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吐出口  作者: 鈴木
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ういろう

 大学一年の時に履修していた必須科目の担当教授が、某市のういろうを心底から憎んでいた。あれは人間の食い物じゃないと放言して憚らず、ある時は、仕事で出向いた先で出された茶菓子がういろうだったことが相当に気に入らなかったらしく、「こいつは俺を殺すつもりなんだと思った」と平然と言ってのけていた、授業中に(別段、この教授はういろうでアナフィラキシーショックを起こす体質ではない。ただの好き嫌いだ)。冗談としてではない、至って大真面目、どころか、その語調には毒が溢れていた。

 この教授、単位の取得には異様に厳しかったのだが、テストだったかレポートだったか、本文(回答)が不備であれば不可にしたのに対し、裏面に上手いカレーの作り方を書いた奴は可にした、的なことを言っていて(実際に一桁人数いた……とは教授の言。なので実際は分からない)、その価値観が全く理解出来なかった。設問に沿おうとしながらも不完全だった回答にオールオアナッシングの採点をし、全く無関係の書き込みに教授の好悪だけで可を出すのか、なんという暴君、それとも私の頭が固いのか? と。

 この教授は一事が万事、この調子で、授業中も冒頭のような脱線をすることがしょっちゅうだった(我が家の塩は北欧から取り寄せている、とか、それが如何に素晴らしいか、とか、包丁とまな板は食材ごとに換えている、とか。カレーの件もそうした話の一つだった。……思い出せるのが食べ物関連の話ばかりというのは何なんだろう……)。

 正直、必須科目でなければ無縁でいたかった人物なのだが、同級生にはこの教授の思考を肯定・賛辞する者もおり、彼女にとって私は狭量で柔軟性のない、正当な主張を理解しない劣等人間だった。

 己の嗜好に合わせなかっただけで殺人未遂の濡れ衣を着せ、その被害妄想をさも真実であるかの如く不特定多数の人間(生徒)に聞かせて悪びれない人間性を受け入れられないのはそれほど異常なことなのか? ただの冗談だと忖度して流せない、融通の利かない駄目人間?







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