ラジオの実況
あるラジオ局が、プロ野球の試合を流していた。
他の試合はすべて中止になったので、今日のプロ野球は、この一試合だけだ。A球団とB球団の試合である。
このラジオ局では基本的に、中立な実況を心がけている。
ところが、放送中にクレームの電話がかかってきた。
どうやら、アナウンサーが自分では気づかずに、A球団のことばかりを長々としゃべっていたらしい。
「そういうのはいいから」
と、B球団のファンからのクレームだ。
アナウンサーは反省して、B球団について長めにしゃべることにした。これでバランスをとろうとする。
ところが、またもやクレームがあった。
「そういうのはいいから」
今度は、A球団のファンからのクレームだ。
アナウンサーは困ってしまった。中立な実況をしたいのに・・・・・・。
どうしたものかと考えて、この試合に関係ないC球団のことをしゃべってみる。
しかし、またまたクレームだ。A球団のファンとB球団のファンからである。
「そういうのはいいから!」
ただし、C球団のファンからも電話があった。「いいぞ! そのまま、そのまま」という喜びの声が、ラジオ局に届く。
さらに、D球団のファン、E球団のファン、F球団のファンからは、「こっちもよろしく!」という要望の電話がかかってきた。
他の試合はすべて中止になったので、今日のプロ野球は、この一試合だけである。
次回は「ビールかけ」のお話です。




