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外道

「誰なんですかこいつは?」


「俺の戦友だよ。昔世話になってな。幸運の女神様だ」


「あら、嬉しいことを言ってくれるじゃない」


「ははは。お前には媚びをうっときたいからな。ところで急にどうしたんだ?お前の方から会いたいなんていってくるなんて。また妖狐が欲しいのか? もういないぞ」


「妖狐はもういいの。既にコレクションできたから」


 望は部屋に入ってくる。

 室内灯に照らされてボネルフェルトは望の姿を観察する。

 濃紫色の短髪。肌は色白。胸は大きく、身長は165cm程度。顔立ちは整っているがどこか冷たい雰囲気を放っている。唇には紅のリップが塗ってある。全体的なイメージとして蛇のような感じをどこか受ける。


「いま私はある男に追われているの」


 望月の言葉に鈴木が反応する。

「本当か? お前のギフトならどんな相手でも勝てるだろう?」


「そのはずだった。だけれどあの男には私のギフトが通じない」


「どうしてだ?」


「原因はわからない。おそらく奴のギフトの能力だとは思う。奴は間違いなく転生者だった」


「その奴というのは誰なんだ?」


「盾の奴隷商 サトゥー須磨太郎よ」


「あぁ。そいつの名前なら聞いたことがある。俺たち悪党の間ではかなり有名だな。

 奴隷商と言われているが実際はその逆。奴隷売買をしている組織を集中的に潰して、そこで助けた女たちを自分の奴隷にしている。

 俺の取引先も何個かやられたよ。屍食鬼は死体がないと生きていけないからな。かなりの痛手だった」


「カインズが東大陸のゼメル王国と大規模な取引を行おうとしたのを潰したと聞いたわ。

 それからカインズのネガティブキャンペーンにより奴隷商と言われ西大陸では全国的に指名手配されるようになった。

 それが理由かしら、ずっと極東で旅をしていたみたいね。そこで私は奴と出会った」


「どうせお前のことだ。サトゥーの奴隷の中に欲しかったやつがいたんだろう?」


「正解♪ 不滅の奴隷烙印を押されてるキッズが何人かいてね。リザードマンのキッズとワーウルフの犬派のキッズが欲しくなっちゃって貰ったの」


「あれからコレクションは充実したのか?」


「気になるの?」


「あぁ。屍食鬼だからな。といってもお前とは見る視点が違うと思うが」


「わかったわ。じゃあ見せてあげる。『展示室』」

 望がスキルを使うと地面に光る穴ができた。


「ボネルフェルト、監視を頼むぞ。ついでにそこにいる奴らを屍食鬼に変えておいてくれ」


「了解しました」


 二人は地下室に降りて行った。



 ***



 地下室には様々な生物の部位が展示してあった。


「どうかしら?」

 望は笑う。


 望月望は転生する前の世界で人体収集を趣味としていた。

 その名残として『展示室』というスキルが悪意ある者の手により転生の際に追加された。望月は転生後の世界でも人体収集を目標に生きていた。

 闇の世界に身を投じる中で彼女は鈴木と出会った。二人はお互いが同じ存在であることをすぐに自覚し、手を組んだ。

 それから何年かの月日が過ぎた。十六夜天狐が嘘松王国の天狐になってからなかなかチャンスがめぐってこなかったが青頭巾盗賊団が偶々2尾の妖狐を確保しそれを望に渡した。


「おぉ。うまそうだな。キッズの肉は柔らかくて独特の歯ごたえがするんだ」


 鈴木は亜人の保存液につけられた死体を見て呟いた。


「その考えはわからないわ。以前あなたに勧められたとおりにリザードマンの睾丸を食べたけれどあまり美味しくはなかったわね」


「そうか。残念だな。奴らの火酒と一緒に飲むと最高なんだが」


 二人は展示室を歩いて行く。

 展示室は地下に亜空間を生み出す能力だ。どんな場所であろうが地面さえあれば穴と地下へ続く階段を作り出すことができる。

 だが、その穴には誰でも侵入することができるため、隠れるためには使えない。あくまで収集するためにしか使うことができない能力だ。


「さっきの話に戻すが、お前のギフトが通じないというのは本当なのか?」


「嘘じゃないわ。奴と奴の奴隷は私にダメージを負わせてきた。だから私は彼のギフトをギフトを無効にする能力だと踏んでいる」


「そうか。それで俺の元へ逃げたというわけか。俺はどちらかといえば種族の力に依存しているタイプだからな」


「そういうこと」


「わかった。危険が去るまで俺の元でかくまうことを約束しよう。だが、一つこちらからも要求をしたい」


「何かしら?勿論、私もただで協力してもらおうなんて考えてないわ。私の身体が目当て?」


「確かにお前が死んだらその身体は食べてみたいと思う。だけどそうじゃない。俺は今このインスマスで鍵を探している」


「鍵?」


「そうだ。鍵。この近くの海底にはルルイエという海底都市があると言われている。それを浮上させるための鍵がこのインスマスの街のどこかにあるんだ」


「なるほどね。謎解きってわけか」


「お前のギフトならこういうのは得意だろう?」


 二人は展示室をあとにした。



 鈴木と望月が展示室から出たとき、外にはボネルフェルトとルイーゼが見張りをしていた。

 部屋の氷は全て溶け、屍食鬼たちは壁に整列していた。


「見張りご苦労。インスマス郊外の洞窟に食料はある。場所はその女がわかるだろう?みんなで食べにいっていいぞ」


「ありがとうございます」

 ボネルフェルトたちは部屋を後にした。



 鈴木と望月は机に座り対面した。

 鈴木はポケットからサイコロを取り出す。


「東西南北上下の6択だ。ギフトは今日あと何回使える?」


「ここの場所に辿り着くため2回使ったわ。効果は既にきれてる」


「そうか。じゃあ頼む」


 望月がサイコロを握る。


「【 Gone With the Death】」


 望月がギフトを発動した。


 サイコロを転がす。サイコロは西の目を指す。


「西かぁ」


「そうみたいね」


「どれくらいまでなら使っていい?」


「3時間、つまり6回分は残したいわ」


「わかった。じゃあ西の方へ歩いてからもう一度サイコロを振ってくれ」


 鈴木と望月は夜のインスマスに消えていった。



 ***


【 Gone With the Death】

望月望の能力。1日のうち10回だけ使える。ギフトを使った瞬間から30分間の間、望月は強運になる。

望月が不利になるような致命的なダメ―ジをくらうことはなくなる。対処法としては能力が発動していない時間を狙うなど。

望月のステータス自体はあまり高くなく、B級冒険者の平均と同じ程度の実力しかもたない。

明日も投稿します。


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