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吐出口  作者: 鈴木
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食玩

 ひと頃、食玩に嵌まっていたことがある。

 おまけつきのお菓子など、子供の頃でもカードが一枚入っている程度の物くらいしか買わなかったが、今思えば何の琴線に触れたものやら、その時期は買い物に出る度にちまちまと買い集めていた。

 物は、神話や伝説の登場人物をモチーフにしたフィギュアだったと思う。記憶が不確かなのは、何年も前のことな上に、熱し易く冷め易いの典型で、あっという間に冷めて処分してしまったからだ。興味が失せた物の記憶は薄れるのが早い(少なくとも私は)。

 ただ、この食玩集めに飽いたのにはきっかけがあった。それがなければもう少しは続いていたような気がする。何でもかんでも冷め易い質なのではなく、冷める時は大抵きっかけがある。

 で、この食玩から興味が失せることになったきっかけは―――フィギュアの一部が熱で溶けたように変形してしまったからだ。素材がゴムだったのである。


 ――ということを、暑い日が連続した頃に不意に思い出した。そういえば夏真っ盛りの時期だったなあ、と。どんな食玩だったかは正確に思い出せないくせに、白けた理由だけは妙に鮮明に覚えている。


 多少、完璧主義的(もしくはオールオアナッシング)な性質があるので、傷なく新品に近い状態で所持していようとしたのだろう、大事に飾っていたところに、変形(それ)である。

 可愛さ余って憎さ百倍?(違う)

 殊更気を使っていた分、反動でどうでもよくなってしまったのだ。

 大事にと言いつつ、夏場、高温になる部屋に置きっぱなしにした迂闊は、まあ、粗忽者だからである(所詮は粗忽者の "大事")。当時の私の部屋にはエアコンがなく、さりとて他に置き場所もないというのもあったが。いや、それ以前に、まさか夏場の室温で変形するような繊細な物だとは思わなかったのだ(そういうところが粗忽)。

 ほんの一ヶ月にも満たない間のことだった。

 我ながら最速の飽きっぷりだったと思う。きっかけの発生時期次第なので、飽きの早さは単純に運の問題なのかもしれないが。




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