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事後報告書:代償

ロンドンで起きた切り裂きジャック事件は犯人が不明のまま迷宮入りとなり捜査は打ち切られたとマルセイユにある飛天の家で新聞を読んで知った。


教会の事は不審火で椅子が燃えたという事だけで小さな一面を飾っているだけだった。


「・・・・犯人は依然不明のままだが、警察は必ず犯人を見つけ出して法の裁きを下す、か。犯人が死んでいるのに裁けるのかしら?」


私は新聞を折り畳んでテーブルの上に放り投げるとソファーでセブンスターを吸っていた飛天に近づいた。


姉を殺された少年は、ネメシスのマスターが引き取る形となりエリナの弟として暮らしている。


悪夢に魘される事は無くなったが、それでも事件を忘れられないとマスターは言っていた。


しかし、飛天は免罪符とも言える言葉を投げた。


「時が流れれば悪い夢だと思うようになるさ。何れ思い出さなくなる」


時が忘れさせてくれる。


それは飛天にとっては悲しい事だが、少年にとっては幸せなのかもしれない。


それからラファエルは部下の座天使が犯した罪を天使長のミカエルに進言して自分に罰を与えさせたと風の噂で聞いたが、私には関係のない話だ。


あの女が本当の意味で罰を与えられるとしたら、それは飛天自身の手でラファエルが殺される事だろう。


しかし、ラファエルは死にたくないと言う筈。


何せ飛天を愛しているんだから。


まぁ、ラファエルの想いが飛天に届く事は永遠にないが。


そんな下らない事を考えながら飛天に近づくが彼は眠っていた。


子供のように無邪気な寝顔だった。


その寝顔を見て、この残酷な男にも可愛らしい所があるんじゃないかと思ったのは秘密である。


まぁ、これで私の調査報告は終わりだ。


何れ事件が起きた時にはまた調査報告書を書くと思うと憂鬱な思いだが、スリルが味わえる代償と思えば安いものかもしれない。


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