心象
開きたきこころの部屋は、頑なに閉ざしてありぬ、きみの記憶を
覗き込む一羽の鴉の
意志を告げぬ黒い目の中に
閉ざされた廃墟の窓の漆黒の闇
ひび割れた此岸の傍らに
啄まれる人形の夢は零れ落ち
廃園は腐土に穢れる
光射す色絵硝子の
彩りに沈む十字架の足元に
聖書の新たなる約束は打ち捨てられて
なお暗き祈り家に
とどまり消えず、滲んだままの懺悔の香り
ゆらゆらと、こころ惑わす
打ち合わすギヤマンと白磁の肌
みすごした予兆に宿る、微かな亀裂
割れて切る縁とくちびる
くちびるの端の血とともに
飲みくだす葡萄酒に溶けて、匂いたつ嘘の芳香が
いまもまだ、我を惑わす