break down
読んでない人は第1話からどうぞ
俺は世界に命を狙われているのを忘れてたのかもしれない。
「あっあっあ……」
かなり遠くまで吹っ飛ばされたみたいだ。全身が痛む。だが意識はある。俺はまだ死んでないのか?
「生きてる……」
さすがに今の衝突は死んだと思ったのだが。とはいえもう右手と右足の感覚はないのだが。
立ち上がれた。自分の体を見ると右腕と右足以外そこまで大きな怪我はないように見えた。
「生きててよかったあああああああ。ってあれ疾風は!?」
俺を運んでくれた彼はどうなったんだろうか?
急いで足を引きずりながら事故現場の方に向かうと彼が倒れていた。大騒ぎになっていると思いきや周りは無人だった。
トラックの運転手は気絶してるみたいだ。怪我はしているみたいだがそこまで酷くなさそうだ。
問題は疾風だ。彼は頭から出血して意識を失っている。胸に手を当てるとかろうじて脈はあるみたいだ。
「しっかりしろ疾風」
声をかけて見るが反応はない。一応脈はあるみたいだ。
「救急車が来るまで平均何分だったっけな」
救急車を呼んでもどれだけかかるのかわからない。その間にタナトスと蜂たちはここまで来てしまうだろう。トラックの運転手は襲われないだろうが俺は殺される。そして恐らく俺の仲間の疾風も。
「行かなきゃ」
俺は疾風を背負い歩く。右足は動かないが引きずって歩く。歩いてもどう言うわけか周りに人がいない。
歩いて見たらわかるのだが俺はどうやら内臓も痛めたみたいだ。吐血が止まらない。視界がグラグラする。体温が下がっていくのも感じる。
「まずい……」
思わず倒れる。疾風を地面に落としてしまった。
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ
「ああ」
蜂が近づいて来ている。俺を迎えに来たのだろう。
「うわあああああああ」
俺は這って逃げる。もはや疾風のことも忘れて。
しばらく這っていると硬い靴に当たる。
「え?」
顔を上げるとそこにはあの顔が……
「もはや友すらも捨てて汚く生き延びようとするか、ならば」
タナトスは刀を取り出し振り下ろす。
「死ね」
俺の意識はまたしても途絶える。
またダメだったか…… でも今回は少し違う。
俺は仲間を自分の事情で巻き込んでそして死なせてしまったのだ。最後は自分だけ汚く生き延びようとしてそれも失敗した。
死にゲー的人生論
第2章 死の女神との戦い
死亡回数 現在11回