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吐出口  作者: 鈴木
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成人式

 私は成人式には出なかった。当日はいつものバイト先でレジ仕事をしていた。

 式に出ようが出まいが成人の自覚を持てる者は持てるし、持てない者は周囲がどんなお膳立てをしようが持てない。毎年の成人式に絡むニュースを思い出せば、その荒廃っぷりから一目瞭然だろう。

 では、私はどちらなのか? まあ、自覚出来ない方だ。今をもって大人と子供の境目(法的、肉体的にではなく精神的)など明確には言えないし、何をもって自覚したといえるのかも分からない。

 大人とは何か、子供とは何か。人は好き勝手に定義し、絶対的な正解などない。枠に填めるなと言う者もいるだろう。


 ――大人子供の定義はともあれ、成人式には出なくて良かったと呆れる情報が、思いがけずその日の午後に知人から齎された。

 私を壇上へ引きずり上げ、笑いものにするイベントが企画されていたというのだ。


 それが本当だったのかどうかは確かめなかったので分からない。

 ただ、その話を聞いた時、もし本当であったなら、そこまで嫌われていたのかぁ、とショックを受けるより感慨深くなった。そこまでして貶めたいのかぁ、とその情熱に感心さえした(自分が上等な人間だと勘違いしたことなどついぞないのでショックの受けようがない)。その労力を別のところで費やせばいいだろうにとは思ったが。

 また、もし嘘であったなら、その情報をわざわざバイト先まで言いにきた、当時は友人だと思っていた相手の悪意に脱帽した。己に人を見る目があるとは思っていなかったが、それにしても、相手からの好意に見えていたものが実は全くの別物であったと欠片も気付いていなかったことになるのだから。まあ、話が本当だったとしても、それはそれで、式に行かなかったことで知らずに済んだ筈の私に敢えて悪意の存在を知らしめる辺り、その行為、その意志に知人の悪意を感じないでもない。どう考えても親切心(・・・)で教えてくれたとは言えないだろう。それとも "悪気はない" という、己の無自覚の悪意を認めたくない人間の常套句に等しい心理状態だったのだろうか。






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