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5話「ストーカーをストーキングしてみた」


そして月曜日あたりから調査を開始して数日間、ひとまずある程度の情報は入手できた。

とりあえず彼らを監視しつつ、ほかに情報を手に入れるアテがないか考える。

んで来週の月曜までに見つからなければ、例の人海戦術で情報を無理やり入手する。とりあえずこの方針でいこう。


そうして時は過ぎ、授業がすべて終わって放課後となった。

ちなみにだが彼は授業についていけないため、授業中は認識阻害を強めにかけて中学生用の参考書を読み進めていった。

しかし、引きこもり期間が長すぎたため、17歳の彼には中学生用のものすら苦戦したことは言うまでもない。


そしてアーサーは教科書などを鞄にしまい教室で待機していた。

ちなみにアーサーはいま認識阻害スキルを発動しているためクラスメイトに話しかけられることはなかった。

そしてアーサーが教室で待機している理由は…とある人物たちの帰りを待っているためである。

その人物たちとは、言わずとも石垣たちである。


中山と石垣の自宅は近く、帰路も同じようなルートのため、いつも一緒に帰っているようだった。そして姫浜は、途中まで道が一緒で、途中で別々になる感じである。

そして俺はいつも放課になると彼らの後ろについていくようにしていた。


そうしてしばらくすると、いつも通り中山が石垣のクラスまで迎えに来てそのまま帰っていった。

姫浜はその後ろについていくように教室を後にしていた。


そして姫浜は進行方向は同じで、途中で中山達が右に曲がるのに対し姫浜の進行方向はまっすぐだった。ちなみに石垣の家は中山の家の道の途中のところにあり、いつもはそこで解散しているようだった。


そして俺は石垣たちの後ろを追っていた。中山は石垣に腕を絡ませて並ぶように歩いていた。

そしてその後ろを姫山がついていくという構図である。そしてその後ろを認識阻害を最大にかけた俺がついていった。

ちなみに認識阻害を最も強くかけると一般の人に認識すらされないどころか難易度SSのラスボスまでなら全く存在を気づかれることがない。SSSだと多少は効果があるようだったが別になくても良いくらいだった。


ちなみにこの光景も月曜日から金曜の今日に至るまでずっと見てきた光景だ。

ちなみに何故カメラがあるのにわざわざついて行っている理由はこの後すぐに分かるだろう。


そうして監視を続けていると、石垣たちは途中で右に曲がって行った。

そして普通であれば姫浜はそのまままっすぐ向かうことになるのだが、なぜか石垣たちの後を追うように右に曲がって行った。

ちなみに石垣たちと姫浜はそこそこ距離が空いているため、彼らに気づかれることはない。


そしてしばらくすると石垣たちは石垣宅に到着した。

そしていつもであれば、そこで2人は解散するのだが、中山はそのまま石垣宅にあがっていった。

いつもであれば解散するはずなのだが、今回はどうやら違うようだ。


そして姫浜はというと…そのまま石垣宅の近くまで歩いて行った。

そして石垣宅の前に到着すると、彼女は石垣宅の横に回りこみ、そのまま家の後ろに行った。

石垣宅の周りは塀で囲われているため、後ろに行ってしまえば誰の目にもつくことはない。地面もコンクリなため気をつければ足音がなることはない。

そしてその家の後ろは、彼の部屋にあたる場所であった。

窓にカーテンは掛かっているものの、カーテンの隙間からわずかにだが部屋の中を覗くことができた。そう、姫浜はいつもここで彼の部屋を覗いており、それが月曜からずっと続いている習慣でもある。しかも耳を澄ませば声も簡単に聞くことができる。


しかし、今まで中山を家に上ることは無かったため、アーサーは内心ひやひやしていた。


そしてしばらくすると石垣たちが彼の部屋に入ってきた。姫浜はアーサーが観察していたときは石垣の部屋を恍惚とした表情で嬉しそうに覗いているのだが、今回ばかりは表情が歪んでいて心底憎そうに中山を睨んでいた。


「ごめんね、ちょっと散らかってるから。」

「えー、ぜーんぜん汚くないよー?ほかの男子の部屋はもっと汚いから。すっごくきれいなほうだよ。」

「ならよかった。あ、そこのクッションにすわっててね。飲み物取ってくるから。」

「お構いなくー。」


そして石垣が飲み物をもって戻ってくると、中山と石垣はいろんな話に花を咲かせていた。


「でさー、撫子がさー、ちょーむかつくの!あたしがあわせようとしてんのに空気よめなくてさー。」

「あはは、それは災難だったね。」


中山が一方的に愚痴ってそれに石垣があいづちをうつかんじで話が進んでいた。

石垣自体は悪口を言ってることに対してあまり良い気持ちではなさそうだったが、相手を不快にさせないように当たり障り無く返していた。


「ねー、ゆうじくん。今日って親は家にいないんだよね?」

「う、うん。」

「あははー、緊張すしぎ。別に初めてじゃないじゃん?」

「いやぁ…こういうことぜんぜん経験ないからさ……。」

「あは、ゆうじくんかわいい。この前まで初めてだったしね。経験少ないのは仕方ないし、わたしに任せてくれればいいんだよ?」


そういって中山は座っていたクッションから腰を浮かすと、机の反対側に座っていた石垣のほうに四つん這いでちかづいていき、石垣の隣まで行った。そして石垣と中山がしばらくの間見つめあい…そしておもむろに中山のほうから顔を近づけていった…。石垣は目を固く閉じ少しプルプル震えていた。中山のほうは慣れているようで特に緊張した様子を見せずずいと顔をどんどんちかづけていき、そして唇どうしが触れ合いそうになったそのとき…


「っ!!」


それまで黙って見ていた姫浜は顔を青ざめさせて後ずさりし、そのまま背中が塀のフェンスにあたり、ガシャッという音を立てた。

そして姫浜は口を両手で押さえながら、勢いよくダダダッ!と足音を立ててその場を立ち去った。


「え、今フェンスになにか当たった音がしなかった?」


「えー、気のせいじゃないかな?ふふふ……」


中山は意味ありげに笑っていた。











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