信号はいつから赤で渡りましょう、になったのだ。
交通事故で自動車よりも歩行者の方が重科となる事例が少し前にあった気がするが、そのニュースを見た時思い出したのは、交差点で信号待ちをしていた時に目についた、青信号で立ち止まり、赤信号で横断歩道を渡り始めた小学生二人組のことだ。
見た瞬間は、実にギョッとしたものだ。何しろ、横断歩道の直前、信号待ちの自動車の列のトップで待つ車の中にいたのだから。
赤信号で待っている間、歩道にいる二人が何故、青信号なのに渡らないのか不思議ではあったのだ。会話に夢中になっているからだとしても、二人の脇を通り過ぎて渡っていく人間が何人もいたのだ、いくらなんでも "普通" は気づくだろう。それが信号が赤になった途端、渡り始めたのだ。
青で渡るところをうっかり赤になってしまったので慌てて渡った、のではない。「赤になったから」渡ったのだ。何しろ、信号機が赤になったことをきっちり確認した後、ゆっくりと横断歩道を渡っていったのだから。
信号が青になり、左右の道路から侵入してくる自動車やバイク、自転車がないことを確認して、いざ、とアクセルを踏もうとした途端、目の前の横断歩道を堂々と、のんびりと、小学生二人が渡り始めたのだ。反射で足をアクセルからブレーキに乗せ換えられたのは我ながらよくやったと自画自賛したものである、流石に。
ついでに、親だか学校だかは何を教えているんだ!! と怒りに駆られたのは言うまでもない。この怒りは理不尽でも身勝手でもなく、当然の権利だろう。まったく。