hope or despair
お待たせして申し訳ないです
遂に始まった第2章、いよいよ話も大きく動きます
読んでない方は先に1話からどうぞ
俺はまたしても死んだ。俺達を襲ってきた謎の蜂の正体、それをやっと暴いたのに……
ああ無理なのかなぁ……
俺は諦めそうになっていた。これまでのどんな挑戦も全て意識すれば回避できる死だった、今思えば生ぬるいものだった。
だが今回は勝てるビジョンが浮かばない。あのタナトスという女神は自分の事を死を司る神だと言った。人間に勝てる相手じゃなかったのだろう。事実、彼女の攻撃を避けようとした時足が動かなかった。超常的な力で押さえつけられていたのだ。
「和馬よ、何ウジウジと悩んでるんじゃ!」
悩んでいた俺を現実に引き戻したのはそうクロノスだった。
彼女は怒り心頭だ。
「だけどさ今回ばかりはキツイぜ…… 相手は神だぜ」
テミス、クロノスと今まで2人の神に出会ってきた俺だが神の力の凄さは身に染みている。
それが敵になり、しかも俺を恨み全力で殺そうとしてきているのだ。
「お主の一番の長所は諦めず前を向き続けられるところじゃ。あまりにも能天気過ぎて余も不安になることもあったがそれは紛れもない長所じゃ」
「クロノス……」
「いいか和馬よ、どんなに足踏みしていてもいい。じゃが前を向け。前を向き歩こうとする意思、それがあるだけで勝利なのだ」
クロノスの激励に俺は少しずつ調子を取り戻していた。
「とりあえず対策を考えるか…… クロノス、タナトスについて教えてくれないか。 それとあいつの言っていた意味について」
俺の質問にクロノスは答えた。調子を取り戻しつつある俺の様子を見て少し嬉しそうにも見える。
「うむ、余の知ってること余すことなく全て教えよう。余はこう見えて最古参の神ゆえな色んなことを知ってるのじゃぞ」
クロノスはえへんと胸を張っている。
「とりあえず奴についての情報じゃな。奴はタナトス、死を司る神じゃ。権能としては生物に対して死を配ることが出来る」
「死を配るだって?」
聞き慣れない単語の組み合わせだ。
「そうじゃ、奴の権能により即死を付与されることはあらゆる生物は抗うことができない。どれだけ鍛えようともじゃ」
「なるほど、最高の演算能力を持っているコンピューターでもそもそもコンセントを抜かれたらおしまいみたいな感じか」
あいつの能力は納得した。
クロノスの方を見ると俺が何を言ってるか分からないという顔をしている。神様相手にコンピューターの話をしたのは失敗だったか。
「ドラクエのネタを使ってたし通じると思ったんだけどな、まいいや。 次に知りたいのはあいつが俺を襲う動機だ。死を冒涜したから許さないとか言っていたけど」
「それはお主の生き返りのことを言ってるのじゃろう。生き返ることは死を冒涜した行為とあやつが判断したんじゃろなぁ」
なるほどだいたいの事情は分かったが疑問が生じた。
「だけど生き返りはルール違反ではないんだろ」
俺がそう言い、クロノスが答えようとしたところにテミスが割り込んだ。
「彼女は直情型ですのでルールなんて端から眼中にはありません」
「どういう事だ、テミス」
「タナトスは神の中でも異端な神なのです。自分の中にルールを持ち、それに背くものは容赦しない。そして例え神のルールでも自分のルールに反するものは守らない。そんな神で私も何度も戦ってきました」
そうだったのか。まさかタナトスとテミスがそんな関係だったなんて。
「大丈夫だったのかテミス、あいつの即死能力を食らわなかったか?」
「お兄様私のことを心配してくれるのですね、ありがとうございます」
そう言いクロノスは感謝する。顔が心なしか嬉しそうに見える。あくまで見えるだけかも知れないが。
「ですが大丈夫です、全て完勝してます。そもそも神相手に権能は効きませんからね。タナトスは権能頼りのところが大きくて戦闘能力的には弱い方の神なんですよ、そこの力を失ってる神様よりも弱いかも」
そうだったのか。弱体化クロノスよりも弱いのか。なら少し希望が見えてきた。
「和馬よ、盛り上がってるところ申し訳ないがお主は人間じゃぞ。生物である以上奴に勝てることはない」
クロノスは少しムスッとしてる。まあそりゃそうだ自分が弱さの基準にされたのだから。しかし俺の作戦は何も真っ当に戦おうってものでは無い。
「クロノス作戦がある、俺を元の時間に戻してくれ。麻央が来る5分ほど前にな」
新たな挑戦が始まる。
これは神に挑む物語
第2章 against goddess of death