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二回目の復讐ー2

「そろそろこの前の場所につきそうだ。異常があれば教えてくれ」

「あなたの察知スキルが一番頼りになるんじゃないかしら」

 そんな話をしバベルの塔が見え始めた。敵の姿はない。

「いないな。奴らは俺たちを待ち伏せしていたようではなかったし、この森で何か目的があるのかもしれない」


 キーーーン


 直観的にわかる。これは俺の『上位察知』が反応している感覚だ。数は4。あいつらで間違いないだろう。距離や方角まではわからないが、直ぐ近くにいる気がする。


「文香はここで待機していてくれ。何かあったらすぐ助けにいく」

「わかった。気をつけて」


 俺は気配を消して進む。

 木々の奥に影が見えてきた。怪物たちは何か話しているようだ。


「bbeekktp」


「boborurrna」


「bqnnurrt」


 怪物たちの周りの木々は倒され、整地されている。奴らはテントを張り、火を囲んで談笑をしている最中だった。魔法の射程距離に入る。あの魚顔は何度もみても気持ち悪い。だが今はそれよりも憎しみが勝る。すぐにでも殺してやりたいが我慢する。最後のイメージトレーニング。よし。いける。


 右手を奴らの奥の木に向ける。


 《アズ・フレイム》


 火球は奥の木に当たり、一瞬燃える。怪物がそれに気をとられている隙に一気に距離を詰めた。まずは手前の奴から。

 《エッジ・クラック》

 放たれた閃光が怪物の胸に深く傷を刻む。怪物が痛みに声をあげる。

 左手で敵の右腕をつかむ。そして脚で相手の重心を崩し、地面にたたきつける。

 倒れた敵の喉元をにナイフを突き刺し、ひねる。まずは一人目。


 すぐ隣のやつが棍棒で殴りかかってくる。それを避けるが、すぐさま相手はつかみかかってくる。リーダーはこちらに向けて魔導銃を構え、引き金を引いた。


「『The Gre(グレート)at Gatsby(ギャッツビー)』」

 俺はスキルを発動した。


 時空が、歪む。


 リーダーの放った弾丸は目に見える速度で俺に飛んでくる。俺はそれを素早く躱し、そしてそのまま、目の前の怪物の腹に拳を入れる。怪物は拳が腹に当たった瞬間、初めてその攻撃に気が付いたようにスローモーションで下を向いた。

 怪物はふっとんだ。


 次に襲い掛かってきた敵の手の甲をはじいて相手の武器を吹き飛ばす。怪物は棍棒を持っていない方の手でこちらを殴ろうとする。が、その動きは手に取るようにわかる。


 徐々に時間感覚が戻っていく。


 相手の拳が放たれる。俺はその腕を流して、一歩踏み出す。相手の動きを利用しながら、腕に膝をいれ、骨を砕く。後ろから羽交い絞めにしてこいつを人質にする。

 ここで一度相手の様子をうかがう。リーダーはこちらに向けて銃を構えている。ジェスチャーでその銃を下ろせと伝える。だが、それは通じない。

 どうしたものか。

 スキルの強さは今回の戦闘で十分わかった。今の俺ならこいつらに負けることはないだろう。


 バン!


 銃声が響く。リーダーが魔導銃を使用したのだ。放たれた弾は人質の胸を貫通し、俺にヒットする。人質は倒れた。


「なるほどな」


 以前の戦いでリーダーが俺に魔導銃を使用した時、ひどく動揺していた。それはなぜか。本来の魔導銃は一撃必殺の武器だからだ。何通りか仮説を考えていたが、この怪物の身体を貫通したところをみると俺の耐久力が原因なんだろうと思う。リーダーを見る。以前と同じ恐怖に支配された顔で俺のことを見つめている。


「お前の弾が数発当たった程度じゃ俺は死なない」


 リーダーは驚いたような顔をし、もう一度魔導銃をはなった。動揺のせいか弾は俺から逸れる。


 俺はリーダーに向かって一気に距離を詰める。右手のナイフで魔導銃を持つ手を切りつける。そして左手ですぐさま魔導銃を握り銃口を自分からを外す。


 バン


 4発目の弾は暗闇に消えていった。ナイフで怪物の左腕を切りつけ、銃を奪いとる。弾はまだあるはずだ。右側から俺を殴ろうとしていたもう一人の怪物に銃を向け、躊躇ちゅうちょなく引き金を引く。



 弾は相手の胴体にヒットし、風穴をあける。リーダーの動きが鈍くなる。



 リーダに対し、再び引き金を引く。弾は発射されない。やはり5発が限界なのだろう。銃をみる。リロードができるような装置は見当たらない。


「これもイメージなのかもしれないな」


 弾を装填したい。


 そう思った瞬間、右手に痛みが走るのと同時に銃が青く光る。針で刺されたような感覚。見ると手には針で刺された穴があり、そこからは血が流れている。血と魔力がこの魔導銃の弾になっているのだろう。これで以前撃たれた時に観察したものが何だったかわかった。 



 俺はそのまま他の気絶している怪物の元に生き、頭部に銃を構え引き金を引いた。大きな音と共に怪物の頭部が吹き飛んだ。威力は先ほどのものよりも明らかに強い。

 俺はそのまま近くの木に銃を向け発砲する。



 バン!!


 間違いない。倍以上の威力は出てる。

「俺の血や魔力が原因なのかもしれない。これも検証の価値がありそうだ」



 ***


 戦闘のあと、その近くで文香とテントを設置し、休息をとった。仮眠をとりたかったが、興奮して寝付くことはなかった。日が出始める。文香はまだ寝ている。俺はテントから出ると死体を確認しにいった。


「改めてみると気持ち悪いな」


 怪物には瞼がなかったから、木の葉を一枚顔にかけてやった。リーダーの装備を見る。腰にはサーベルのような武器。服装は軍服のようなもので素材は合成繊維みたいだ。

「村の人々はモンスターの皮を服にしていたが、こいつのは明らかに違う。この世界にも高度な技術があるのか?いや、そういったモンスターがいるだけかもしれない」


 服のポケットには緑色の液体の入ったのビンがあった。ポーションだろう。

 リーダー以外の怪物の死体も調べる。こいつはリーダーと違って腰に布を巻いただけの服装をしている。共通しているところは身体が鱗で覆われていること。手や足には水かきがあること。この前はリーダーとそうでない奴は体格だけが違うと思っていたが、よく見てみると他にも明確な違いがあった。大雑把に言えば、リーダーの方が魚ぽさがある。というよりリーダーでない方は人間ぽいのだ。リーダー以外の怪物たちの腹部は人間の皮膚みたいに思える。それに気づくと今更になって吐き気がしてくる。リーダーのトサカについて調べてみたかったが、銃で吹き飛んだ頭部は見つからなかった。


「このリーダーが大人で、それ以外はまだ子供なのかもしれない」


 それならこいつらは元々人間だったのかもしれない。


「まさかな......」

 もう考えるのはよそう。


 次にテントの中にあった荷物を見てみる。保存食のような肉と数本のポーション。

「何の肉だろうか?」

 俺は保存食とポーションを回収しながら思考する。


 そしてそのまま怪物たちについて考える。


 そういえば奴らは俺の知らない言語で会話をしていた。この世界には複数の言語がある?それとも種族間で言語が違うのか?「言語」という大きな謎がある、そう感じる。


 天使と日本語で会話をしたことに違和感を覚えなかったから、その流れでこの村で日本語が通じたことにも強い疑念は抱かなかった。

 書き言葉に関しては実験済みだ。ラプト村でアンリミテッド・ノートブックスを使い村の人々に書いた文字を読んでもらったがこれも殆ど問題がなかった。大半の村人が小学校低学年で習うような漢字しか知らないのは教育のせいだろう。昔都会で過ごしてたという夫婦は問題なく読み書きができたからこの推測は間違いないはずだ。

 ラプト村の者には言語が通じた。この怪物たちには言語が通じない。怪物たちは独自の言語を持っていてそれを媒介にコミュニケーションをとる。これらの状況だけならまだ違和感を覚えるには至らない。

 問題なのは俺たちが今から向かうバビロンにあるのが「バベルの塔」ということだ。関係がないとは思えない。

 肉とポーションを持ち、文香の元へ戻った。眠気を感じたので一度眠ることにした。もう外は明るいし、文香を起こす必要はないだろう。



 目が覚める。すぐ隣に文香がいた。


「おはようございます」


「おはよう文香」


「さっき起きてたわよね?」


「あぁ。寝付けなくてね。奴らの確認に行ってたんだ」


「ここに置いてあるのは戦利品?」


「いいなその表現。それを採用しよう。死体あさりより響きがいい」

 目の前のスキル欄をチェックする。新しいスキルが目につく。


「戦闘に使えそうなスキルが追加されてる。実験をしなくちゃいけなそうだな」


 朝食を食べたあとは死体の方へ向かった。


「『超位運搬術』」


 スキルを発動する。触れたものを異次元に収納できる能力だ。文香に死体を運ばせるのは嫌だ。だからこの死体は自分で運ぶ。一番状態のよい最初に倒した怪物の死体に触れる。死体は淡い赤色に光ると、消えた。続いて、2体目。同じように死体に触れ、スキルを発動する。死体は淡い赤色に光る。が、消えない。


「容量不足?いや、文香はこれ以上の量のものを運べている」

 手を前に出し、スキルを発動する。最初に収納した死体が赤色に光りながら出現した。その後、2体目にスキルを使う。すると死体は収納される。


「やっぱり運べるのは1体が限界みたいだ。でも何故? 容量は質量や体積に依存していないのか?」

 文香を呼び、事情を説明する。文香は俺の話を聞くやいなや、直ぐに能力を発動してしまった。


 文香の触れた死体が両方とも消える。

「どうしてだ? 何か特別なことをしているのか?」


「いえ、私は何もしてないわ。」

 文香に収納してもらったものを一度全て出してもらい、他に実験をしてみた。そして一つの結論に達する。


「俺は生身の自分が物理的に持てる量を少し上回る程度しか収納できない」

 文香の収納できる量の限界はわからないが、俺より遥かに大量のものを収納できる。


「この違いはどうして生まれたんだろう」

「もしかしたらジョブのせいなのかもしれないわね。あなたは〈運転手〉だけれど、私は〈トラック〉。その違いがこの差を生んでるのかも」

「それが正解な気がする」


 ジョブという概念があるなら何かしらの差異があって当然だ。文香の予想は間違いではないだろう。少しの議論のあと、死体は文香が回収することで決まった。今更きれいごとを言っても仕方がないという文香の論理的な判断に俺は屈した。


 その後の道中はトラブルもなく俺たちはバビロンに到着した。

3話後に行われる戦闘で本当の蹂躙が見せられると思います。


そこから話が戦闘メインになっていき面白くなってくるかと思うので期待しててください。


書き溜めは十分なので1章まではどんどん投稿しようかなと思います。明日もよろしくお願いします。

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