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丘の上の決戦――屍食鬼之王――

毎日更新!

 

 ――ヘルヘイム帝国・玉座の間――



 カインズは骨でできた自らの体に一度魂を戻すと、エルニクスに情報を提供した。


「月読人。バベルの塔。屍食鬼。十分な情報です。誰が調査を?」


「みゆりの眷属をうまく利用させてもらったよ。星の観測はみゆりに頼んだ」


「なるほど。少しだけ時間を下さい。【羊たちの沈黙(ハンニバル・レクター)】」


 エルニクスの周りを青と赤の魔法陣が展開する。【羊たちの沈黙(ハンニバル・レクター)】でできるのは情報の解析。

 断片的な情報でさえ集まってしまえばエルニクスは全てを把握する。



「わかりました。大した問題ではなかったようですね」


「お前の最初の予想通り、星辰の正しき時が来れば行動は起こせるのか?」


「そうです。鍵はすでに開かれていました。星辰の正しき時が訪れるのは373日後の夜から3日間の間になります」


「そうか。そうならば順番を多少入れ替えなければいけないな。ティンダロスの王を先に捕獲し、それと同時にサトゥーとリメルを処理するか」


「それがベストだと思います。あとはインスマスのほうは支配してもいいかと思います。【海と毒薬】で深きものどもを間引き、イ=スをおびきよせて回収してもらえば、なろう王国との戦いで役に立つでしょう」


「やはりお前の【羊たちの沈黙(ハンニバル・レクター)】をもってしてもミ=ゴの技術で新しい世代の魔導銃をつくることは不可能か」


「力が及ばずすみません」


「いや、責めているわけではないんだ。お前はよくやっている」


 カインズの身体に感覚が伝わる。


「そろそろ時間のようだ。俺は向こうに行く」


「お気をつけてください」


 カインズは【菊花きくかちぎり】によって再び死体へと憑依した。




 ***



 日は既に沈んでいた。再びインスマスに戻ってきたカインズたちは作戦を開始していた。

 カインズと八目と邪眼は街全体が見渡せる丘の上に立っていた。

 戦闘ができないガゼルは丘から離れた海の近くで待機をしている。オーラはガゼルに付き添っている。




「始めるぞ」

 カインズが指示を出す。


「【高野聖】」

 八目がギフトを発動した。

 黒い雲の塊が町中の空を覆っていく。そしてヒルの雨がインスマスに降り注ぐ。


 ずしり。


 3mはある巨大な黒いヒルが八目の前に落ちる。


「『鮮血の紅玉』」


 八目が紅玉を浮遊させる。ヒルはその光る紅玉に近づくと、それを一飲みした。ヒルの腹の付近が薄暗い赤色を放つ。



 地上に落ちたヒルは近くの人間に近寄るとその生き血を啜った。

 ヒルの吸った血は全て巨大ヒルの元へ集まる。巨大ヒルは自身の身体に付着する血を吸収しては身体を少しずつ大きくさせていく。




「また会ったな」

 遠くから声が響く。声の主は鈴木だ。


 鈴木は2,3歩脱力したように歩くと、次の瞬間にはいきなりカインズの目の前に現れ、その頭蓋骨を砕くために拳を放つ。


 パン!


 しかしその拳はカインズに届かない。カインズと鈴木の間に入った邪眼がその拳を受け止めたのだ。

 鈴木はバックステップを取る。


「なかなかやるな。お前も吸血鬼か?」

 目の前に現れた邪眼に鈴木が声をかける。


「あら、あなたの全力はそんなものなの? たいしたことないのね」

 邪眼が鈴木を挑発する。


「舐めるなぁぁ!」

 鈴木が先ほどよりも速い突きを邪眼に放つ。邪眼には回避をとるような隙さえなかった。邪眼の腹に穴ができる。

 鈴木はそのまま邪眼の身体にラッシュを放つ。だが、手ごたえはない。鈴木の拳が当たった瞬間、邪眼の身体は無数の赤い蝙蝠となるのだ。

 ダメージは確かに通っている。しかし、それはごく微量なものでしかなく、吸血鬼姫の再生速度の方がダメージの何倍も速い。

 邪眼は右手の爪を鋭く伸ばすと、それを鈴木の首元に振り下ろした。


 ゴキ!


 鈍い音と共に邪眼の右腕が奇妙な方向に曲がった。

 鈴木の鉄のように硬い皮膚にはじかれ、邪眼の骨のほうがさきに曲がったのだ。

 邪眼は距離をとる。ジャンプをしている間に既に邪眼の骨は元の形に戻っていた。


「先ほどの言葉は訂正させてもらいますわ。カインズ様のおっしゃる通り、あなたは強い」


「それは光栄で。だがな、まだ本気を出しているわけではないんだ。まだギアをあげられる」


「そうですの?私もまだ本気を出してはいませんわ」


「そうか。そうか。俺様にそんなことを言うやつがいたとはな! 気に入った。お前には地獄を見せてやろう」


「では私も少々本気を出させてもらいますわ」



 鈴木がまずスキルを発動させる。


「『ゴールデン・ゴールデン』」

 鈴木の身体に金色のアクセサリーが身に着けられる。銀色に輝くネックレス。宝石がちりばめられた胸のプレート。金銀の指輪。


「これはな全部俺が今まで奪ってきたお宝なんだ。一つ一つが由緒あるアーティファクトでな、中には神器も混ざってる。だがなこれだけじゃないぞ!『デストロイ』!」


 鈴木の手に黄金に輝くメリケンサックが具現する。


「これは俺の特注だ」


 鈴木はその場でシャドーボクシングをする。


 びゅんびゅん!


 風を切る拳の音が響く。


「ここまでがギアを1段階あげた状態だ。だが、これより先がある。見たいか?」



 メラメラメラ!!


 返事をするよりも先に、カインズの魔法が鈴木に襲い掛かった。


 《インビジブルマジック・ダークフレイム・クトゥグア》

 詠唱には呪文を唱える必要があるが強力な闇の炎が相手を焼き尽くす魔法。無論、この魔法はカインズのオリジナル魔法であり、十六夜が使ったスキル『クトゥグアの炎』から着想を得たことは言うまでもない。

 カインズの能力はステータスダウンしているとはいえ、全魔力と魔法防御力、防御力を引き換えに放たれた魔法である。その威力は高い。闇の炎は鈴木の胸のプレートを焼き尽くすと消失した。


「説明の途中に攻撃をする無礼なやつがいるのか。吸血鬼の魔法なら何度か防ぐことのできるアクセサリーがなかにはあったはずだ。そうすると瞬間移動をするお前の魔法か?」

 鈴木はカインズに向かって指をさす。


「貴様ぁ! カインズ様に指をさすなど!」

 八目が顔を紅潮させながら激高する。鈴木に攻撃を仕掛けようとする八目を邪眼が手で制する。


「不意打ちはされるほうに非がありますわ。ですがいいでしょう。私も本気を見せますわ。あなたも全力を尽くしてくださいませ」


「あぁ。いだろう!これが俺の力だ! 『疾風(シュトゥルム・)怒濤(ウント・ドラング)』!!」

 鈴木の筋肉が一気に盛り上がる。鈴木の心拍数が急上昇する。頭の角は長く伸びている。



「ほう。グールキングにもなればスキルとして発動できるのか」

 カインズは鈴木をみて楽しそうに分析をする。


 鈴木の身体はその熱量に湯気がたっている。


「さあ。見せてみろ! お前の本気とやらを!」



 邪眼も覚悟を決めた。

「【仮面の告白】」


 邪眼みゆりは仮面を外した。

GWは頑張って書いてます!

応援してくれる方ありがとう!!


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