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新たなスキルと地下室

次回から3話で大伏線回収です。

 ゆっくりと目を開けたとき、俺の目の前には文香がいた。

 いや、というより文香の胸が目の前にあった。


「あなた、大丈夫?」


 俺は自分が膝枕をされているということを認識する。極上の感覚。

 文香のいい匂いがしてくる。寝たままの状態で俺は答える。


「大丈夫だ。全てが上手くいった」


「よかった」


 文香が俺を抱きしめる。柔らかいものが顔に当たり呼吸がきつくなるが、幸せの気分に包まれてしまう。


「あなたにこれを見てほしいの」


 文香はアンリミテッドノートブックスを開く。

 そこには

「スキルを追加しました。まずは魔の山を使ってください」

 と書かれてあった。

 俺は目の前の消えかかっているウィンドウを見る。そこには10個の新しいスキルがあった。




嵐が丘(ワザリングハイツ)


『失われた時を求めて』


『桜の樹の下には』


『存在の耐えられない軽さ』


『時計仕掛けのオレンジ』


白鯨(モビィ・ディック)


『ペスト』


『魔の山』


『ユービック』


『若きウェルテルの悩み』




 俺は指示の通りに『魔の山』をセットし、使用する。

 すると、頭の中に様々な知識が入ってくる。

『魔の山』は奪った命の分だけ、この世界について詳しくなれるというものだ。一切無知のものであれ、奪った命の量次第では直観的に理解できるようになる。

 そしてその能力により俺はこの新たに贈られた10のスキルの能力について完全に理解することができた。

 同時に、このスキルたちが贈られてきた理由も理解できる。上の存在の間で何か予想外のトラブルがあった。そのため俺に早く転生者達を始末してもらいたいのだ。

 天使たちはこちらの世界に過度に干渉することはできない。しかし、俺たちが十六夜天狐を殺したことにより、このスキルを俺に贈るための余裕ができたため、スキルは贈られた。

 トラブルと関連したこととして、別の事実も理解する。この世界のバベルの塔が壊されてしまった。それにより別世界との言語の統一が起きた。


「文香、バベルの塔がいまどうなっているかわかるか?」


「ごめんなさい。私はずっとあなたに付きっきりだったので。楓さん達に聞いてみましょうか」

 文香が楓さんを呼ぶ。その間に俺は起き上がる。楓さんは部屋に入ってくると、一通りお礼を述べ、こう言った。


「大河様のおっしゃるとおり、バベルの塔が消えました」


「そうか」

 と俺はいう。


「文香、『屍食鬼写本ししょくきしゃほん』を出してくれ」

 文香は荷物の中から、言われた通り、魔導書を取り出す。

 俺は本を開いて、神の名前の部分を見る。以前は読めない記号のようなもので書かれていた部分に、新たな文字が書かれていた。


「文香、これ読めるか?」


「はい。モルディギアンと書いてあります」


 やはりこの文字が読めるのは俺が『魔の山』を使ったからではないらしい。

 バベルの塔が消えたから言語が統一されたのだ。


「どうやら俺たちの知らないところで何か大きな動きがあったらしい。急がないといけない。数日のうちにここからは発つ」


 すると、話を聞いていた楓さんが口を開く。

「大河様、一つお聞きしたいのですが、十六夜天狐様から鍵はいただいてませんか?」


「鍵は天狐が死亡する前に握っていたから回収しましたけど」


「そうですか。では、今日中に城の地下室に向かってください」


「地下室?何があるんですか?」


「私も知りません。ですが、あの方から鍵を託されたのなら、それを使う必要があります」


 俺は楓さんの指示に従って、城の地下室に向かうことにした。

 身体の傷は既に癒えていた。女神の血のおかげだろう。文香も魔力は大分回復したみたいだ。


 城へ向かう途中、文香は俺に大事な話をしてくれた。


「私、自分のギフトの能力がわかりました」


「その言葉だけで大体の予想はつくよ。でも少し待ってほしい。ひとつ実験をしてみたい」

 俺は文香の方を向いてスキルを使う。


「『魔の山』」


 俺の脳内に文香のギフトについての情報が流れてくる。


「随分便利なスキルだな。でも、このスキルを使っても俺自身のギフトに対するまだ情報は得られないらしい。

 一応、今得られた情報と文香の得た情報を照らし合わせてみよう」


 文香と俺の情報はおおむね一致していた。文香はギフトのことを目覚めた瞬間に自覚したらしい。


 文香のギフト【輪廻転生りんねてんせい】は死者のギフトを使用できる能力だ。



 城に着いたとき、日は既に傾きかけていた。

 楓さんの指示に従って俺と文香は地下室の前まで案内された。

「私はここで待機しております」

 と楓さんはいう。

 鍵はドアにぴったりとはまり、扉が開いた。


 部屋の中央には一つの大きな鏡があった。

 元々光源のない部屋は、文香が扉を閉めたとき、完全な闇に包まれた。

 数秒のあと、一瞬で部屋が明るくなる。

 すると、鏡の中には十六夜天狐の姿があった。


「十六夜天狐、どうしてお前が生きている?」

 俺は思わず口走る。


「ほう。まさか今日が私の命日とは思ってもみなかった。しかし、不思議な感じだ。これから私を殺す相手と話すことになるのは」

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