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VS 十六夜天狐ー4

今日はあと1話更新しますね。

 13回目の挑戦。


 大河は12回目にスキルを使わずに、『Plausi(まこと)ble Story(しやかな嘘)』の弾幕攻撃を切り抜けようとしたが、失敗し現在にいたる。

 13回目の大河は最後の魔法に対してマジックシールドを使って、無事に切り抜けた。

 そして、11回目の時と同じように、天狐の方へ駆け込む。その際、分裂体の方にも銃を放つ。

 文香の長距離からの援護もあり、分裂体二人は一度散り散りになる。これにより大河は天狐との交戦時間を確保することがきた。


 大河は天狐にナイフで切りかかる。天狐の最初の行動は大河にわかっていた。大河のナイフを天狐の一本の尻尾が防ぐ。この時、大河はナイフは手放すと、それは宙にはじかれた。

 そして以前と同じ軌道で2本の尻尾が横から大河に叩きつけられる、が大河はそれを躱した。

「『The Gre(グレート)at Gatsby(ギャッツビー)』」

 大河の動きが速くなる。大河は腰にさしておいた一輪の菊を手に取り、スキルを発動する。


「『菊と刀』」

 大河の腰で菊は刀に代わる。大河はそれを抜刀した。

 居合い。刀の最大にして最速の攻撃。

 天狐はそれを躱すことができない。


 ブッシャ!


 天狐の腹に大きな切り傷が生まれ、血が噴き出す。

「まだだ」

 大河は神速の斬撃を天狐に放っていく。


 キンキンキンキン!


 大河の刀と天狐の尻尾がぶつかり合い、激しい音が響く。押しているのは大河だ。大河の斬撃は着実に天狐にダメージを与えている。

 天狐が大河から距離をとる。大河の刀は菊へと瞬時にかわる。

 大河はすかさず魔導銃を天狐に放つ。


 バン!バン!


 弾が天狐の肩をかすめると、天狐は怯んだ。その隙に大河は再び距離を詰め、懐に刀で切り込む。



 天狐は死を意識する。しかし、まだ自分が負けていないこともわかっていた。


「【すべてがFになる(オール フィクション)】」


 天狐のギフトが発動する。天狐は命の危機を感じる中でも冷静に相手をそして状況を分析していた。そして一つの可能性を見出す。

 この動きの速さは『The Gre(グレート)at Gatsby(ギャッツビー)』を使ったものであると。否、そうで無かった場合、自分が敗北するだけだと。


 天狐がスキルを発動する。

「『The Gre(グレート)at Gatsby(ギャッツビー)』」


 天狐がスキルを発動させ、天狐の時間が始まる。

 加速した思考の中で、状況を考える。

 ギフトが発動されたということは相手が使っているのは間違いなく『The Gre(グレート)at Gatsby(ギャッツビー)』であった。

 その事実から相手は自分と同じ転生者であると理解する。そして、相手の動きが鈍くなってきているのもわかる。


 天狐がスキルを発動した時すでに、大河はスキルを解いていた。

 スローモーションの世界で、天狐は大河の剣筋を見切り、5本の尻尾をもって刀をはじく。

 宙に浮いた刀を確認して、天狐は魔力消費の激しい『The Gre(グレート)at Gatsby(ギャッツビー)』を解く。



 危なかった、あと少しでも相手の魔力が残っていたなら、どうなっていたかわからないと、天狐は思考する。

 しかし、大河がスキルを解いていたのには無論、理由があった。



「『檸檬れもん』」

 大河の右手から紫色の光線が発射される。

 そしてその光線は天狐の身体にヒットし、天狐の身体は後方に吹き飛ばされる。

 天狐の尻尾のうち2本がブクブクと膨らむ。

 膨らんだ尻尾は嫌な音を立てながら更に膨らむと、爆発した。


「アアアアアア!!!」

 余りの苦痛に天狐は声をあげる。


 爆発した尻尾の血しぶきが天狐の身体にかかると、さらに一本の尻尾が膨らんで爆発した。



 この光景をみて大河は勝ちを確信した。

 だが、檸檬れもんは3本の尻尾を破壊するだけで終わってしまった。

 そして十六夜天狐の出血が止まる。回復魔法が使用されたのだ。



「【すべてがFになる(オール フィクション)】!」


 天狐は大河に向かって指で作った銃を向ける。そして。


「『檸檬れもん』」


 天狐の指から、紫色の光線が放たれ、大河に命中する。

 大河は死を悟る、しかし。

 大河に放たれたエネルギーは左腕の方に移動していく。

 そして、大河の左ひじのあたりがメリメリと気持ちの悪い音を立てると、ブクブクと膨らんで、爆発した。

 大量の血しぶきが吹き出る。大河はすかさずヒールを使用し、出血を止める。


「『檸檬れもん』で相手を殺しきることができない場合、部位破壊にとどまるのか」

 そう大河は結論づける。


 大河の左腕は二の腕から先がなかったが、女神の血の効果によって、その左腕は徐々に再生を始める。

 大河はその腕が完治するのに大体1分程度かかると予測した。


 天狐の魔力は今の『檸檬』で殆どなくなっている。

 分裂体と交戦している文香の援護は望めないが、もたついていると天狐に【拍手喝采】を使用されてしまう。

 行くなら今しかない、と大河は距離を縮める。




 天狐の判断は早かった。天狐は切り札を発動した。


 次の瞬間、大河の目の前には無数の尻尾があり、そこから黒い魔法のようなものが発射され、視界が黒く染まる。

 それを回避することは不可能だった。攻撃を受けた大河の身体は黒い炎で燃え上がり、大河は死んだ。




 ***


 文香に起こされ俺は目覚める。35回目の朝だ。

 アンリミッテッドノートブックスに死亡した回数を書き込み、死因を書こうとする、が今回も死因はさっぱりわからなかった。

 13回目の挑戦以来、身体がいきなり黒い炎に包まれ殺されるということが多い。

 被弾してから死亡するまでの時間は約5秒。炎は水魔法などでも消えることはなかった。


 朝食を済ませ、何度もしてきた説明を簡潔にしてから、文香と話を始める。


「天狐のギフトの全貌が見えてきた。名前は【すべてがFになる(オール フィクション)】だ。

 ギフトだけでなく、スキルもコピーすることができるらしい。しかし、コピーする際にはギフト名を詠唱してから使わなくてはならない。

 そして、コピーは見たものにしか使えない。これは天狐が【拍手喝采】を使うときに、俺がThe Gre(グレート)at Gatsby(ギャッツビー)』と『A Study(シャーロック) in() Scarlet(ホームズ)』を使用したところ、天狐は分裂体の発動のあとでギフトの名前を言って、スキルを発動させたことを観測したという事実に基づいている」


「それならあなたのギフトが使われるといった心配はないわけね」


「そうだ。だが、ここまで相手のギフトの情報を得ても、天狐にはまだ勝てない。13回目以来、俺は天狐をぎりぎりまで追い詰めることができたが、最終的にはわけのわからない黒炎に焼かれ殺されている。これが何かを解明し、対策をとらなければ天狐には勝てない」


「まだ明かされていないスキルの一つが恐らく原因ということよね?どんな能力か目星はついているの?」


「34回目の最後にした実験が上手くいった。そして、ほとんど確信に近い事実を得た。俺は、自身の身体が黒い炎に焼ける直前のタイミングに『The Gre(グレート)at Gatsby(ギャッツビー)』と『A Study(シャーロック) in() Scarlet(ホームズ)』を発動させることができた。そして、わかった。天狐は黒い炎を放つ時、俺の背後に瞬間移動をしている」


「それは超高速で動いて背後に回るようなものなの?それとも一瞬で座標空間を移動するようなものなの?」


「後者だ。そして、更に俺は考察を重ねた。結論として、あれは瞬間移動なんてものじゃなく、時を止める類のものだと俺は断定した。時を止めた世界で天狐は俺の背後に移動して、最後のスキルを使っている」



 文香は少し考えるようなそぶりをしたあと、口を開く。

「そういうことね。私にもわかりました。時を止める以外に、黒い消えない炎を発動するスキルを使う魔力を天狐は確保する必要がある。瞬間移動では、拍手喝采をする時間がないから、必然的に天狐のスキルは時を止める以外にありえなくなるということね。うーん、でもそうすると疑問がうまれるわ。どうして天狐は最初から時を止めるスキルを使わないのかしら?」


「その答えはわからないが、予想は立てられる。まず、天狐は最初の時点で俺たちを転生者だと認識していない。だから本気を出す必要がないと考えていた。事実、最初の数回は全く天狐に及ばなかった。天狐は意外と慎重な性格をしているし、頭もきれる。その天狐が俺たちを転生者と認識しても切り札をいきなり使わないのは、それがリスクを含むものであるからだと思う」


俺はアンリミッテッドノートブックスのメモを読みながら文香に話しを続ける。


「時を止めるなんて最強ともいえる能力を持っているのに、その空間で俺を殺さないのは、殺さないのではなく殺せないんだろう。恐らく、時が静止した世界でも一定のルールがある。天狐がとどめに使う黒い炎は何度か試したが避けることができなかった。あれは100%回避不可能の攻撃だ。少しでも炎に触れた瞬間、体中が燃え上がり俺は殺される。そんな強いスキルを使うのにリスクがないとは考えられない。あの炎は凄まじい威力を誇るが、それが回避された場合、逆に天狐が不利に陥るんだろう」


別のページを開く。


「これはあまり言いたくないんだが、あの闇商人が言っていたことも気になる。あいつは、天狐が切り札を使ったあと無防備になると言っていた。それは本当なのかもしれない」



 そろそろ時間だ。といって俺は立ち上がる。


「何か対抗策はあるの?」


「ある。だが、それをするためにあと何回死ぬのかわからない」

誤字報告くださった方ありがとうございました。


個人的に十六夜さんのギフト【すべてがFになる(オール フィクション)】はかなり気に入っています。


よければブクマ、感想、評価など頂けると嬉しいです!

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