表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

69/119

ヴァンパイア・ハンター

投稿遅れてごめんなさい! 

今日からGWの間は毎日投稿したいと思います!

 八目はインスマスの闇に紛れていた。

 吸血をしたおかげもあり、彼女の身体は最高の状態であった。屍食鬼の記憶を頼りに、食料が保存されている洞窟を探す。人の何倍もの嗅覚をもつ彼女はインスマスに入った瞬間、死体の匂いで洞窟の位置がすぐにわかった。


「血なまぐさい匂い。どうしてあんなものが食べられるのかしら?」

 吸血鬼は新鮮な血を好む。最悪の場合死体の血を吸うものもいるが、八目や邪眼は生まれてこのかた死体の血を吸ったことは無い。彼女たちは高貴な吸血鬼だ。吸血鬼の頂点に君臨する種族。

 当然、そのステータスは他の吸血鬼よりも高い。彼女たちのステータスは夜だけに限れば転生者といい勝負をする程度にはある。


 八目は洞窟に入る屍食鬼の一人の影に入り込む。

 聴覚、嗅覚情報で周囲の情報を確認する。足音とそれの反響で立体感を掴む。洞窟の中はかなり広くなっており、そこには120以上の屍食鬼がいた。それぞれが好きなように死体をむさぼっている。


「鈴木はここにはいなさそうね」


 八目は影から顔を出すと、周囲を観察した。

 光源はわずかだがあった。しかし、洞窟内部はかなり薄暗い。屍食鬼も吸血鬼ほどでもないにしても夜目がきくのだ。


「どうしようかしら? 全員殺す?」


 八目は一人呟く。八目は背後から屍食鬼の一人に襲い掛かろうとする。


「誰だ!」

 その様子を不審に思ったものがいた。ボネルフェルトである。ボネルフェルトはルイーゼに注意を促す。二人が構えに入ったのをみて周りの屍食鬼たちも集まってくる。


「動くな。動いたらお前の首はない」

 ボネルフェルトが八目に向かい冷酷な忠告をする。


 八目は素早く周りの状況を観察する。ほとんどの屍食鬼が装備をしていないが、中には武器を持っている者もいる。

 強そうな者に目星をつける。薙刀を持った男と、杖を持った女は段違いの強さを持っていることがその姿や雰囲気からわかる。他にはなかなかの手練れもいそうだがどれも八目にとっては相手にならなそうな相手だ。


「お前の目的はなんだ?」

 ボネルフェルトは八目に質問を浴びせる。


「私はただ吸血鬼。お腹が空いてただ迷い込んだだけでして?」


「ほう、吸血鬼か奇遇だな」


「奇遇? 私が吸血鬼だと知っても驚かないのね。でもただの吸血鬼じゃなくてよ」


「どういう意味だ?」


「真祖。吸血鬼を統べる者ですわ」


 八目は適当な受け答えをしつつ、頭の中でイメージをしていた。

 八目は現在15人分の血をストックしている。強そうな二人には6人分の血くらいはもってかれそうだと考える。そして他の者との戦いも考える。なにせ数が多い。殲滅するにも魔法を使用するだろうし、そうなると血の消費量も増える。5人分の血はオーバーしてしまうだろうということがわかる。

 それでも血は余る。そこまで計算すると八目は行動を始めた。


「《ブラッド・ミスト》」


 血液を対価に八目は真っ赤な霧を発動させる。嗅覚と聴覚を頼りに狩りを始める。


 八目は屍食鬼の動脈を的確に切り裂いていく。噴出した血は全て鮮血の紅玉に吸われていく。

 一人また一人と屍食鬼は死んでいく。八目が9人目を仕留めにかかったとき、八目の腹に痛みが走る。

 ボネルフェルトが八目の腹を薙刀で貫いたのだ。


「《フロスト・オーラ》」

 ルイーゼが魔法を使う。血の霧は凝結していき、視界が晴れていく。


 どうして?八目の中には疑問が浮かんだ。吸血鬼である彼女でさえブラッド・ミストの中では視界が頼りにならない。

 だからこそそれ以外の情報で周りを判断していた。だが、ボネルフェルトはその彼女を追跡し、攻撃を仕掛けた。



「死ね!」

 ボネルフェルトが再び八目に突きを放つ。

 八目はそれを左手で受け止める。氷龍の鉤爪は八目の左手を切り裂きそのまま肩の方まで貫く。


 ボネルフェルトが八目の居場所を特定できたのには理由がある。

【カリスマ:Lv5】は同じエリアにいる仲間の位置を第六感で把握することができる。

 そして仲間が倒れたこともわかる。それを辿ってボネルフェルトは八目の位置を特定したのだ。



 八目は素早く背後の屍食鬼の影に潜ると、後ろに下がった。鮮血の紅玉から血を消費して、左手と腹部を再生する。


「再生能力か。古き吸血鬼と戦ったときも同じようなことをされたな。だが再生できる量は限れている」

 ボネルフェルトは言う。


 八目は相手が自分の能力の全容を知らないことに安堵する。古き吸血鬼たちも血を対価に生命力だけを回復し、負傷した部位を再生できる。しかし、再生できる限度はボネルフェルトの知っているようにあまり多くはない。真祖である八目は鮮血の紅玉の血を使うことでボネルフェルトの想像の何十倍もの量を回復できる。

 そのうえ八目が回復できるのは生命力だけではない。真祖と吸血鬼姫は魔力も血で代用できるのだ。


 だがしかし、八目は相手の力量を測り間違えていたことを反省する。

 真祖の身体は吸血鬼や吸血鬼姫の何倍も頑丈にできている。それをいともたやすく貫いたボネルフェルトの一撃は相当なものであると確信する。


「ルイーゼ頼んだ」


 ルイーゼは懐から青く輝く液体の入った瓶を取り出す。それを自分の周りに一周まき散らすと呪文を唱えた。


「獰猛なる血の亡者よ。その穢れた魂を沈めたまえ。《リベンジフル・ブラッド》」


 八目の身体が急激に重くなる。


「呪文?」

 東大陸では呪文と魔法の区別はされていない。西大陸では条件を満たすために特定の道具と時間が必要なものが呪文と呼ばれる。東大陸で呪文と魔法の区別がされていないのは、魔法式をつくり魔法触媒を用いて発動するという根本原理は呪文も魔法も変わらないからだ。


「残念だったな。お前の能力が高かったのは認めよう。だが相手が悪い。俺たちは〈吸血鬼(ヴァンパイア)狩人(・ハンター)〉だ」


 ボネルフェルトは胸にぶら下げた十字架を取り出し、八目に見せる。十字架には宝石が3つ埋め込まれていた。


 〈吸血鬼(ヴァンパイア)狩人(・ハンター)〉という職業は吸血鬼に対する防御耐性と攻撃補正が大きくかかる。その代わりに吸血鬼以外と対峙した場合はステータスに下降補正がかかってしまう。

 ボネルフェルトとルイーゼはどちらも吸血鬼に親を殺され孤児院で過ごしていた。二人はこの世の吸血鬼を全て殺すことを目標に生きていた。

 彼らは才能があっただけでなく努力も怠らず、さらには運を持ち合わせていた。二人は強い。

 氷龍の装備をした彼らが〈吸血鬼(ヴァンパイア)狩人(・ハンター)〉以外のジョブを選択していた場合、2対1の状況ならば鈴木とも互角の勝負をしただろう。


 八目は決断する。

「《オーバーマジック・レリギアス・ダークボルダス》」

 血を消費して大技を放つ。


「《スペル・キャンセル》」

 ルイーゼは呪術を発動する。


 ルイーゼが身に着けていたネックレスの宝石の一つがはじけ飛ぶ。あらかじめ十字架に込められていた魔法で八目の魔法を打ち消したのだ。



 八目はルイーゼに接近戦を仕掛けようとする。しかしボネルフェルトが割り込む。ボネルフェルトの薙刀が八目の心臓を突き刺そうとするが、八目は身体をそらし致命傷を回避する。

 すぐさま血を消費して身体の傷を再生させる。この時、八目は自分の身体が若干軽くなっていることに気が付く。


「《オーバーマジック・ブラックアウト》」

 ボネルフェルトの視界が完全に黒に染まる。この魔法はカインズが実験段階で魔力効率が悪いとして諦めたものだ。

 大量の魔力消費のわりに効果は5秒しか持たない。だが今はそれがよかった。八目はルイーゼの呪文が自身の保有していた血に呪いをかけるものだと確信していた。

 ほぼすべての血を使い果たした八目の身体は軽かった。


 八目は周囲の状況をみる。

 確実に動脈を切った屍食鬼のうち何体かがまだ生きていることを確認する。

 それにより通常の屍食鬼よりも彼らが強化されていることがわかる。


 八目は決断する。


「【高野聖こうやひじり】」


 八目のギフトが使用された。

今日から毎日投稿です!

よかったらブクマ、評価、感想など頂けると嬉しいです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ