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十六夜天狐と嫉妬

一番好きなキャラの登場

 宿には朱莉あかりさんと皐月さつきさんが迎えに来てくれた。

 馬車なような魔法器具の乗り物に乗り込んで俺たちは城に向かう。

 少し文香の機嫌が悪いような気がするが何かあったんだろうか?


 城に向かう途中、朱莉さんが嘘松王国について様々な説明をしてくれた。

 嘘松王国でまず目につくのは巨大な学校のような施設だ。研究所のようなものも隣接している。ここで多くの妖狐が日夜魔法の研究に勤しんでいるらしい。

 都市部では一軒家みたいなものは見つからなくて、3,4階建てくらいのマンションのような建物が多くある。郊外の家から上京して研究のために都市部のマンションに住むといった例が多いらしい。

 王国民の男女比は男が1で女が4といったところか。妖狐は性別に関係なく美人が多かった。

 国内では男同士の恋愛が強く推奨されている。そこで生まれた生殖についての疑問は聞きずらかったため保留にしておくことにした。


「着きました。私たちはここで失礼します」

「中には入らないんですか?」

「中には入れないんです」


 それは彼女たちが冒険者だからだろうか?いや前回の話からそうではなさそうだ。社会的な地位の問題なのだろう。


「大河さんと文香さんですね。案内いたします」

 眼鏡をかけた美人な妖狐が俺たちを誘導してくれる。

 玉座の間の扉が開くと、赤いカーペットがひいてあり、横には妖狐が整列していた。

「どうぞ前へお進みください」

 そう言ったあと、案内してくれた女性は列に加わる。

 目だけを動かして辺りに視線を向ける。

 すると城内にいる妖狐の殆どが2本以上の尻尾をもっていることがわかる。尻尾が一本の者でも、その尻尾は大きい。

 玉座に近づくにつれ尻尾の数は増えている。玉座最付近のところに楓さんの姿を見つけた。楓さんの隣には尻尾が4本の10歳くらいの妖狐がいた。



 ステージの上を見る。十六夜天狐とその従者2人がいる。

 従者の尻尾は2本。そして、天狐の尻尾は5本あった。


「そなたらが冒険者殿か。今日は良くぞ参られた」


 十六夜天狐が形式的な話をはじめる。その隙に俺は天狐を観察することにした。


 大きな獣耳に金髪の短い髪。瞳は茶色く肌の色は白い。チャイナドレスのような服は光沢のある青色で、胸元が強調されている。

 胸はかなり大きい。文香も大きいがそれと同じくらいはあるように思える。ウエストはしまっていてヒップは大きい。尻尾が多い分、お尻が大きいのだろうか。

 顔はこの世のものとは思えないほど美人だ。客観的な評価をするならば文香よりこっちのほうが好みだという人がいてもおかしくないだろう。

 ドレスからのぞかせる健康的な美脚。黒い網タイツは太ももの途中までしかなく、付け根の方では美しい肌が露出している。その白と黒のコントラストが魅力的だ。

 肩は大胆にさらされているが、二の腕の途中から指の先までは純白のロングローブで包まれている。


 天狐は異様なオーラを放っていた。ネオ・ゴブリンロードを見たときよりも遥かに重たいプレッシャー。


 話を終えた妖狐は銀のブレスレットを俺と文香に渡す。これが名誉国民の証らしい。ブレスレットを渡すときに妖狐は俺の耳元で囁いた。


「本当に感謝しています。冒険者さん」


 その声はゾッとするほど艶やかなトーンを帯びていて思わずドキドキしてしまった。最後に再び天狐が締めの言葉を述べて、その場は解散となった。


 楓さんが俺たちの方に寄ってきて話しかけてくる。楓さんの隣にはさっきの子供がいる。

「大河さん、文香さん、おめでとうございます」

「楓さん、ありがとうございます。そちらの方は?」

紅葉もみじと言います。私の妹です」

「紅葉です。お姉ちゃんを助けてくださってありがとうございました」

 紅葉さんは幼いながらもしっかりとした口調でそういった。

 ロリコンでないのでよくわからないが、年下好きにはたまらないような可愛らしい見た目をしている。


「私たちの国にはバビロンのように宿のような施設はないですから、今晩は私たちの家に泊まっていきませんか?朱莉と皐月も呼んでいます。この前のお礼をしっかりとしたいのでよろしければ是非」

「文香どうする?」

「そうね。確かに泊まる場所もないし、お言葉に甘えてもいいんじゃない」

「だな。楓さん、宜しくお願いします」


 楓さん達と一緒に城を出る。城外では皐月さんと朱莉さんが馬車のような魔法器具を用意して待っていてくれた。

「あ、紅葉ちゃん」

 朱莉さんが紅葉さんのほっぺをぷにぷにする。紅葉さんは嫌がったそぶりをみせるものの、内心では喜んでいそうだ。


「ねぇ、あなた。私もう我慢できない」

 文香が突然言い出す。

「どうしたんだ文香?朝から機嫌が悪いみたいだが」


「もう!本当にわからないの!?」

 今までみたことないくらい怒った表情。

 まずい。どうにかしないと。何故文香は怒っているんだ?


「『The Gre(グレート)at Gatsby(ギャッツビー)』」

 超集中力で思考を加速させ状況を整理する。

 文香の機嫌が悪くなったのはいつからだ?朝だ。だが朝食の時はまだ大丈夫だった。

 機嫌が悪くなったのは俺たちが馬車に乗り込もうとしたとき。あの時、一瞬だけ袖を引かれたような気がした。そうか。


「文香、ごめん。俺を許してくれないか。俺が好きなのはお前だけだ」


 そういって文香を強く抱きしめた。

 楓さんたちはいきなりの俺の行動に驚いている。


「子供にはちょっと刺激が強いかな」

 朱莉さんが紅葉さんの目を隠した。


 文香は俺の胸に顔をうずめて静かに涙を流している。俺は優しく背中をさする。文香は俺を更に強く抱きしめた。

 どれくらい時間が経っただろうか。実際は3,4分くらいなんだろうけれど、その何倍とも感じられる時間、俺と文香は抱き合っていた。

 しばらくして、文香の涙が収まった後、頬を膨らましてこう言った。


「あなたのバカ。でも、今回は許してあげる」

 そう言った後の笑顔は他の何よりも可愛くて、文香が更に好きになっていく。


「そこのアツアツカップルさん?そろそろ出発したいんだけど......」

 朱莉さんが話しかけてくる。


「あぁ。すまん、一つ聞きたいんだが、楓さんの家というのはここから徒歩で行ける距離なのか?」


「どうかされたんですか?」

 楓さんが訪ねてくる。


「いや、ちょっと諸事情があってできれば乗り物には乗りたくないっていうか。ただの俺のワガママなんですけど」

「そうですね。理由は聞かないでおきましょう。うーん、少し遠いですが徒歩でも行けなくはない距離です」

「じゃあ、俺たちは徒歩で行かせてもらいます」


「私が一緒に歩いていきましょうか?」

 皐月さんが言う。


「こら皐月!空気を読みなさい!」

 朱莉さんが言った。


「道を案内できる魔法があったはずです。文香さんは《ファイアフライ》は使えますよね?それを応用した魔法で......」

 楓さんが文香に魔法を教える。物覚えがいい文香は魔法式をすぐに理解し、使いこなすことができた。


「「《ナビゲート・ファイアフライ》」」


 魔法を文香と楓さんが使う。

 文香の魔法で青い光の玉が生まれ、楓さんの魔法で赤い光の玉が生まれた。


「この光の通りに進めば大丈夫です。私たちは先に戻って準備をしておきます」


 そんなこんなで楓さんたちと別れ、俺と文香は歩いていくことにした。道中は文香がずっと肩を組んできたから終始俺は落ち着かなかった。だが、その柔らかさは疲弊していた俺の精神を癒してくれるものだった。

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