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デモンストレーション

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『IQ250の天才詐欺師が、異世界転生者から【最強の武器と能力】を奪い取り、家族の復讐を果たすために、世界の全てを欺く物語』

https://ncode.syosetu.com/n9099fr/  (8/18追記)











「ここは......」

 辺りを見回す。木々が茂っている。恐らく森だろう。


「いった!」

 身体の節々が痛い。怪我を負っているのか?

 特に痛むのは左腕。袖をめくって見てみる。二の腕に大きな穴が二つ空いて、そこから血が流れている。

 穴の付近の肉が気味の悪い紫色に変色している。これは恐らく毒か。蛇か何かにでも食われたのか?左手を握ってみる。少し痺れるが動くようだ。

「天使が言ってたペナルティなのか?」

 ひとまず立ち上がる。目印になりそうなものは......あの大木か。

 大木に向かって歩く。大木から、周りを観察してみるとかろうじて道と呼べそうなものが見つかった。整理された道ではないが、人が踏み歩いたような道だ。ひとまずこの方向にを進んでみよう。周りには同じような木が生えている。植物に詳しくないからこの木が異世界特有のものなのかは判断できない。

 足元に何かが引っ掛かる。ロープ?


 ひゅっ!!


 音がした。とっさに顔をあげると、目の前から矢が飛んできた。かわす暇もなく、矢は俺の胸に刺さる。

 あまりの激痛に意識が遠のく。



 ・・・・・・。


 ***


 再び目が覚めた。気絶していたのか?

 ズキ!

 痛い。痛むのは左腕だ。左腕?矢はどうした?胸元を確認してもあるはずの矢がない。

 誰かに救われた?周りを見渡す。ここはまだ森の中だ。夢を見ていた?

 この場所は見覚えがある。最初に倒れていた場所だ。

 もしや。胸元を確認する。傷は無かった。考えられる可能性は......。再び立ち上がってあの大木を目指す。そして、先ほどと同じように大木から道筋に沿って歩き始める。


「確かこの辺で......あった。ロープだ」

 木々にロープが繋がっている。これは誰かが用意した罠だろう。

「これで考えられる可能性は何個かに絞られた」

 罠をまたいで道を進む。しばらく進むと村のようなものが見え始める。


「シナリオ通りといった感じか」


 ひゅっ!!


 背後から矢が飛んできて背中に刺さった。

 また意識が遠のいた。


 ・・・・・・。



 大河の身体を中心にして地面や空間に魔法陣が描かれる。魔法陣は虹色に光り輝き、その光が何か手のような形を作りあげると大河の身体に触れた。

 そして世界が――運命が――変わる。


 ***



 目覚める。ここは最初の場所。

 どうやら俺はまた死んだらしい。

「ひとまず状況を整理しよう」

 思ったことを口に出すのは癖だ。口に出して言うことで深い思考が可能になる。


「まず最初に思いついた可能性からだ。最初に考えたのは、矢にあたるというのは、死にイベントだということ。天使が曰くこれはあくまでゲームだという。ゲームなら序盤で死にイベを経験するのは珍しいことじゃない。だがそう決めつけるのは早計だろう」

 そうだ。一回目の死(と仮定する)を経験した時に俺は3つの可能性を考えた。死にイベは最初の場所に生き返っている時点でもっとも根拠が乏しい。

 そして同じ理由でこの二つ目の可能性も乏しくなる。


「二つ目の可能性、それは俺の能力が〈予知夢〉であるということ。しかしそれだけじゃあまり強い能力と思えない。天使は最強の能力といっていたから、俺の能力が〈未来予知〉である可能性」

 しかしその考えも間違っている。


「2回目の死を経験したいま、死にイベ、未来予知といったこれら可能性は、ほぼ完全に切っていい仮説に変わった」

 そして最初から本命であったこの考えを答えであると断定しよう。


「俺のギフトが時間を巻き戻すタイプのものであること」

 まだギフトかどうかは断定できないかもしれないな。ゲームと言っていたし元々の仕様かも知れない。だが、この現象はゲームにおけるリスタートであることは間違いないだろう。


「矢に殺されるのは何故だろう?」

 矢に殺されるのはなぜか。天使は些細なプレゼントを用意したといっていた。

 だとするとあの矢がプレゼントなのかもしれない。俺のギフトもしくはこの世界のルールを教えるためのプレゼントといったところか?


「うーん、でもこれがギフトなんて少し雑すぎる気がするな」

 服を探る。プレゼントと言えそうなものは何もない。

「とりあえず村を目指すか」


 立ち上がって先ほどと同じ行動をする。


「そうだな。やってみる価値はあるか」

 手頃な大きさの枝を集めて来て、服を脱ぎそれで包んだ。


「一応、盾ということになるのかな?」

 一つ目の罠に着く。


「確かこのあたり」

 盾を構えて、罠に足を掛ける。矢が飛んできて盾に刺さった。


「よし。成功だ」


 矢を観察してみる。よく見ると矢の先端はハート型をしていて、後ろの羽も純白のものだった。

「天使の矢、だろうな」

 矢の形状を確認し、先ほどの考察がより正しいものに思えてくる。


 村が見えてくると俺は後ろ向きで歩いた。何もない空間から矢が生じて飛んでくるのを観察できた。

 その矢は盾で防ぐ。

「違う矢なのか?」

 1つ目の矢と比較する。形状が異なっているのがわかる。2本目の矢は特に装飾もされていないごく一般的な矢だった。

 何故だ。わからない。しかし何か意図はありそうだ。答えはわからない。でも今は前に進むとしよう。


「ここまでくればもう何もなさそうだな」

 俺は村の正門についた。


 村を見渡す。みたところあまり大きくはなそうだ。

 家の数は数十。ほとんどが木製で、奥の家だけ石でできてる。その家には煙突があり煙が出ている。


「いかにも『はじまりのまち』みたいな村だな。」

 そんな感想が漏れる。

 向こうに人が見える。

「すみません」

「あ、大河さん!奥さんが探してましたよ。ってどうしたんですかその傷!?」

 俺の名前を知っている?奥さん?この世界で俺は結婚しているのか?


「森で蛇に噛まれまして」

「それは大変だ。直ぐに手当てをしないと。ひとまずうちに来てください」

 この世界にも蛇はいるのか。


 村人は彼の家まで案内してくれた。

 家には女性がいた。話ぶりから察するに村人の配偶者であろう。

「おい、お前、大河さんの家に行って状況を説明してきてくれ」

「わかりました」

 そういって女性は家を出た。


「大河さんこれを飲んでください」

「これは?」

「あぁ、冒険をしていた時の残りをとっていたんです。何かに使えると思って」

 話がかみ合わない。俺はこの怪しげな飲みものが何かを質問したのだが。

 ビンの中にある液体の色は緑色をしている。

 たぶんこれはポーションだろう。そして発言内容から考えると、この男は元冒険者でたまたまそれを持っていた。

 推測するに、ポーションは普通の村人にとって知識としては知られているものでも、所持しているのは珍しいらしいということもわかる。

 そして俺は普通の一般人という設定なのだろう。


 ポーションを飲む。野菜ジュースみたいな味。後味はそれほどしつこくない。

 飲み終えると体の緑色の光に包まれた。身体が楽になる。体力が回復しているのだろう。

「ありがとうございます」

「いえいえ」

 何を聞き出そうか。そう思考していると、ちょうどドアが開いた。

 いるのは先ほど俺の家に向かった女性と、見知らぬ美人。


「あなた!」

 美人が駆け寄ってくる。これが俺の嫁か。なかなかいいじゃないか。

 嫁(仮)を観察してみる。


 嫁は見れば見るほど美人だった。最初に目につくのはその髪。白い綺麗な肌は漆黒の長髪の美しさを際立たせている。顔を分類するなら幸の薄そうな美人。人妻みたいな妙な色気が漂っている。それは右目の泣きぼくろに依るのかもしれない。綺麗な肌の中のこの泣きぼくろは砂漠の中の一輪の花のように美しい。年齢は20代といったところか。身体は抱き心地の良さそうな程よい肉付きで、胸はかなり大きい。

 隣にいる村人の女性よりも身長は高い。170cm弱くらいだろう。今はエプロンをしている。料理でもしていたのだろうか。


「あなた!」


 再びそう言うと、女性は抱きついてきた。良い匂いがする。

「心配かけてごめんな。怪我はもう大丈夫だ。ポーションを飲ませてもらったんだ」

 適当に話を合わせる。

「そうなんですか?」

 そういって美人は村人たちに振り向く。

「うちの主人を助けてくださってありがとうございます」

「いえいえ、お気になさらないでください。困ったときには助け合いですよ」


 女性の声を聴いていて、何かがひっかかる。何だろう。

 どこか聞き覚えのある声のような.......まさか!


「文香、なのか??」

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