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かくれひそんで

作者: 楠木 茉白

私がこの部屋に籠ってどれくらいたっただろうか。


私が学校での人間関係に嫌になって、不登校になってからは家の外に出なくなり、両親とも5年以上話をしていない。


まともに顔を見てもいない、今になって思う……両親はどんな顔をしていたんだろうか。


部屋の外からは毎日私に部屋から出てくる様に問い掛けてくる太い声がする。


「早く、出てきなさい、こんな部屋にかくれてても意味なんてないぞ」


もう嫌だ……どうしてこうなってしまったんだろうか。


外に出るタイミングはあったはずだ、人との繋がりを全て断ち、ネットにすら友と言える人は出来なかった。


私はこの世界から孤立し、隠れ潜み誰からも見つけて貰えない……ただひとりでかくれんぼをしているようなものだ。


今も見つからないようにかくれんぼをして、ただこうして、誰が見てくれるか分からない掲示板に書き込むだけだ。


子供頃にしていた時のかくれんぼはあんなに楽しかったのに、今となっては全然楽しくなんかない。


誰か……


誰か……


誰か私を見つけて!


また、部屋の外からは声がする。


「こんな事して何になる、早く出てきなさい、それがあなたの為でもある」


怖い……


怖い……


外に出る事も人と面と向かって話す事も出来ない。


電話で人と話すのも怖くて出来ない。


どうしてこんなにも人と話すことも、顔を合わせる事も怖いのだろうか。


両親と向き合えず、学校、友達からも逃げた私への罰なのだろうか。


本当は話したかった、ちゃんと謝りたかった、もう一度初めからやり直せるならこんな風にならないように皆と向き合えたらいいな。


隠れてないで、早く出て行けば良かった。


こんな、かくれんぼ嫌だよ。


私に勇気があれば……誰か助けよ……気づいてよ!


私の声を聞いてよ!


お母さん、ごめんなさい。


お父さん、ごめんなさい。


卒業まで気に掛けてくれた先生、ごめんなさい。


最後まで励まそうと、家に何度も通ってくれた友達もごめんなさい。


こんな形でしか謝れない、私を許してください。


また、外から繰り返し声がする。


「いいから、出てこい、いつまでそうやって隠れてるつもりだ」


もう諦めてよ、今はもう私は外には出られないよ。


だから誰でもいい……


「かくれんぼでもしてるつもりか?」


誰でもいいから……


「見つけて欲しいんだろ?」


気づいて、誰でもいいから……



















警察に連絡してください。


誰か分からない人が両親を殺して、隠れている私を探しています。


どうか、この掲示板を見た方は警察に連絡してください。


私は怖くて、人と話す事も連絡出来るような友達もいません。


だから、誰でもいいので早く助けてください。


この掲示が私の遺書にならないように……



















「みーつけ……た!!!!!」















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