帰郷
あまりストーリーが進展していません……。
俺がパーティ『英雄となりし騎士団』から追放されて一ヶ月。
俺は故郷の都市『ニーベルグ』に帰郷していた。
ニーベルグは、パーティから置いてけぼりにされた草原から徒歩だと一ヶ月ぐらいで着く都市だ。
その為、ニーベルグには今さっき着いたばかりだ。
「……相変わらず賑わってるな。ニーベルグは」
ニーベルグの賑わいを見て、変わらないなと思い出に浸る。
「ごめんな……おっちゃん……」
俺が悲しげにそう呟いた時、幼い頃から世話になってきた鍛冶屋のおっちゃんが店の前にいる俺に気づいたようだ。
「おう! 坊主! 元気にしてたか?」
髭を生やした白バンダナのおっちゃん──ヘファのおっちゃんが笑顔で俺に話しかける。
おっちゃんの店はあまり繁盛してなく、おっちゃんはいつも仁王立ちでいるか武器を造っている。
俺は覚悟を決め、おっちゃんの前に出る。
「ごめん、おっちゃん。俺、英雄になれなかった。せっかくおっちゃんが専用の剣を造ってくれたのに、本当にごめん、おっちゃん」
俺は表情を曇らせ、頭を下げ、夢であった英雄になれなかったことを謝罪する。
おっちゃんには幼い頃から親がいない俺の面倒を見てくれた上、英雄になりたいと言い続けた俺に、十八歳になった時、冒険者デビューとしておっちゃんは専用の剣を造ってくれた。
だけど、英雄にはなれなかった。それを、俺にとって一番の協力者であったおっちゃんに謝る。
怒鳴られることも、責め立てられることも覚悟の上だ。
だけど、おっちゃんは──
「なーに! 気にすんな、坊主! 人生にはそういうこともあるもんよ!」
──ニカッと笑って許してくれた。
「取り敢えず、今はウチで休んでけ!」
おっちゃんは笑顔で俺を店兼家の中に入れる。
「ありがとな……おっちゃん……」
家に入った俺は、涙腺が緩むのを抑え、おっちゃんに感謝を伝える。
おっちゃんはうんうんと頷き、昔の俺の自室へ入れる。
「部屋、変わってないな……」
俺は旅立つ直前とほとんど変わってない自室を見て、どこか悲しくなってきた。
「しばらくは此処にいるのか?」
「……ああ。そうしようと思う」
おっちゃんが問いかけ、俺はそれに肯定した。
「そうか。ゆっくり町を楽しんでくれよ」
そう言っておっちゃんは俺の自室から退出する。
おっちゃんが退出した後、俺は着ていた鉄製の鎧を脱ぎ、ベッドに仰向けになる。
自らの情けなさを痛感しながら。
正直、ざまぁ系の要素は、序盤のみにしたいなと思ってる作者です。