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VS 十六夜天狐ー1

ボス戦

 ドメル平野。嘘松王国とオークの国のはざまにある広い平野で、どこの国の領土でもない。

 そこには一切の建物は存在しておらず、芝と地面だけが漠然と広がっている。北の方を見ると、かなた遠くにバベルの塔が見える。

 平野の横の森林には十六夜天狐が利用する隠し道がある。3週間に一度、天狐はその道を通り、カインズ帝国と密談をしにいく。

 本来なら誰もいるはずがない平野。しかし、そこには二つの影があった。


「来た」

 大河は取り出していた銃を天狐に向け、トリガーを素早く5回引く。

 銃声を聞いた天狐は素早く2人の側近と共に後ろへ下がる。魔導銃の一つが天狐の脚をかすめたが、弾は崩れて消えた。


 ***


「なんだ?」

 天狐は相手を視認する。


「あの冒険者か」

 嘘松夫婦を殺し、3代目天狐となった十六夜に挑んできたものはいなかった。久しぶりの戦闘に天狐の血が騒ぐ。

 天狐の側近二人は背後からの襲撃にそなえ後ろを向く。


「まずは小手調といこう」


 天狐の5本の尻尾が大河に向けられる。そして、詠唱なしに魔法が発射される。

 各尻尾6発ずつ。計30発の魔法。火、氷、雷の三種の魔法。階級は5。プロデメル級の魔法だ。そして最後にはレリギアスも放たれる。

 この弾幕攻撃はS級レベルの冒険者、そのなかでもかなりの手練れでなければまず生き延びることは無い。


 大河の回避。最初の18発は一切当たることなく、後ろに過ぎ去っていく。

 魔法の時速は約100km。天狐から150mの位置にいる大河にとって5,5秒という時間はあまりにも長すぎた。

 更に6発をよける。それで残り6発。しかし、この6発は他のものより速い。大河は魔法で防ぐ選択をする。


 《レリギアス・マジックシールド・トリプル》


 大河の目の前に透き通った虹色の盾のようなものが出現する。

 レリギアスレベルの魔法を防ぐ魔法だ。原理的には同じ大きさのベクトルをカウンターで発動し魔法を防ぐというものだ。

 トリプルは3つの属性全てに対応できる。しかし魔法消費量は各属一つの場合の3倍になる。

 天狐の魔法の威力はジョブスキルによって効果が上乗せされている。だからシールドで防いだとしても完全に無効にできたわけではない。

 大河は魔法によりダメージを負う。しかし、そのダメージは微々たるもので、戦闘への影響はゼロだ。


「なかなかやるな」

 天狐は目の前の敵に少しの期待を募らせる。


 ***


「文香、発動してくれ」

「『A Study(シャーロック) in() Scarlet(ホームズ)』」

 文香は予定された通り、スキルを使用する。この平野で決着をつけても問題ないか確認するためだ。


「他に敵の影はないわ。いるのは天狐と二人の従者だけ......っ、あなた!」

 『A Study(シャーロック) in() Scarlet(ホームズ)』を使った文香の視線が、天狐の視線とぶつかる。その目は緋色に輝いていた。


「どうした文香?」

「いま、天狐と目があった。彼女も私たちと同じで『A Study(シャーロック) in() Scarlet(ホームズ)』を使えるわ」


 ***


 天狐も相手が緋の目を使えるという事実を知り驚く。

「『A Study(シャーロック) in() Scarlet(ホームズ)』を使えるのか。つまり奴らは私達と同じ転生者というわけか」

 天狐は他に敵影が見えないのを確認すると、緋の目を解除する。そして相手への警戒度をあげる必要があることを認める。

 転生者が共有しているスキルの中でも特に強力な3つのスキルのうち、天狐が現在セットしていたのは『A Study(シャーロック) in() Scarlet(ホームズ)』だけであった。


「久しぶりに本気を出せるかもしれない」

 天狐と従者の一人は尻尾を全て大河に向ける。7本の尻尾が大河に突きつけられている。


 ***


「文香なにかまずそうだ。さがってガードしてくれ」

 大河と文香は魔法を発動してシールドを作っていく。


 ***


「「ねぇ、魔法の話する?」」

 天狐ともう一人の従者は【Plausi(まこと)ble Story(しやかな嘘)】を使用する。

 7本の尻尾が赤色に輝き、ふらふらと揺らめく。


「これは耐えられまい」

 7本の尻尾から魔法が放たれる。全てレリギアス階級の魔法。そしてそれらの魔法は強化されている。

 各尻尾から15発、計105発の魔法。

 弾速は当然先ほどとは比べものにならないくらい速い。


 ***


 ドン!ドン!ドン!

 鈍い音をたて、大河の目の前のシールドはすぐに壊れていく。

 大河と文香は冷静に魔法を重ねて発動する。


 ドン!ドン!ドン!

 しかし、天狐たちの放った魔法の激しさは衰えない。

 シールドは次々と消えていき、最後のシールドまでもが割れる。


「まずい!『The Gre(グレート)at Gatsby(ギャッツビー)』」

 時間が歪み、大河は加速した思考で、理解する。

 目の前の魔法の弾幕を回避することはできない。

 ゆっくりと迫ってくる魔法の軌道を読み、最大限回避に専念するが、直ぐに限界が訪れる。

 歪んだ時間が元に戻った。

 大河の目の前には魔法しかない。


 ・・・・・・。

気に入ってもらえたらブクマ、評価、感想など頂けると嬉しいです!


明日は2,3話投稿しようと思います。

ボス戦後は伏線回収が待ってます。期待していてください!

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