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第1話 疎遠だった幼馴染からの告白

どうもぽてさらです(/・ω・)/

前々から嘘告系のラブコメが気になってましたので新作のラブコメとして書いてみました!

恐らく亀更新ですが是非見て下さいね~!





「―――ねぇ(つむぎ)。私と、付き合ってくれない?」



 すべての授業が終わった放課後。7月に入り、ここ最近は夏の到来を告げるかのように陽射しが一段と激しい季節になった。


 現在、俺の目の前にはこちらをじっと見つめる美少女がいる。

 夕陽に染まる高校の屋上にスマホで呼び出されたと思ったら、何の脈絡も無くいきなり告白されたのだ。


 彼女の名前は椎名(しいな) 美月(みつき)。俺、(ひいらぎ) (つむぎ)とは幼稚園や小学校の頃は仲が良かったが、中学、高校と学年が上がるにつれ次第に疎遠になっていった。

 現在ではこの高校でカースト上位に君臨する、高校2年生のギャルっぽい我が幼馴染様である。


 疎遠になった原因は、きっと互いに思春期に突入したからだろう。段々と会話が減っていき、今に至る。

 

 それはともかく、突然訪れた幼馴染による告白イベント。声は普段よりも固かったが、正真正銘の告白である。

 何故いきなりそんなことを言ってきたのか、という疑問が脳裏に浮かぶが、今は嬉しいという感情よりも驚きや戸惑いの方が勝るというのが正直な感想だ。


 何しろこうして二人きりになること自体が久しぶりなのだ。高校に入学してからは美月と同じクラスなのでカースト上位の女子友達数人と仲良さげに話しているのは遠目から眺めていたが、まさか今では学校中から人気と評判の彼女から突然連絡がきた上、こうして告白されるだなんて夢にも思わない。


 クラスのSNSトークアプリを通して友だち登録していた美月から『屋上で大事な話があるから来てちょうだい』と連絡がきた時はとても驚いたし首を傾げたが、ようやく納得がいった。


 とにかく様々な考えが廻れど、咄嗟には言葉が出ない。

 こう言うのをまさに"青天の霹靂"と呼ぶのだろう。


 改めて俺は目の前に立つ彼女を見つめる。



「………………」

「……な、なによ。さっさと答えなさいよっ」



 美月の頬が少しだけ赤く染まっているように見えるが、きっと辺りを染める茜色の所為だろう。


 髪の毛先を人差し指でくるくると巻いている彼女は、いうまでもなく美少女だ。しっかりと手入れしているのか、緩やかにウェーブが掛かっている明るい茶色の長髪はふわふわして柔らかそうだし、目元はぱっちりとしていて鼻筋や顔の輪郭はとてもスッキリとしている。


 表情はまだあどけなさが残っているが、そのシャープな顔立ちの所為で気の強そうな顔に見えるのは玉に瑕か。


 やや着崩れた制服の首元や短いスカートから覗く肌は健康的な小麦色。手足はモデル並みにすらりとしており、出る所は出て引っ込む所は引っ込んでいる姿はスレンダー寄りのグラマラスな体型と表現しても良いだろう。


 それに加え、首元には銀色に輝くチャームネックレスがぶら下げられていた。



(……綺麗になったよなぁ)



 元々の素材は良かった美月。疎遠になってから特に関心を抱くことは無くなったが、よくよく全体へ視線を向けると彼女の可愛らしさは如実に表れていた。


 美月は普段から上のワイシャツのボタンを軽く外した容貌で高校を過ごす。

 おそらくファッションだろう、顔立ちと見た目が相まって控えめなギャルに見えるのは、友人関係を円滑にする為の愛嬌か。……いや、努力と言い換えても良い筈である。


 実際、美月のテストや学校成績はかなり良い。授業で教師に回答を指名されたときは淀みなく正解を答えるし、体育の授業や一年時のスポーツ祭では自らの運動神経を遺憾なく発揮していた。


 それに加えて明るく人当たりの良い性格をしているので、なるべくして人気になったとも言えるだろう。


 ―――小さい頃はいつも俺の背中をひっついていた、あの美月が。


 ふぅ、と俺は小さく息を吐く。なんだかちょっぴり感慨深くなってしまったが、先程よりは幾分か冷静になれた気がする。


 きっとこれは、告白という名の彼女の頼み事なのだろう。



「あ、あぁごめん。なんか、こうして美月さんと話すのは懐かしいなって思って……。はは」

「っ、…………それで、どうなのよ。付き合うの、付き合わないの?」

「あー、それな」



 何故だか一瞬だけ申し訳なさそうな、寂しそうな表情を浮かべた美月だったが、すぐに元の顔に戻しながら視線を逸らしてぶっきらぼうに答える。


 俺はそんな彼女の様子を不思議に思うが、適当に相槌を打ちながらも俺の返事は既に決まっていた。


 折角久しぶりに美月と話せたのだ。いくら疎遠になったとしても大事な幼馴染であることには変わらないし、出来るならば力になりたいという気持ちもずっと抱き続けていた。


 別段、断る理由が何もないのだ。だから俺は穏やかな気持ちのまま、次のように言葉を返した。

 


「うん、良いよ」

「ほ、ほんとっ?」

「あぁ」



 先程まで素っ気ない態度だったのだが、俺がはっきりと頷きながら返事をすると美月は信じられないかのように瞳をパチパチと瞬かせる。俺が良いと返事をするのがそんなに意外だったのだろうか。


 なんだか寂しく感じるも、それだけ俺と美月の空白の時間が長かったということだろう。


 数瞬だけ間が空くと、途端に表情が明るくなった。力んでいた肩が下がり、心なしか安堵しているようにも見える。


 きっと恥ずかしかったのだろう、すぐさまハッとした彼女は軽く咳払いをすると、そのまま取り繕うように口を開いた。



「んっ、それじゃあ決定ね。それで、いきなりなんだけど―――」

「うん、どこに行くんだ?」

「…………え?」

「ん?」



 ピシリ、と美月の表情が固まると共に、俺はそっと首を傾げた。思っていた反応となんだ違う。


 あれ、と思いながら言葉のチョイスを失敗したかと考えるが、恐らくこの返しで間違ってはいない筈だ。でもなんだろう、微妙に意味がすれ違っているこの感じ。別に間違っているとも言い切れない感覚というか、違和感というか。


 しばらく無言になった俺たちだったが、やがて美月はどこか納得したような表情になる。



「…………あー、そういうこと。そういうことね。うん、久しぶり過ぎて忘れてた。はは、昔からアンタはこういうところで鈍感だったわね」

「え、あの、美月さん……?」

「そもそもこうすんなりとオッケーして貰えたことに疑問を持つべきだったのよ。一瞬でも浮かれた私が馬鹿だったわ」

「ん、えっ? ど、どういう……?」



 地面に視線を落とすと、腰に手を置きながらもう片方の手で顔を覆っていきなり溜息をつく美月。その口調の端々には呆れと微かな達観が見え隠れしている。


 どうやら俺は返事を間違えると共に、彼女の期待を裏切ってしまったらしい。

 目に見えて明らかに落胆した様子の彼女を見た俺は罪悪感に駆られてしまうも、動揺してしまい上手く言葉が出ない。


 しかし。それでも。



(いや、まさかな……)



 一方、頭の片隅では、俺が無意識に切り捨てていたもう一つの可能性がうっすらと浮かび上がっていた。だが、もし美月がそれ(・・)を言っていたとすれば、正直にわかには信じ難い内容である。


 そもそも、疎遠になった中学生活や高校生活を鑑みれば、それ(・・)だけはあり得ないだろう。確かに幼馴染として一緒に過ごした幼い頃の思い出や信頼はあるが、ここ最近ではそれが一切築けていないのだ。


 だからこそ俺はその言葉を額面通りに受け取って、"どこかへ一緒に付き合ってくれ"と解釈したのだから。


 暫くして美月はゆっくりと顔を上げる。

 こちらを見つめるその表情は呆れが含まれており、どこか冷たかった。



「美月さん、その、もしかして―――」

「……そうね、(つむぎ)にはもっと直接的に言った方が分かりやすかったわよね」

「え…………」



 失敗したわ、となんだか開き直ったかのようにこちらへ視線を向ける。だが、間違いなくその瞳は真剣だった。



(つむぎ)、アンタ以外考えられないわ。―――私の、彼氏になって」



 こうして俺は(ようや)く理解する。


 暫く疎遠になっていたギャルっぽい幼馴染から、恋人として付き合って欲しいと告白されていたことを―――。








宜しければブクマや感想など頂ければ嬉しいですー!(/・ω・)/

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