表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

93/119

最後の稽古 VSガグ

久しぶりの戦闘回です。「ガグ」で検索するとイメージ湧くかと思います!







 

 ――ヘルヘイム帝国――



「目。乳様突起。頸椎けいつい


 短剣でイメージをしながら須磨太郎は華麗に素振りをする。

 突き刺し。柄での打撃。逆手で引くような動き。



「心臓。肋骨。みぞおち」

 突き。手首の向きを変えて再び突き。左手の盾で打撃。



「上腕骨。上腕三頭筋。腋窩えきか

 素早い切り。鋭い突き刺し。逆手のまま切り裂き。


「膀胱。脛。アキレス腱」

 突き刺して裂くような動き。蹴り。大きく素早い振り下ろし。


「手首。こめかみ。首」

 スナップをきかせた切り付け。打ち付けるような素早い動き。えぐり取るような剣さばき。



「素晴らしい。完璧ですね」

 かたわらにいたエルニクスが言う。今までの動きは短剣と盾で相手の急所を攻撃するための動きだ。全てエルニクスが実際に人を使って見本を見せ、これらの部位を攻撃するとどのようなダメージが与えられるのかを須磨太郎に教えた。須磨太郎は人を使うことはしなかったが、稽古毎に生々しいイメージと共にこれらの動きを行い、マスターした。


「気を付けてほしいのは、これらがあくまで対人間用のものであるということです」


「どういうことだ? 俺が殺すのは人間だろう?」


「いいえ。そうとは限りません。その可能性は高いですが、そうでない場合もあります」


「俺の『地獄変』みたいなものか」


「少し違いますが、まあそういうことです。身体を怪物に変形させて来る可能性も否めません」


「なるほどな。お前の仲間にそんなやつがいるのか?」


「隠す必要もないでしょう。そうです。リザさんの『山月記』と同じです」


「理解した」


 世界樹の落とし子の一人、セバスチャン辰巳は龍の力をその体に秘める。部分的に使用することで感覚を高め、器用な動きが可能になる。ゆえに裏方では武器などの製造を手伝うこともある。だが、その力を全て開放すると、セバスチャンは龍となり、邪眼みゆりを凌ぐ力を発揮する。


「今日はガグと実戦をこなってもらおうと思っています」


「ガグ?」


「あなたが丘の上で戦ったあの化け物の名前です」

 エルニクスは続けて言う。

「それと、これが実質的な最後の稽古と考えてもらっても大丈夫です。近いうちに最終テストが行われると思います。そこでは稽古ではなく、本番をしてもらうつもりです」



 パチン。


 エルニクスが指を鳴らすと、地面が機械的に開く。リフトが上がってきて、その上には鎖に拘束された4体の化け物がいた。ガグは既に防具をしている。


「盾とスキルは使ってもらっても構いません。そうですね、ギフトも使っていいでしょう。と言っても使いようがなさそうですが」


 稽古室の扉が開くと、信者が荷台にガグの使う武器を乗せて運び込む。

 絶縁体の素材で作られてた巨大な大剣。カーボン製の棍棒。大盾。淡い光を放つ黄金の大斧。


「これらの武器は一定以上のクオリティを保っています。麒麟の電撃は通しません。ご注意を」

 エルニクスはガグ達の目の前に行く。

「《ラスト・マテリアル》」

 エルニクスの魔法により、ガグの拘束具が錆びる。ガグたちはここぞとばかりに力を振り絞り、鎖を引きちぎる。


「ウウウウ!!!」

 ガグの野太い叫びが空間に響く。


 ガグは状況を理解し、4本の腕で武器を取る。



「試合開始!」


 エルニクスの叫びと共に、両者は動き出す。



 ブン。


 ガグの1体が斧を投擲した。予想できなかった行動。だが、須磨太郎はそれを盾で防ぐ。


「ウウウ!」

 2体のガグが須磨太郎を襲う。須磨太郎はそれらの攻撃を盾ではじき、膝の関節をめがけて鋭い刺突を繰り出す。ガグは須磨太郎の攻撃に体制を崩す。須磨太郎はその隙を見逃さない。盾を巨大化させるとそのままガグを押し倒す。盾を挟んでガグに馬乗りになると、4つの目に突きを食らわせる。

「《パーフェクト・アーマー》」

 他のガグたちは須磨太郎を攻撃するが、魔法で自身の背中をガードする。ガグたちの攻撃は須磨太郎に通らない。須磨太郎は再び盾を変形させると焔の盾にする。すると目を潰されたガグに火が着き燃え上がる。


 素早く盾を小型化し、須磨太郎は立ち上がる。

「残り3」

 須磨太郎はガグを睨む。



「ウウウウウウウウ!!!!」

 4本の腕で縦の長さが8mもある巨大な大盾を持ったガグが2体のガグを背にして、盾を地面に突き刺し障壁をつくる。後ろにいた巨大な剣と斧を持ったガグと、棍棒を持ったガグは武器を地面に突き刺すと、両手の手のひらを合わせ、魔法を詠唱する。


 バリバリ。


 地面に亀裂が走り、須磨太郎のほうに迫ってくる。亀裂からは電撃が放たれる。


「《グランディア・シールド》」

 裂け目の上に薄く硬いシールドが5枚作られる。須磨太郎はその上に立ちながら麒麟を前方に掲げる。

「麒麟!」

 ガグの電撃の魔法は全て、麒麟に吸収される。須磨太郎にもダメージは入るが盾の効果により傷は一瞬で癒える。電撃により麒麟は帯電し、青白い光を放つ。


「《グランディア・シールド》」

 再び須磨太郎は魔法を使用する。大盾の前に3つの盾を足場として階段のように展開させる。浮遊した盾を目指して須磨太郎は一気に距離を詰め、階段をのぼりつめる。そのままの勢いで大盾を飛び越え跳躍すると、地面に向かって身体が平行になるような空中姿勢を取り、真下にいる盾を構えていたガグに麒麟を投擲する。

 グサリ。

 ガグの頭頂部に麒麟が刺さったのを確認すると、着地と同時に須磨太郎は技を発動する。


「〈サンダーボルト〉」


 ビシャン!


 麒麟から稲妻が放射される。ガグの身体は一瞬で丸焦げになり、びくびくと痙攣しながら死んだ。


 その様子を見て残された2体のガグは少しだけ後ずさりをする。


「残り2」

 悠々とした態度で須磨太郎はガグの死体から麒麟を回収する。麒麟はまだ帯電していて、びりびりと空気を震わせていた。


「どうした? 来ないのか? ならばこちらから行かせてもらおう」


 ぽんぽんと須磨太郎はその場でジャンプする。2回目の着地をした瞬間、すでにその姿は消えている。

 ガグの背後に回り込んだ須磨太郎は大きく回転をしながら、ガグの脚の健を抉り取る。

 その攻撃に6mはあるガグの巨体が膝をつく。


「《シールド・ウォール》、《チェイン・ロック》」


 2体のガグの間に壁が生まれる。地面から4つの鎖が伸びてきて、膝をついたガグの4本の腕を捉え、地面に引っ張る。地面に突っ伏したガグの目の前に須磨太郎は移動する。ガグの顔面は中央で裂けている。それは凶悪な歯を備えた口である。須磨太郎は小型化した盾をその口に突っ込む。ガグは須磨太郎の腕を噛みちぎろうと口を閉じるが、盾につっかえ腕に歯が刺さるだけである。


「死ね」

 ガグの口の中で盾が一瞬で巨大化し、ガグの頭は綺麗に真っ二つに裂け、ガグは絶命する。


「次で最後か」


 須磨太郎が呟いた瞬間、壁がガグによって破壊される。



「ウウウウウウウウウウウゥゥゥ!!」

 最後のガグは怒りに燃えていた。上の2本の手には巨大な剣が下の2本の腕には小さい斧が握られていた。


「悔しいか? だが諦めろ。弱者に生きる資格はない」

 須磨太郎は盾を極限まで小型化する。


 そのまま一気に距離を詰める。ガグは大剣を振り回す。須磨太郎はそれを短剣で受け止め、更に近づく。

 斧の1撃が須磨太郎の腹部をえぐる。だが、須磨太郎は止まらない。太ももに剣撃を与える。素早く的確な攻撃でガグの肉が削られていく。背後から大剣が何度も突き刺されるが、須磨太郎の動きは止まらない。再生能力がガグの攻撃によるダメージを上回っていた。

 遂に、ガグは膝をつく。須磨太郎はガグの一つの目に短剣を突き刺す。

「ウウウウウウウ!」

 痛みにガグは声をあげる。力任せに須磨太郎に攻撃を放つ。須磨太郎は盾を大きくし、攻撃をはじく。そのまま短剣をガグの腕に突き刺すとガグは大剣を手放す。

 須磨太郎は短剣を刺したままにしながら、大剣を手に入れると、自身を軸にして大きな一回転切りを放つ。

 ガグの腹部に深い傷ができ、血が噴き出す。短剣を回収すると、その傷口と垂直に交わる方向に短剣を振り下ろす。ガグの身体に十字の傷が生まれると、左腕をガグの体内に突っ込み、再び盾を巨大化させる。


 グシャ。


 ガグの身体は内部から破裂する。


 こうして最後の稽古は終わった。




次回は木曜日に更新します。今週は土日投稿できないので、土曜日か日曜に予約を入れてみたいと思います!


ブクマ、評価、感想などいただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ