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プロローグ
貧しい家庭では無かった
都市部にしては一般的な家庭に生まれた彼女の唯二の不幸
それは生まれた時代であり、弟がいた事。
自分と違う物に対し排他的になるのは、人類が生きる為に培った本能の一種であった
しかし、それは少女には酷すぎた
両親からは気味悪がられ、齢を同じくする子供たちからの私刑。両親は気づきこそするが心配もせず、本来姉に向く筈だった愛情は、弟にこれでもかというほど注がれている。姉の苦労を悟るには、弟は幼すぎた。
自分と周囲の違いに気づく頃には、彼女の足は家には向かず、路地裏で夜を過ごしてはゴミ箱を漁り食いつないでいた。
その方が苦しくなかったから
家を出てから何度の夜を越したのか
数えるのを辞めた日、彼女は路地裏から出ていた。
生活とすらいえないそれに限界を感じた時、一枚の紙が手元に、冷たい風にのって飛んできた。
何が書いてあるのかは分からなかった。しかし唯一読める文字に微かな期待を持って、彼女は歩みだした。
「…ごはん」
これは少愛を取り戻す物語。
初めての投稿なので不出来な所が目立つと思いますが、ご容赦くださいm(_ _)m