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吐出口  作者: 鈴木
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カタカナ表記 【本】

 外国語に対するカタカナ表記というものは、実にみな好き勝手に書き表すもので、汎用性が低ければ低いほど一つのものに統一することは難しい。各人が各人なりにより元の発音に忠実であろうと試行錯誤するのか、それとも表記に独自色を出したいという自己顕示欲が疼くのか、日本語の発音との隔たりが大きいものほど奇妙なことになる。

 ということで、昔、アーサー王伝説の登場人物の名前を集めたことがあった。古典文学に始まり、再話、現代小説、児童書、学術書、事典、論文、雑学書、webサイト、ボードゲーム、CD・DVDのブックレット、エトセトラ。

 一応、一通り読んだり聴いたり観たり遊んだりはしているが事典的なものを作るつもりはなく、ひたすらに名前だけを集めまくった。

 同じ作品でさえ訳者が違えば表記が違うのは当たり前、同じ作品であると知らなければ同一人物なのか疑うようなカタカナ表記も珍しくなかった。更に、国が違えば名前も微妙に変化し、そこへもって前身、モデル、同一人物相当、同一視されることもある、など何処まで一括りにしていいものやら判断に迷うものも多く、スペルには単純な間違いや故意のバリエーションもあって、その違いも律儀にカタカナで表現されているとなれば、もう、凄まじく混沌としていた。

 そんな中で、最も表記の種類が多かったのは、やはりというか、グウィネヴィアだった。

 同一視やらなにやらを抜きにした「グウィネヴィア」一つとっても、ギイニヴァ、ギィネヴィア、ギウィニヴァ、ギナヴィアー、ギニア、ギニィヴィア、ギニヴァ、ギニヴァー、ギニヴィア、ギニヴィーア、ギニビア、ギニバー、ギニビア、ギニヰ゛ア、ギネヴア、ギネヴァ、ギネヴァー、ギネーヴァ、ギネヴィア、ギネヴラ、ギネビア、ギネヰ゛ア、グィナヴィーア、グイニヴィア、グィニヴィア、グイネイビア、グイネヴィア、グイネヴィァ、グィネヴィア、グィネビア、グインネヴィア、グゥイニヴァ、グウィニヴァ、グウィニヴァー、グウィニヴィア、グウィニヴェア、グウィネヴァ、クウィネヴィア、グウィネビア、グゥィネビア、グウィネファー、グウェナヴァー、グウェニヴァー、グウェネヴァ、グウェネヴァー、グウェネヴィア、グウェンニヴァー、グエナヴィア、グエナビア、グエニヴァー、グェニヴィア、グエネヴィア、グェネヴィア、グエネビア、グェネビア、グネヴィア、グネビア、ゲナビア、ゲニヴィア、……。

 いや、本当に、苦労ぶりが窺えるというか、カタカナ表記の難しい名前だったようだ。

 学術研究界隈で統一されたのかは分からないが、今は「グウィネヴィア」が圧倒的?






名前の抽出に使用した文献一覧

https://ncode.syosetu.com/n9403fn/

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