mementomori
第1話を読んでない方は先にどうぞ
「まさか和馬を殺したのは蜂だったとはの」
「私も予想外でした……」
全身に群がる数百もの蜂に刺されて俺は死んだが、まあなんとか無事に神殿に戻ってこれた。しかし……
「なんだよあの量…… 一つの巣にいる蜂まるごと動員してもあの数にはならんよ」
ドアを閉める前外にいた蜂の数はまさに想像を絶していた。ドキュメンタリー番組をよく見る俺だがそれでもあんな量の蜂が一つの巣にいるというのは見たことがなかった。
「うむさっきのは複数の巣の蜂の連合軍じゃ。明らかに自然の摂理を超えている…… のおテミス、ルールの神のお主なら何かわかることはないか?」
クロノスがした質問にテミスは答えるのに躊躇っているようだった。何か躊躇う要素があるのか? ここは俺からも頼むべきだろう。
「テミス俺からも頼む、あの蜂の正体を知らなければこの局面から脱することは出来ないんだ」
すると少し考えた後テミスは答えてくれた。
「本当はもう1人の方に不公平なので教えたくないのですが…… ルール違反ではないので教えましょう。彼女よりお兄様の方が私には大事ですし」
俺には何故彼女がそこまで俺のことを慕っているのかは分からない。俺をお兄様と呼ぶ理由も。また、彼女は感情豊かそうに見えてその実演技くさい、まるで自分の感情がないかのように。ぶっちゃけ疑おうとするならいくらでも疑えるのだがだが、今はとりあえず信じる他ないだろう。
そして今の彼女の発言で気になったのはもう1人という単語だ。
「テミスぶっちゃけ俺には君が何でこんなに俺に入れ込んでくれてるか分からないんだが…… とりあえず今は信用することにするよ。 とりあえず君の知ってることを全て話してくれないか」
そう言うとクロノスは語り出した。
「はいお兄様了解です。 私の知っていること、いえ現時点で推測できることを全てお話ししましょう。 少し私の憶測が混ざりますがご了承ください」
クロノスの説明は数十分に及んだ。最も神殿では時間が経過しないから体感ではあるが
「つまりだ、テミス。君は今回の襲撃は誰か他の神の企みだと思ってるんだね」
「そうです。以前までの世界による干渉・殺害はあくまで自然の法則を守った上で、その上でお兄様に最悪の結果を押し付けていました。しかし今回の蜂は……」
「明らかに自然の摂理に反しておる」
クロノスが付け加える。納得はできたが問題は……
「なるほど、つまり下手人の神がいるわけか。それをどうにかして暴くところから始めないと」
蜂を操るなんてこと人間に出来ないだろうし神の仕業になるのは当然だが一体何故だ?
「うーむ動機がわからん。 お主は知らんじゃろうが余はこう見えてもかなり高位の神なのじゃ。余に喧嘩を売るなんてよっぽどの理由が他の神にある可能性はまずない」
「どうせ気づかない間に喧嘩を売ってたとかじゃないの?」
俺の発言にクロノスは猛反発した。
「そんなわけがなかろう!!」
うーむ、なるほど。でも蜂を操るなんて人間に出来ることじゃないし神の仕業なのは確かだぞ……
「とりあえず出る時間を変えてみる。トーストに挑戦してみるよ」
俺が死ぬ前の最初の朝、蜂の予兆なんてなかった。その時間に出れば蜂に合わない可能性もあるだろう。
「あとさもう一つ、その下手人が世界に煽られて犯行に及んだ可能性はないのか?」
「どういうことじゃ?」
「えっとつまり、蜂を操る力を持った下手人がいてその人が俺を殺す理由はないんだけど、世界が俺を殺そうとしてるからその影響で俺を殺す側に回ってる可能性があるんじゃないかなってね」
「うむお主の妹がお主をバターナイフで刺し殺したのを見るに有り得なくはないな。じゃが人間じゃないし、神ならそんな風に気付かずに殺人の側に回るなんてよっぽどの間抜けでもない限りないだろうよ」
うーむ今の時点じゃ何もわからん。物は試しか。
「さて行くとするか」
俺は台座に登り目を閉じた。
「お気を付けて」
テミスの声が聞こえる。
いつもみたく俺は暗闇に放り出された、はずだった。目覚まし時計の音が…… あれ聞こえない?
目を開ける。ここはまだ神殿だ。辺りを見渡す。
「クロノス、テミスどこだ?」
二人の姿はなかった。そしてこの時点で気付いた。この神殿は今までいた神殿と空気が違った。
「は? どういう事だよ」
目の前を見る。そこには1人の男の後ろ姿が見えた。
「あれは…… 俺?」
その後ろ姿は明らかに俺に似ていた。そしてその男は先に進んでいく。
「待ってくれよ」
俺の声が聞こえないかのように男は歩みを止めない。そして男は立ち止まった。その前には
「クロノス……なのか!?」
クロノスが立っていた。しかし彼女は大人の姿をしていた。確かあれは初めて会ったときに見せてくれた真の姿とかいう奴だ。
「ふむ、波長がズレたか? いや…… なるほどそういうわけか」
彼女は俺を見ていた。目の前にいるソックリさんでなくこの高橋和馬自身を。
「戻るがいい。お主のいる場所は違う……」
彼女はそう言うとこちらに手のひらを向けてきた。
「〇〇〇〇」
彼女がなんて言っているのか聞こえなかった。その直後壮絶な耳鳴りと共に視界が暗転した。
「ここは……?」
どうやら8時20分、俺の自室に戻ってこられたようだ。
「何だったんだよ……」
今見たものが何なのかは分からない。謎しかない。だが……
「今は前に進むしかないよなぁ」
俺の戦いはまだ続いている。
今回の死亡はなし
死にゲー的人生論
第1章 自宅からの脱出
死亡回数 現在9回
今回は初めて主人公が死ななかった回ですね
しかし次回からさらにバンバン死んでいくんで期待してください
次回より自宅からの脱出解答編ですね