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墓荒らしと襲撃

決戦前。

「派手にやられたな」

 鈴木は洞窟でひとり呟く。


「サトゥーのやり方ではなさそうだな。全員血が抜かれてる。吸血鬼の仕業か?」

 鈴木は死体を確認する。どの死体も体中に穴が空いており血は殆ど抜かれていた。


「ここには爆発のあとがある。相手はキャスターか? かなり手練れみたいだな」

 冷静に鈴木は洞窟の状態を確認する。


「そういえば今日仕事を任せた連中も帰ってきてないな。全員やられたか。なるほどな。報復ってわけか」

 鈴木は笑みを浮かべる。今まで鈴木に報復をしてくるものなんて誰一人いなかったからである。


「吸血鬼は人に姿を見られるのを好まない。だから生息地をコロコロと変えるという。あの貴族風の連中も吸血鬼だったんだろう」

 鈴木は比較的綺麗な死体に近づいて肉をすする。


「負けたままで終わるのは俺のプライドが許さない。徹底的にやってやる。そうだな吸血鬼はなかなか死なないみたいだし、首だけ切りとって目の前で身体を食べてやるか」

 鈴木は再び部下をつくるために朝日が照らすインスマスへと消えていった。



 ***



 くちゃくちゃ。くちゃくちゃ。


 午後1時。インスマスにある霊園で墓荒らしをするものがいた。鈴木である。鈴木の部下10名は棺桶をあけては死体を取り出していた。鈴木は放られた死体の骨までしゃぶりつくす。


 鈴木は午前の内に青頭巾を15体作り街に放っていた。それぞれが20人の屍食鬼をつくるように命令をしている。夕方までには300人の部下が集まる計算だ。


「きゃっ!」


 通りすがりの女性が鈴木が死体をむさぼっている姿をみて叫び声をあげる。


 すぐさま鈴木は女性の首をへし折り、何事もなかったように食事に戻る。鈴木は今日だけで200以上の死体を食べている。

 鈴木は屍食鬼の中ではかなり美食家の部類に入る。朝昼は10代後半の男の死肉を好んで食べ、夜には20代から30代までの女の死肉を食べる。

 食べ方にも順序やこだわりがあって、あえて腐らせてみたり特定の部位だけを食べたりなど様々な食べ方を実践している。だがしかし今日に限ってはそれらのポリシーにこだわる暇はなかった。ただひたすらに死体を噛んでは飲み込んだ。


 鈴木のジョブスキルである〈オーバーイーティング〉は消化速度を数千倍に高める。消化された死体は全てエネルギーとして鈴木に取り込まれる。

 それにより鈴木のステータスはかつてないほどに上昇していた。


「鈴木様」


「来たか青頭巾ども」


 墓場には300の屍食鬼がいた。


「腹が減ってるものはここで腹を満たせ。武器を強奪して装備を整えろ。日が暮れるまでに出発する」


 屍食鬼たちは墓を荒らし、死体をむさぼった。



 ***


 棺桶の中で眠っている八目を一人覗き込む者がいた。


「何度見ても飽きないわ」


 邪眼は八目の美しい銀髪をなでる。吸血鬼は昼間は活動できない生き物だが、邪眼はギフト【仮面の告白】によりそのデメリットを消している。仮面をつけているとき、邪眼の身長は小さくなっている。女性的な特徴もなくなり、中性的というよりはむしろ子供に近い体格に邪眼はなっている。

 この状態の邪眼は仮面を外した時と比べいくらかステータスは低下しているが、それでも彼女は吸血鬼姫である。真祖よりも更に上の種族、吸血鬼姫。古き吸血鬼は100人、真祖が世界に5人しかいないのに対して、吸血鬼姫は世界に1人しか存在しない。


 邪眼は八目の首筋をそっと撫でる。そのまま手を頬に持っていき、頬をすりすりと触る。そのまま頬に手を添え、寝顔を見つめる。



 ドゴーン!!!



 巨大な音と共に屋敷が傾いた。



 ***


「ぶち壊せ!!」


 鈴木の一撃で壁に空いた穴から屍食鬼たちがカインズのいる屋敷に侵入する。


「皆殺しでいい! 盗みはそのあとだ!」


 鈴木は鼻をひくつかせる。


「死体の匂いがする。上か」


 鈴木は上の階へと上がっていく。



 ***



「【仮面の告白】」

 邪眼は仮面を八目の顔にはめる。八目の身体の変化は起きないが、これにより八目は真祖から古き吸血鬼へと退化した。邪眼は八目を肩に背負う。背中から羽を生やし、窓から飛び降りる。


 八目は目を覚ましたが状況が理解できていないようだ。既に外にはカインズたちがいた。


「カインズ様、何が起こったのですか?」


「おそらく報復だろう」


 八目が邪眼の肩から降りて、自分の脚で地面に立つ。少しふらついているが行動はできるだろう。


「どうしますか? これから」


「応戦したいところだが、まだ日が落ちていない。一度退こう」


「わかりまし」


 グチャ!


 邪眼の身体が血で染まる。

 3階の窓から鈴木が邪眼の上に飛び降りたのだ。


「コードD!」

 カインズがそういうと、八目が《ブラッド・ミスト》を使用する。


 カインズは邪眼の手に触れる。八目、オーラ、ガゼルの3人がカインズの身体に触れる。


「『THE WORLD』」


 時が、止まる。



 ***




 邪眼は鮮血の紅玉の血を消費し、自身の身体を再生させる。


「カインズ様、私にやらせてください」

 愛する者を傷つけられた八目が怒りに満ちた声でそう頼む。


「いや、一度落ち着け。敵の数を把握するのが先決だ」

 カインズは周囲の状態を確認する。


「カインズ様、こいつは蠅の王なんじゃないでしょうか?」

 ガゼルがカインズに問う。


「似ている。しかし確かに違う。こいつの種族はおそらく屍食鬼王だろう」


 蠅の王はかつてカインズが嘘松王国に攻撃をしかけようとしていた時に作ろうとしていた兵器のことだ。ゴブリンに対して強い憎悪を持っているS級冒険者ゴブレイを蠅の王とすることで嘘松王国を半壊させるだけの化け物が出来上がるはずだった。もし転生者である鈴木が蠅の王だった場合、カインズ達は既にやられていることになる。転生者の蠅の王が存在するなら、それはヘルヘイム帝国となろう王国に並ぶ新たな第三勢力になりうる力を持っている。



「一度距離をとるぞ。念には念を入れておきたい。このスキルを維持するにはかなりの魔力が必要になる。

 つまり私は魔法を撃つことができない。凪とみゆりもその状態では普段の火力を出すことはできないだろう。ならば一度ここは距離を置いて、夜になったとき、確実に殺せばいい。周りにいる屍食鬼たちは間引いてもいいかもしれない。ガゼル頼めるか」



「わかりました。《スモール・レイン》」


 空中に小さな雲が生まれる。時が動き出した時、雲からは雨が降る。その雨はガゼルの能力により毒に変わっている。

 屍食鬼は毒に耐性がある種族だ。だが、ガゼルの毒は屍食鬼さえ殺すことができる。



 カインズ一行はカインズの魔力が切れるまでの時間にできるだけ遠くの街に逃げた。

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