judgment
明日で第一章は終わりです
第1話を読んでない人は先にどうぞ
神殿ではその頃軽く二人はパニックになっていた。
「どうしてじゃ、どうして和馬の反応が捕捉できないんじゃ? 余の神力のパスが切れるなど異世界に飛ばされでもしない限りありえん」
クロノスは時間の神だ。百歩譲って例え違う時間にミスで飛ばしたとしていても彼女なら余裕で気付く。しかし今回彼の反応は全時間軸になかった。
「私の目でも探せません。もし今お兄様がルール違反しても私は裁きに行けませんね。すみませんお兄様」
テミスは相変わらず演技のようだがしょぼんとした表情をしている。別にそれは謝らなくていいんじゃないかとクロノスが思った時反応が戻った。
「むう、後で和馬がどこに言ってたのか聞かなくてはな」
ほどなくして和馬は帰ってきた。どうやらバターナイフが滑って頭に刺さりその後熱々のトーストがすごい勢いでナイフに飛びかかり、釘をトンカチで打つがごとく頭に深く刺さり死んだらしい。
「だけど次はドアを開けるまで行けそうだぜ」
「それはいいんだが和馬よ」
クロノスは先ほどの異変の原因について聞いた。
「えっなんだ?」
「さっきの事じゃ、余がお主を元の時間に飛ばした時一瞬お主の反応が途絶えての。お主は一体どこにいたんじゃ」
クロノスに尋ねられた和馬はさっき経験したことを思い出した。そうだ、こっちも聞こうと思ってたんだ。
「俺はこの神殿に飛ばされていたんだが何もかもおかしかったんだ、目の前にはもう1人の俺がいてそして大人のクロノスがいたんだ」
自分の見たものを誤解されないように一字一句丹念に伝えていく。それを聞いたクロノスは首を捻る。
「そんなことがあるのか? いやしかし……」
ここで俺が浮かんだ疑問を口にする。
「なんでクロノスは元の姿に戻れないんだ? 力を使ったって言ってたけど」
「それがわからんのじゃ、ある日気付いたらほとんどの力がごっそり抜け落ち余はこの幼子の姿になっておった」
クロノスは答えた。どこぞの名探偵かよ!!
「神にとって外見は大事なのです。それがないがしろになるほどの神力消費は少しも検討つきません」
テミスが捕捉する。うーん謎しか残らない。
「とにかく何が起きたのかは余の方で解析しておく、お主は自分のことに集中するのじゃ」
「おう」
俺は台座に立ち目を閉じる。この時には俺がここで選択を誤っていたとは思ってもなかったのだがそれは後の話。
目覚ましの音に目を覚ます。いつもの8時20分だ。
俺は起きると同時に花瓶を移動し地震に備える。揺れが収まったらスマホゲーのスタミナを消費し時間を稼いだ後、慎重に階段を降りる。そしてダイニングに着く。
親は朝ごはんがトーストだと言った。手を洗いにいく。廊下の水溜りの即死ポイントを回避、手を洗い戻る。
「はい、お兄やん」
妹の渡してくるバターナイフを慎重に受け取る。変な顔されるが仕方ない。そしてそれを使わずしまう。素でパンを齧る。うん、あまり美味しくない。妹のギョッとした表情が気になるが、生きるためだ。
集大成を終えると俺は玄関へ向かう。ここまで10回も死んだ、だがようやく家を出れる。ドアノブを掴んだ瞬間音が鳴る。これは……羽音だ。
「蜂だヤバい、畜生この時間になってもまだいるのかよ」
俺は家族に蜂がいるから外に出ないよう戸締りを確認するように言った。幸い空いてる窓はなかった。そして自室へ向かった。
「これからどうしよう」
途方に暮れていたその時窓を叩く音が……
不安になり窓を見るとそこには
「麻央……」
そこにいたのは俺の幼馴染、鈴鹿麻央だった。
死にゲー的人生論
第1章 自宅からの脱出
死亡回数 現在10回