ」

 リリーは風を起こしたり、指先に蝋燭の炎のようなものを出したりした。


「私は使えないの?」

「継承の儀を受けられるのは来月のお嬢様の誕生日ですから、今はまだ使えませんね」

「あっ、そうなんだ・・・魔法の本とかある?」

「ございますよ。持ってまいりましょうか?」

「お願いします。あっ!それからガリレア達は?」


「子供部屋で遊んでらっしゃいますよ。セレーナ様もグレイシー様が居られないので寂しがっています。早く良くなってくださいませ」

「は〜い。解りました」

 丁寧にお願いしたらリリーが「何の遊びですか?」と笑って本を取りに行ってくれた。


 リリーが持ってきてくれたのは六〜七歳が読む、絵本だった。

 リリーが音読してくれて、絵を見ながら聞いている内に眠くなって、寝てしまった。

 情報収集しなきゃいけないのに、寝てどうするのよ!私ってばっ!!もうっ!!


 目覚めてナイトテーブルにおかれた絵本を取って、読み始めると少し思い出すことがあった。

 やっぱり悠久の孤独だった。無念。

 それに、字が読めているのが不思議・・・グレイシー単語が読めなかったように思うんだけど・・・。


 意識を絵本に向けると、継承の儀式で神様から魔法を貸していただくことになる。その子の能力によってもらえる力は違うんだけど、生活魔法だけはすべての人がもらえるらしい。


 六歳まで授けられないのは、危険だから。

 無意識で、火魔法を使って火事を起こしたら洒落にならないからね。十歳くらいでも十分な気がするよ。

 生活魔法はリリーが見せてくれた、風が吹いたり、蝋燭のような炎を出したり出来る能力らしい。


 魔法は呪文によって生成されるらしく、自分にあった呪文を見つけなければならないらしい。

 同じ炎を出すのでも、人それぞれ呪文が違うらしい。

 その呪文を見つけるのに一苦労するらしいけど、生活魔法だけは思うだけで使えるらしい。


 取り敢えず、継承の儀を終えなければどうにもならないらしいのだけど、この継承の儀からグレイシーの孤独が始まっちゃうんだよね〜。


 グレイシーってばチート能力の持ち主で、魔力量も世界で一番とか言われるほどに多い。はず。

 継承の儀で火魔法を暴発させちゃうんだけど、継承の儀を受けるだけで火魔法を暴発させちゃうんだよね・・・。詰んでる。


 継承の儀が書かれている絵本に手を置いて、今のうちから魔法が使えるようになって!!とお願いしながら自分の中の魔力を感じようとしたら、体内で動く何かを感じることが出来た。


 骨の中を何かが動く感じ。全身にいきわたる。

 これが魔力かな?!

 私は慌てて窓から手を出し、風の魔法を使ってみようとしたけれど、魔力は体内で動くけれど、魔法の発露は不発に終わった。

次話、11日17時UP予定です。

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