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ユービック

『黄衣の王』はちゃんと考察すればわかるようには書かれています。

製作時間5時間くらいですかね。普段の話は1話で1時間弱くらいなんですけど。

書くのがすごく大変でした。

「ハスター.....」

 狂気が渦巻く劇場で俺は呟く。


 イア! イア! ハスター!


 遠くから声が聞こえる。これがハスター様の声?


 Ia! Ia! Hastur!


 信じる者は救われる。信じる者だけ......




 ***


「ハスター様を信仰してください。そうすれば大河さんも救われます」


 突如、目の前にゴブレイさんが現れそう呟く。

 額の穴からは血が流れている。


 ゴブレイさんの後ろには、いままで殺してきた人々が血を流しながら立っている。


「「「イア! イア! ハスター!」」」


 赤い血の色が徐々に黄色くなっていく。


「ほら。早く。大河さんもハスター様を信仰すれば楽になれます」

 ゴブレイさんがまた囁く。

 額の血も既に黄色に染まっていた。


 ***




「あなた気をしっかりもって!」

 文香に肩を揺さぶられて俺は意識を取り戻す。文香の顔も苦しそうだ。


「文香、使うぞ」


 文香はすぐに頷く。


「『若きウェルテルの悩み』」


 俺の右手が一人でに動く。

 銃を取り出し、こめかみを打ち抜く。



 ・・・・・・。



 意識が覚醒した瞬間、俺はすぐに目の前のスキル欄を整理する。


『若きウェルテルの悩み』


『ユービック』


『魔の山』


『時計仕掛けのオレンジ』


『桜の樹の下には』



「『ユービック』」


 スキルを発動した瞬間、俺の左手にスプレー缶が現れる。表面には「UBIK」の文字。

 直ぐにそれを文香に向けて使う。虹色の霧が文香を包む。

 文香が正気を取り戻したのを見て、自分に対してもスプレーを発射する。


 シュー。


 俺は自分自身を取り戻す。


「一度ここから離れたい。文香大丈夫か?」


「ありがとう。助かったわ。少し待って。『The Great Gatsby』『A Study in Scarlet』」


 文香がスキルを使用する。俺のスキル欄が余裕がないのを察してスキルを使用してくれるのは助かる。

 俺と文香は劇場から離脱した。



 ***



「あれは何だったんだろうか。演劇ではクトゥルフという言葉が出てきた。

 この名前は知っている。ラブクラフトが造ったクトゥルフ神話のことを言っているのか?」


「あなたから闇商人の話を聞いたとき、ルルイエという名前が出て来たでしょう。その時は何も思い出せなかったけれど今は思い出せる。ルルイエはクトゥルフが封印されている場所の名称のことだわ。多分、バベルの塔が関係しているんだろうけれど、今の劇場を聞いていろいろと記憶が蘇ってきた」


「少し予感がある。『魔の山』」


 俺がスキルを発動すると名状しがたい知識が雪崩れ込んでくる。



ハスター。風を操る邪神。クトゥルフの異母兄弟で仲が悪い。

化身として黄衣の王という姿がある。黄金の蜂蜜と××××.....星辰の正しき時♯♯♯、招来される。

♯♯♯ビヤーキーは××××...××........。ズズズ.......。



 頭の中に流れてきた情報を整理して、文香に伝える。


「ある程度の知識は得られた。でも全ての知識が得られたわけではないみたいだ」


「緋の目で見ることのできたことを話すわ。演劇の中で出てきた鬼の子供たちは本物だった。演劇中に殺されたものも間違いない」


「そうか。確かに聖職者たちの会議でそんなことも言ってたような気がするな。一度ここで得られた情報を整理しよう。黄色印の兄弟団はハスター招来の儀式を行うことを目的としている。蜂蜜に魔力を込めることで黄金の蜂蜜酒というものが造れ、それは儀式に必要なものである。現在、蜂蜜は鬼の集落からしか入手できない。鬼とは交渉が決裂し、信者たちは武力で蜂蜜を手に入れようとしている。あの劇は集団を狂わせて、鬼に対する憎悪を植え付けるのが目的。こんなところか。期限は今月中と言っていた。そうすると時間は少ない。次に俺たちがとるべき行動は鬼の集落に向かうこと。両方のサイドから情報を手に入れ、吟味し、介入すべきと判断したら実行する」


「一つだけ気になったことがあるの。『A Study(シャーロック) in() Scarlet(ホームズ)』を使ったとき、あなたの頭から角が生えているのが確認できた。『ユービック』を使ってからはその角は完全に消えたわ」


「『屍食鬼写本』の影響か。まあスキルを使ったあと角が消えたのなら問題ないだろう。となると角が消えたのは女神の血の効果といわけではなかったんだろうな。文香の言ってた通り俺たちが転生者だからという理由が正しかったのかもしれない」


「そうね。ところでスキルの方はどうだったかしら?」


「問題なく機能した」


 『若きウェルテルの悩み』。一瞬で眠りについたあと、その場で自殺し、復帰後30秒間の間無敵になれる能力。

 戦闘中でもスキル変更ができるようになるが、強制セーブをしなくてならない。


 『ユービック』。精神的なダメージを回復するスキル。

『失われた時を求めて』が肉体に使えるのに対して、『ユービック』は精神的なもの全てをリセットすることができる。

 疫病に対する免疫なども強化できるスキルだ。『ユービック』を使用した相手には24時間の間、『時計仕掛けのオレンジ』を含む精神系のスキルや魔法は効果がなくなる。

 おそらくこれを使えば、地下室の記憶の消去の魔法も効かなくなるだろう。


「だったら提案があるのだけど、今晩、私も『屍食鬼写本』を読んでみたい。『ユービック』がある今、あなたが私を止める理由はないはずよ」


 一瞬の逡巡の後、俺はそれを許可した。


「わかった。文香も読んでみてくれ。何か異変が起きたらすぐに知らせてくれ」


「今晩はどこで寝泊りしますか?」


「山道で少し開けたところがあった。そこで寝よう。それと楓のことを忘れてた。寝床を準備したら楓を出して、『以心伝心テレパシー』を使ってもらう」


 夜が明けた。文香の身体に起こった変化は俺と全く同じ症状で、スキルを使うまでもなく角はすぐに消えた。飢餓感などは全くないという。

 今朝は楓に事情を説明した後、定期連絡の時間に旨を伝え、楓には再び収納されてもらうことにした。

 朝ごはんを食べたあと、俺と文香は鬼の集落へと向かった。

ユービックはSAN値プラスαを回復するスキルだと思ってもらえればいいかと。


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