選手プロデュースのお弁当、新商品発売の裏事情
「この人気は無視できないと思います」
担当者が指摘するように、A選手の人気はすさまじい。
それは売上資料にも現れていた。
特にお弁当の売上が素晴らしい。他の選手たちを圧倒している。
「そこで、A選手プロデュースのお弁当、その種類を増やしたいと考えています」
この会議に出席している他の者たちも、今の提案に異存はなかった。新しいお弁当をつくれば、ファンはきっと喜んでくれるだろうし、売上のさらなる向上も期待できる。
ただ、気になることがあった。
選手プロデュースのお弁当はすべて、本拠地球場でワゴン販売している。そのワゴンを増やす予定も、より大きなワゴンに変える予定も、今のところないのだ。
要するに、ワゴンの大きさは一定のまま。お弁当を天井近くまで積み上げるわけにもいかないし、この状況で新しいお弁当を増やすとなると、当然・・・・・・。
一か月後、新しいお弁当が発売された。
本拠地球場に来ているファンの一人が、さっそくワゴンに立ち寄る。
手前の目立つところには、A選手プロデュースのお弁当が並んでいた。以前よりも種類が大幅に増えている。どれも美味しそうだ。
そこで、ふと気づく。奥の方にもいくつか、見覚えのないお弁当がある。
その一つが、P選手とQ選手の『二人は親友弁当』だ。お弁当のパッケージには、肩を組むP選手とQ選手の写真が載っている。
どちらの選手もこれまでは、単独でお弁当を出していたのだが・・・・・・。
他にも、五人の選手による『五人は仲良し弁当』なんてものまである。
そうなった裏事情を、ファンは何となく察した。
「でも、今日はこっちの気分♪」
A選手の新しいお弁当、その一つを購入した。
次回は「赤ちゃん」のお話です。




