武器防具選び
「さすがにこれは予想外だったな。三月には何か秘密があるとは思っていたが、ここまで規格外のものだったとはな」
「でも、これなら大丈夫そうね!安心したわ」
「まぁ、何とかなるだろ」
「それで、武器はどれにするの?」
「そうだな……やっぱりこれが一番使いやすそうだな。これにしようかな」
俺は刀身が少し曲がったような形状の長剣を選んだ。
「じゃあ、次は防具を買いに行くぞ!」
俺達は店を後にし、防具屋に向かった。「いらっしゃいませー」
店内に入ると、元気の良い店員の声が出迎えた。
「今日はどのようなご用件でしょうか?」
「この人の装備一式を見繕ってくれ」
「かしこまりました」
エミリエルさんが、俺を指差しながら言った。俺はというと、特に何も言わずにただ立っていた。
「お客様は身長が高いので、動きやすさ重視のものが良いと思います。こちらなどいかがでしょう?」
そう言って出されたものは、胸当てや小手などのセットになっていた。
「そうだな。これなら良さそうだ」
「ありがとうございます。それでは、サイズを測りますので、腕や足を出してください」
「分かった」
俺は言われた通りに、手足を出した。
「はい。これで終わりです。次に、試着をしてみましょう。サイズは合っているはずなので、着け心地などを確かめて下さい。その間に、代金の方を用意しておりますので、少々お待ちください」
それから数分後、エミリエルさんの用意してくれた服を身につけた。すると、またもや頭の中でメッセージが流れた。
《スキル:鑑定のレベルが上がりました》
「よしっ!これもレベルが上がったぞ!」
「それは良かったですね。ステータスを確認してみてはどうですか?」
「あぁ、見てみるよ。おっ!魔法系のスキルが増えてるな!火魔法のスキルレベルが2になってる!」
「本当ね!魔法を使うのも楽しみだね!」
「あと、剣術スキルのレベルも上がっていた。それも3つ上がっているな!」
「そうなんですね!剣術のスキルレベルが上がるのは早い気がしますね」
「確かにそうだね。ステータスを確認してみるか。おっ!ステータスの職業欄が変化してる!」
《職業:覇王 LV.MAX》
「職業レベルが上限に達したみたいだな」
「そうなんだね。どんな感じになったのかしら?見せてくれる?」
俺はステータス画面を開いて見せた。
「うーん。やっぱり三月は凄いわね!普通はこんなに早くMAXにはならないはずだけど……」
「そうなのかな?まぁ、とりあえず確認も終わったから支払いしてくるよ」
「私達が支払うわ。三月にだけ負担をかける訳にはいかないもの」
「そうですよ。遠慮なさらずに」
2人はそう言うと、俺の代わりにお金を払ってくれた。そして、店を出る前に、武器屋の店主にも挨拶をした。
「色々と世話になったな」
「いえ、こちらこそ良い取引ができました。今後ともよろしくお願い致します」
「あぁ、こちらこそ」
こうして、初めての買い物は終了した。
買い物を終えた俺達は、宿屋に戻ってきていた。ちなみに、今日の晩御飯は外で食べる予定になっている。
「さて、これからのことについて話しておきたいと思う」
アリシアは真剣な表情になり、俺達の方を見た。
「まず、俺達の目的は勇者を探すことだ。だが、場所が判らない。そこで、情報収集のために冒険者になろうと思っている」
「私は賛成よ。いつまでもここにいるわけにはいかないしね」
「私も賛成です。それに、私も少しは戦えるようになりましたので、足を引っ張ることも無いと思います」
「よし、じゃあ決まりだな。明日は朝一でギルドに行って登録を済ませる。その後は、依頼を受けつつ、情報を集めることにしよう」
「分かったわ」
「はい」
「じゃあ、今日はこれで解散だ。明日から頑張ろう」
俺はそう言い残し、自分の部屋へと戻った。「ふぅ……今日は色々なことがあったな」
俺はベッドの上に寝転びながら呟いた。
(そういえば、この世界に来てからまだ1日しか経っていないんだよな……)
俺はこの世界に召喚されてからのことを思い出していた。最初は戸惑うことばかりだったが、今ではこの世界の人達と仲良くなり、充実した毎日を過ごしている。
(やっぱり元の世界に戻ることは考えない方が良いよな……)
俺はそんなことを考えていたが、すぐに睡魔に襲われ眠りについた。